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「どろろ」 [映画(2007)]

どろろ ナビゲートDVD ~序章~なんっつうか…

大味

なんだよね、この映画。

今回は珍しく原作を既に読んでいる作品の映画化。とは云っても読んだのはもう10年どころじゃない前のこと。当然細かいことまでは覚えていない状態。

戦国時代、武将・醍醐影光(中井貴一)は天下を取れるよう魔物と契約をする。魔物の交換条件は、これから生まれてくる彼の息子の体のパーツ48箇所との引き換え。それを受け入れた醍醐影光は次第に勢力を伸ばしていく。一方、その息子は頭と胴体だけの姿で生まれ、すぐに捨てられてしまう。その子を拾った寿海(原田芳雄)により、人工の体のパーツを与えられ成長していくも寿海は亡くなり、自分の体を奪った魔物を求めて旅に出る。魔物を倒せば、その魔物が持っていった自分の体の一部が戻ってくるのだ。ある日、彼はこそ泥の女(原作では小僧のように描かれていたのだが)と出会い、一緒に旅をすることになる。そして彼は百鬼丸(妻夫木聡)、女はどろろ(柴咲コウ)と名乗るようになり…。とまぁ、これが物語の導入。

でも、何かが違う。勿論どろろの設定が原作から大きく変わっている。それよりも物語の雰囲気をだいぶ変えてしまっている印象が強い。そもそも『どろろ』は怪談色の強いおどろおどろしい雰囲気の作品であったのにも係わらず、映画では随分薄まってしまい、怪異譚というよりも冒険活劇のようになってしまった。いったいこれは狙ったものなのだろうか、それとも監督のセンスと力量が不足したためなのだろうか、原作の良さを映画に持ち込めていない。

それにしても何で魔物の断末魔をあんな風に破裂するようにしたのだろうか疑問。派手ではあるが薄気味悪さが無い。『仮面ライダー』じゃあるまいし。

それから役者。妻夫木聡、あまり良くなかった。何か時代劇にしては軽く雰囲気が出ない。百鬼丸は染五郎みたいな歌舞伎役者に演じてほしかった。だけど一番ネックに思われたどろろ役の柴咲コウは意外にも良かった。原作に囚われずに観れば、結構嵌まっていたような印象。

あとロケ地。ニュージーランドで撮ったらしいが、晴天の下、広大な草原で怪談やっても雰囲気が出る筈がない。せめて屋外のシーンは夜か曇天にするとかしないと怖さが出ない。閉塞感とトーンの暗さが必要だと思えるのだが。

やはりセンスのない監督が創ったらこの程度。こんなに面白い原作も台無し。

これをティム・バートンが撮ってくれてればなぁ~

 


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アートフル ドジャー

偉大な原作に挑むのには、それ相応の覚悟が必要です。手塚作品は本当難しいかも。
by アートフル ドジャー (2007-02-03 08:13) 

masala

こんにちは、TBありがとうございます。
私は原作を知らずに見ました。原作は怪談調なんですか、ふぅーん。
本作は完全に冒険活劇になっていましたね。
ロケーションについては、ラストの影光との戦う場所が平らで広々としていて、絵に締りが無いのが残念でした。もう少し立体的に撮影をすれば、映像にケレンミが出るのですが、何か平面的な撮影で単調だった気がします。
これからも「masalaの辛口映画館」を宜しくお願いします。
by masala (2007-02-03 11:15) 

アンソン

 「どろろ」駄目ですか? 監督はあの感動作「カナリア」の塩田さんなのですが、メジャー作品を撮るといつもダメみたいですね? 「黄泉がえり」も酷かったし。
マイナーな「害虫」「カナリア」路線は力が入っていて凄くいいのに、メジャー会社での仕事は生活の為なのかな?
by アンソン (2007-02-03 11:46) 

丹下段平

アートさんの言うとおり、手塚作品の映画化は難しいですね。何しろ漫画の時点で完成されているから、変に捻るとおかしくなるし、原作をなぞってもそれ以上にはならない。『火の鳥』『ブラックジャック』もダメでした。
by 丹下段平 (2007-02-03 21:51) 

丹下段平

masalaさん、仰るとおり絵に締りが無いんですよね。西部劇みたいな風景で違和感がありました。
「古今東西座」も宜しくお願いします。
by 丹下段平 (2007-02-03 21:54) 

丹下段平

アンソンさん、お久しぶりです。『カナリア』は良かったんですがね~。塩田監督はマイナー路線じゃないと実力発揮しませんね。エンタテイメントは監督自身が好きじゃないんじゃないかな、と思います。
by 丹下段平 (2007-02-03 21:57) 

ももも

こんにちは。TB失礼します。
(あ、背景また変わってる…)

CGひどかったですねぇ。私、途中から電王見てる気分になってきましたよ…。
ほんっと、大味…。(苦笑)
by ももも (2007-09-03 13:01) 

丹下段平

長い物語を映画化すると、ストーリーを追うのに精一杯になってしまい、丹念にディテールを描く事ができなくなりますね。ですから大雑把な映画になってしまう。もももさんの仰る通り、CGは酷かったです。それ以上に使い方にセンスが無いと思いました。
by 丹下段平 (2007-09-04 00:11) 

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