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お宝じまん(その5) 実相寺昭雄監督 [映画-秘宝館]

実相寺昭雄監督が11月29日に亡くなった。享年69歳だった。

実相寺監督と言えば『ウルトラマン』シリーズ、『怪奇大作戦』と一連の円谷プロ制作の特撮テレビドラマの印象が強い。子供向けの番組でありながらヌーベルバーグのような斬新な映像、掟破りな宇宙人の扱い方と、大人の鑑賞にも充分耐え得る作品を送り出した。『怪奇大作戦』では多くの人が傑作と認める『京都買います』は確かに素晴らしかった。尤もリアルタイムで観た時には、この作品の良さは分からなかったものだが。

テレビでの評価が高まり、やがて実相寺監督は映画界に進出する。しばらくはATGで地味に作品を創っていたが、やがて大作も手がけるようになった。しかし、必ずしも映画作品の評価は高くない。いや、はっきり言えば低かった。

ところが監督としての人気は下がらなかった。それはテレビでの名作の数々を知っているファンが「いつかは映画でも」と思い、期待を込めて劇場に足を運び続けたからだ。そして、その度にがっかりさせられたものだが、実相寺監督はファンから見捨てられることはなかった。それ程テレビ作品の印象は強かったのだ。

子供の頃に手持ちカメラ、逆光、パンワイプなど斬新な手法を教えてくれた意義は大きく、恐らく40歳前後の映画作家で彼の影響を受けていない人は少ないのではなかろうか。

上のサインは『帝都物語』の公開初日に日比谷のスカラ座に観に行き、パンフにサインを頂いたもの。その時の穏やかで気さくな感じから、恐らく大勢の人に気軽にサインしていたと思われるので、それ程珍しいものではないだろうが、僕にとっては充分お宝なのである。


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アートフル ドジャー

 ん~。僕もTVモノの活躍はリアルタイムではありませんが・・、監督としての評価は、僕個人的な感想では、高いですね。作品としての面白さだけでなく、芸術性だけどもなく、ある意味その両方が良い・悪い意味で絶賛と言う評価の手前。未完成と言う所にファンは次回はと言う期待を何時も込めていた様な気がします。
by アートフル ドジャー (2006-12-02 08:11) 

丹下段平

なるほど、そうなのかもしれませんね。
実相寺監督の場合、観る側の期待度が大き過ぎたのかもしれません。現代にあって「鬼才」と呼ばれた数少ない監督でした。「巨匠」「名匠」と呼ばれた人は少なくありませんでしたが「鬼才」は少ないです。69歳ならもう少し作品を残せたでしょうけど残念です。
by 丹下段平 (2006-12-02 23:24) 

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