「世界最速のインディアン」 [映画(2007)]
好きだなぁ、この映画、と言うかこの人。
人生の全てをなげうって夢を実現するために生きている。バート・マンローの夢はお手製の改造バイクで世界最速記録を出すこと。その舞台に進むにはニュージーランドの片田舎からスピード記録大会が行われるアメリカのボンヌヴィル塩平原まで行かなくてはならない。それにかなりな額の渡航費用が必要になるため、高齢で年金暮らしの彼には未だに実現できぬまま60歳を越えてしまっている。それでもオートバイの改造で殆どが消えてしまう中でやり繰りして捻出してきた貯金とバイク仲間のカンパ、そして銀行から借金をして漸く彼はアメリカに旅立つことになった。そして…
バート・マンローのバイクは、この映画の舞台である1960年代当時でも相当レトロな1920年代に作られた「インディアン」。そのバイクを手塩にかけ、常識では考えられないような彼独自の理論で改造に改造を重ね無駄な部分の無い流線型の特異なマシンに仕上がった。周囲から馬鹿にされても笑われても、バートはそのマシンが最速であることを疑わない。
しかし、この映画の素晴らしさはバイク競技の世界よりも、バート・マンローという実在の人物のキャラクターの魅力に尽きる。バイク一筋に生きてきたため、世間からははみ出しているものの、とにかくピュアな心を持つ老人(自称「心はまだ18歳」…素敵なジジイだ!)。彼がニュージーランドからロスを経てユタ州にある大会会場までの道のりで出会った人々との交流が映画の核になっている。それは、ニュージーランドの暴走族、ロスのモーテルで受付をしている黒人のオカマ、中南米系の車のディーラー、道中で困ったところを助けてくれたインディアン、一人暮らしの老婆等々、多くの人々がバートの人柄に打たれて彼の手助けをしたくなる。これらの人々の多くがアメリカ社会ではマイノリティ。バートは他人を見下すような気持ちの全く無い人物なので、そんな人々もバートには心を許し、本来の優しさでバートを応援してくれるのだ。
バート・マンローを演じたアンソニー・ホプキンスはまさに名演。この人がハンニバル・レクターと同一人物とは到底思えない。脇役は有名な役者は出ていないが、これまた素晴らしい。特にモーテル受付の黒人のオカマを演じたクリス・ウィリアムズが印象深い。60年代当時、黒人もオカマも市民権を得ていないマイノリティの二乗な状況であるが、そんな彼(彼女)の優しさが心に染みる。そして彼(彼女)の心の美しさが、次第に容姿まで美しく感じてくる不思議さ。これもクリス・ウィリアムズの好演があってこそ。
役者の名演に支えられた一級品の娯楽映画! 観るべし!
↑新宿のテアトルタイムズスクエアには撮影で使われたバイクが展示してあった。映画鑑賞後は携帯にて撮影大会。
こんばんは。
アンソニー・ホプキンスいいですよね。絶対観に行きたいです。
新宿にはバイク展示されてるんですか。羨まし~い!
by キキ (2007-02-10 20:36)
いやぁ~、アンソニー・ホプキンス、ホントに名優ですね。この作品も例外ではなく素晴らしかった!
キキさん、関西でしたね。バイクはずっと新宿にあるのだろうか? こんな事とか初日の舞台挨拶とか、やっぱり東京は恵まれてると思います。僕も一時期札幌に住んだことがあるので、つくづくそう思います。
by 丹下段平 (2007-02-10 21:50)
僕もこれ観て久々タッカーを観たくなりましたよ。
by アートフル ドジャー (2007-02-11 08:42)
『タッカー』懐かしいですね。あの車、普及してほしかった。
確かルーカス製作、コッポラ監督でしたよね。豪華な映画でした。
by 丹下段平 (2007-02-12 21:59)
こんにちわ。
本作品、とても感動しました。
>バート・マンローという実在の人物のキャラクターの魅力に・・・
ホント、魅力的でした。
60代なのに青春真っ只中のような生き方に元気をもらい、
印象に残るセリフも沢山ありました。
観にいって良かった♪と思う映画でした。
by michi (2007-02-18 09:23)
michiさん、コメントありがとうございました。
バート・マンローもさることながら、脇キャラもみんな「いい人」でとても心地よい映画でしたね。
僕も60代になっても18才の心を持ち続けていたいものです。
by 丹下段平 (2007-02-18 23:07)
こんにちは。TB失礼します。
いやいや~、良い映画でしたね!好きです、こういうの。
印象深いシーンが多すぎて、どれが良かったとは一言ではいいきれませんが、とにかく爽快で暖かいな気分に浸れる一本でしたね!
しかしバード、モテモテですな。(笑)
by ももも (2007-07-31 11:55)
もももさん、ドB級ホラー専門ではなかったんですね。
本当に印象に残る映画でした。
それにしてもバード、あの歳でも☆☆☆できるなんて凄い! こりゃモテるよね。
by 丹下段平 (2007-07-31 22:51)