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「トリノ、24時からの恋人たち」 [映画(2006)]

この映画の感想を一言で言うなら

好き。

他には適当な言葉が思い浮かばない。「良かった」でもなく「感動した」でもなく、「好き」しか無いだろう。逆に言えば万人受けはしないと思うので、「好き」「嫌い」ははっきりふたつに分かれるのではなかろうか。なぜならこの映画は

映画オタクのための映画

だからだ。映画ファンではなく、オタクじゃなきゃ厳しいだろう。この映画で引用されているのが映画創世記から、新しくてヌーベルバーグくらいまでで、元ネタが分かる人は相当少ないだろうから。それらがどんな映画かはパンフレットに書いてあるので、この映画を観た人はそちらを読めばいい。割と詳しく書いてある。

幾つかのブログや映画サイトの評を読むと、結構賛否が分かれているけど、だいたいこの映画を批判する人は、ポスターやタイトルから「もっとロマンチックなラヴストーリーのつもりで観に行ったら全然違って退屈だった」と書いている。確かに素晴らしくロマンチックなタイトルではあるが、そもそもこれが誤解を生む原因である。そうならないように僕がタイトルを付けられるならこうする

『映画男』

これなら間違われずに済むだろう。

だいたいこの映画の主人公は、(イタリアの)国立映画博物館の夜警で、超無口でネクラな映画オタク野郎なのだ。このキャラに共感できるか否かがこの映画を好きになれるかの第一関門である。主人公が夜警をしている所にバイト先でトラブルを起こし、警察の追っ手から逃げてきたヒロインを匿ってやることとなり、初めは懇ろになるチャンスがありながら手を出さなかったにも関わらず、結局いかにも映画男らしい愛の告白をするのだが、「やるな」と思うか「まどろっこしい」「暗い奴」と思うかで大違いである。

第二関門は先にも触れたように、国立映画博物館に展示してある(上映されている)映画が何なのか、いかに多くの作品が解るかが鍵だろう。知識があれば画面の端に映っている展示物さえ興味の対象になり飽きることは無い。だいたい主要人物が三角関係になってから、ある映画を観たという話になり、その映画が三角関係の末に最悪な結果となるという会話シーンがあるが、その映画が『突然炎のごとく』であることくらい分からないと厳しいだろう。

だいたいこの映画が上映されている東急文化村ル・シネマは映画男・映画女が行くような劇場である。そこに勘違いして映画を観に行ってしまった非映画男(女)が間違いなのだ。デートならせいぜい渋東シネタワーが適している。いや、それも危険かな。何せ渋谷は映画オタクのアキバみたいな場所なのだから。

 


ここから余談。

会社の同僚で入社2年目のT君は、自他共に認める電車オタク、つまり電車男なのだが、彼が言うにはオタクにも士農工商みたいなランク付けがあるそうで、最下層がアニメやフィギアのオタクで、鉄チャンはその少し上、映画オタクはずーっと上のランクらしい。どうもこのランクは女性受けの順位と思われるのだが、とりあえず悪いイメージじゃなさそうなのでホッとしている(目糞鼻糞という説もあるが)。


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コメント 4

かえる

こんばんは。
なるほど、邦題がいけませんね。
せめて、「トリノの映画男」。
by かえる (2006-10-06 01:41) 

丹下段平

かえるさん、コメントありがとうございます。『映画男』にトリノと加えただけで洒落たイメージになるもんですね。
by 丹下段平 (2006-10-06 01:56) 

マヤ

TBありがとうございました。
そうそう、この作品、いい悪いではなく、好き、嫌いというのはすごーーく納得です。夜警くんメインでみていらっしゃるのが興味深かったです。
私はやはり女性の目でみてしまうので。
by マヤ (2006-10-06 22:20) 

丹下段平

マヤさん、コメントありがとうございました。
みんな夜警視点で観てた訳じゃないんですね。勉強になりました。
by 丹下段平 (2006-10-07 01:19) 

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