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「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」 [映画(2007)]

ある意味、僕の中では注目作であった。

「あの時代」について描かれた最初の映画。尤も「あの時代」当時も映画は創られていたのだが、今振り返って創られるのとは意味合いが違ってくるはずである。「あの時代」について作り手がどんなスタンスでいるのか? 時代をどう評価するのか? ―は、それが過ぎ去った時にしか描けないはず。だから僕にとっては内容云々よりも作り手の時代感こそを観たかったし、それがこの映画に対する興味の殆どであった。

バブルの頃は、僕は社会人になって間もない頃で、世間の異常な好景気とは無縁の業種で、バブルの恩恵に与った記憶が無い。だから世の中の狂乱振りを醒めた目で見ていた、と言うか実感出来ぬまま過ごしていた。

金が全てであるかのような時代…

地上げ、地上げで昭和の古き良き風景が失われたあの頃。夜の繁華街は大盛況で、男も女も遊び呆けたあの頃。日本の企業は海外の企業を買収しまくり、ブロードウェイの広告が日本の企業のものだらけだったあの頃。怪しげな青年実業家がもてはやされ、女性タレントとのゴシップが飛び交ったあの頃(今も?)。実に薄っぺらな文化しか生み出せなかったあの頃…

僕はどんどん変わっていく東京に馴染めなくなり始め、あの東京駅(丸の内側)の素晴らしい建物さえ高層ビルに建て替える計画があるという記事を新聞で読んだ時、そんな日本に愛想を尽かし、真剣に海外移住しようかと思ったくらいであった。あの頃の日本人は絶望的なほど自分を見失っていた。

東京いい店やれる店そんな時代をこの映画の作り手はどう表現するのか。監督は馬場康夫。バブリーな漫画やナンパ本をヒットさせた後に映画に進出し、『私をスキーに連れてって』という大した事ない映画をヒットさせた、まさにバブル時代の申し子(そこまで凄くない?)とも言える人物が、「あの時代」にどんな決着をつけるのか、どのような映画を敢えて今の時代に見せようとしているのか。そんな期待を胸に『バブルへGO!!』を観た!

(以下ちょっとネタバレあり)

(ここからは既にこの映画を観た人対象です)

と、意気込んだものの、あまりそんな事を考えずに創ったんじゃないかなという予感もあった。それはある意味当り、ある意味外れていた。やはり作品には作者の想いが間接的にではあっても出てしまう、そんなものだ。

映画のラストでも分かるように、作り手が選んだ現在はバブルの延長線上。レインボーブリッジは3本に増えており、下川路は総理になっても相変わらず女性好きなエロ親父になっている。そして日本はどうやら繁栄している様子。そうなのだ、それが作り手が理想とする現在の日本の姿なのだ。きっとこの頃には東京駅の赤レンガ建築は高層ビルと化し、僕は既に香港辺りに移住していたかもしれない。

いったいあのバブル時代にいい想いをした人の割合はどのくらいだったのだろうか。その割合こそがこの映画の支持率に繋がるような気がする。そして、バブルを体験していない人にはどのように映ったのか。

あのバブル時代に持て囃された人物は次第に時代から遅れ始め、既に過去の人になりつつある。そこで敢えて時代をバブル時代に戻したのは本領発揮できる舞台設定になるため、この監督にとっては正解ではある。しかし、バブル期に創られたゆる~い内容の作品を今の時代に創ったところで、果たしてリアルな今の時代の空気にフィットしたのだろうか。

答えは「No」という気がしたのだが…


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アートフル ドジャー

バブルの時の教訓がまったく生かされてないのがこの国の悪い所ですね、形を変えて同じ事をしてるだけの気がします。
by アートフル ドジャー (2007-02-16 08:03) 

丹下段平

う~ん、仰るとおり、多分。
結局上手く立ち回る人、大損する人、傍観者に回る人のキャスティングは同じなのかも。
by 丹下段平 (2007-02-16 22:56) 

ももも

こんにちは。こちらにもTB失礼します。

>監督は馬場康夫。バブリーな漫画やナンパ本をヒットさせた後に映画に進出し、『私をスキーに連れてって』という大した事ない映画をヒットさせた

やっぱり。いえ、撮影技法が古いというかトレンディドラマを観ているかのようなカメラアングルだったので、そういうバブリー時代の人間が撮ったんじゃないかなーと思っていたのです。
内容的にも軽く浮いてる感もありましたしね。

またお邪魔します。
by ももも (2007-09-07 15:26) 

丹下段平

『私をスキーに連れてって』は確かトレンディードラマより前に作られた映画だった記憶があります。それまで日本映画は古臭くて、その当時には有り得ない青春映画だったところ、超等身大のこの作品が凄く新鮮でした。この流れはその後むしろテレビに引き継がれていき、ひとつのムーブメントが起こったのでした。その点だけは評価しています。
でも、それから映画作家として殆ど成長が見られないので、今では古臭くなってしまったのかも。
by 丹下段平 (2007-09-08 02:05) 

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