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「時をかける少女」 [映画(2006)]

高校生の頃、筒井康隆にドップリはまっていた時期がある。過剰なまでのブラックユーモアの虜になり、彼の文庫本になった作品はひとつを除いて全て持っていた。彼が描いた漫画まで持っていたのだから、かなりマニアックなファンだったのではないか。

その頃の僕は、結構へそ曲がりで、好きなタレントは日本のアイドルではなく、ジャクリーン・ビセットのような年上の外人に憧れていた。こんな高校生だったので、当然年下なんかは全く興味の対象外で、小説も子供向け(ジュブナイル)には手を出さなかった。したがって、唯一筒井康隆の作品で読んでいなかったのが『時をかける少女』なのだ。

時をかける少女しかし、当時から映画好きで、『転校生』の大林宣彦監督の新作は期待を胸に劇場で観て、その素晴らしい物語に感動したのだった。それが原田知世主演の『時をかける少女』である。原作を読んでいない僕にとって『時かけ』は大林監督作品の映画であり、それは今も変わっていない。

時をかける少女 オリジナル・サウンドトラックそしてあれから20年以上経った今、『時かけ』はアニメーションとして製作された。ポスターを見て

←これが主人公?

と、かなりの違和感を覚え、きっとつまらないだろうと勝手に思っていたのだが、結構評判が良い様子なので、不安な気持ち半分で劇場に出かけた。

映画が始まってすぐ、これは原作とは別の話なのかと気が付いた。芳山和子(原作の主人公)は主人公(声:仲里依紗)の親戚のおばさんとして登場した。設定は原作を踏襲しているものの、だいぶ違った話になっており、そのためかえって大林版と比べる必要がなくなり素直に映画を観ることができた。原作の世界観は変えていないので、つまらなくなりようが無い。爽やかな楽しめる作品に仕上がっており好感が持てた。

でも、何か足りない…

あ、ラベンダーの香りはど~したんだっ!?

この映画の主人公はラベンダーの香り無しでタイムリープできるのだ。助走をつけて走り、えいっとジャンプすれば過去も未来も星座も…超えられるらしい。

ちょっと不満だゾ! これじゃぁ、変身の時に決めポーズも変身グッズも必要無かった『帰ってきたウルトラマン』くらい物足りないゾ! と思っていたら、芳山和子の本棚に深町君とゴローちゃんと3人で撮った写真の横にさりげなくラベンダーが添えられていた。作り手(細田守監督)のこんな粋な配慮が心憎い。

今年の夏休み映画はロクなのが無いと思っていたが、思わぬ伏兵の登場に嬉しい気持ちで劇場を後にした。

 


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アンソン

 「カナリア」の谷村美月が声をやっているんですよね? アテレコ初挑戦。どんな感じでしたか?
by アンソン (2006-08-04 23:52) 

丹下段平

違和感無かったというか…、途中から誰がアテレコしてるのか全く気にしていなかったので…。ぜひアンソンさんの耳で確かめてください(と誤魔化す)。
by 丹下段平 (2006-08-04 23:59) 

アートフル ドジャー

森の・・、パイレーツ・・とこれと観に行こうと思ってたから参考になりました。この時期必殺の平日の昼間も学生の参戦でちょっちゅ混雑気味の・・・だけど、明日あたり出掛けようかなっと。あまり期待してなかった・・つながりですが?ストーンズから消えた男。以外に面白かったですよ・・。
by アートフル ドジャー (2006-08-06 11:39) 

てれすどん2号

こいつがその後、、、(爆笑)映画もサイコーですが、こちらの記事のイラストも傑作です☆(笑)ただのいじめられっこじゃなくて、逆ギレしてわけわからんくなるのも現代っぽいです(笑)
by てれすどん2号 (2006-08-22 15:52) 

ももも

お久しぶりです。TB失礼します。

真琴がちょいギャグっぽく書かれているのも面白く、内容も実にスピーディで観ていて心地よかったです。

地方では未公開だったのですが、これは映画館で観たほうが面白そうなので、ちょっと悔しいです。
by ももも (2007-04-27 11:50) 

丹下段平

この映画、全国で公開には至らなかったんですね。そこそこの街なら上映したのかと思ってました。
嫌味のない爽やかな作品でしたね!
by 丹下段平 (2007-04-27 23:44) 

bamboosora

大林監督の「時をかける少女」は松田優作と薬師丸ひろ子が出演した
「探偵物語」と2本立てでしたよね。
僕はその頃薬師丸ひろ子が好きだったので、「探偵物語」が目当てで
観に行きましたが、結局感動したのは「時をかける少女」だったのを、
この記事を読んでいたら想い出しました。
なんか、懐かしいですねェ。
アニメの方も観ましたが、こちらの方はまったく別の作品として感動しました。
by bamboosora (2009-11-20 20:36) 

丹下段平

僕は『転校生』の大林監督に期待して観に行きました。何せ当時はジャクリーン・ビセットのような年上の外人女性が好みだったので、日本のアイドルにはあまり興味がなかったんです。

原田知世の『時かけ』、素晴らしかった。『時かけ』をもう一度観るなら、アニメ版じゃなく実写版だと思うのは世代的なものなんでしょうか。
by 丹下段平 (2009-11-21 19:59) 

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