「太陽の墓場」 [映画-DVD]
今日は暑かった。湿気も多かったためか、汗が止まらず困った。暑いと言えば最近DVDで観た映画を思い出した。1960年製作、大島渚監督作品『太陽の墓場』である。
とにかく暑い、いや、暑苦しい映画だ。映画で暑さを表現するのはなかなか難しいが、出演者が常に汗がしたたっており、おまけに画面から顔がはみ出るほどのアップを多用することで、暑苦しさを感じさせる画面作りをしている。おまけに画面には人間の他、汚い小道具、セットで埋め尽くすことで息苦しさを感じさせる事に成功している。
映画の舞台は大阪釜ヶ崎(現在はあいりん地区)のスラム街。そこに暮らす労働者の話とポン引きで生計を立てているヤクザ(チンピラ)の話が入り混じって話は展開する。労働者から血を採り売りさばくことで暮らしているスラム街のやり手親父(小沢栄太郎)とその娘(炎加世子)、新入りの優しいヤクザ(佐々木功)を中心に底辺の暮らしをしている人々の混沌とした様子が描かれているのだが、そこには同じ松竹の監督である山田洋二のような暖かい眼差しは無く、ただひたすら欲望のために生きる人間の浅ましさが描かれている。
とにかく希望が無い。唯一の希望と思われた優しいヤクザも…。労働者の生活も良くなる兆しも無く、ラストは暴れて破壊する他ない。いや、バイタリティ溢れる炎加世子だけが救いになるのかもしれないが、たぶんろくな死に方しないだろう。
この映画は大島渚のまだ政治色が後年ほど強くない時期の作品で、かえって映画自体は今では観やすいので素直に楽しめる(楽しくはないが)。季節もこれから本格的な夏になる。この暑苦しい映画を観るのには持って来いの季節だ(ってどこが?)。
↓この本を読むと映画がさらに楽しめます。『太陽の墓場』の撮影裏話が書かれています。
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by まさひこ (2006-06-20 00:21)