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「プロジェクトBB」 [映画(2007)]

これが今から10年前であれば、1年間に2,3本が当たり前のように公開されていたジャッキー・チェン主演映画も、気がつけば近年は年に1本有るか無いか。最早ジャッキー主演映画が公開されることは、当たり前の出来事ではなくなっている。

ふと、そんな風に気付いたら、急にこの映画が観たくなり劇場に出掛けた。以前なら大きな映画館で公開されていた彼の作品も、劇場の数も規模もすっかり小さくなってしまっていた。

今回の映画は珍しく強盗の役。しかもギャンブル狂で、稼いだ金は全て注ぎ込んでしまいスッテンテンのダメ人間(他人の事は言えない僕ですが…)。懐かしいマイケル・ホイとルイス・クーの3人組が、大金に目が眩んで赤ちゃんを誘拐するが、次第に情が移ってしまい…というお話。これまた懐かしいユン・ピョウも警部役で登場する。

ジャッキー・チェンの映画は、以前は彼が監督した作品としない作品との出来の差が激しく、勝負は自身の監督作品に賭けていた。しかし、近年は出演作もめっぽう減り、久々のこの作品は勝負を賭けてもおかしくない筈なのだが、嘗てのような命懸けのアクションは観られない。アクションシーンの回数も減り、カメラワークで誤魔化している箇所も見受けられた。

しかし、である。考えてみればジャッキー・チェンも既に50歳を超えている。そんな高齢の人間に20代、30代と同じ事を望むのは到底無理な話なのだ。以前の凄さは無くても、これだけの事が出来る50代なんて、彼の他にはいないだろう。これ以上を要求することは「死ね」と言っていることに等しい。

役者は死の直前まで現役でいられる職業ではあるが、それはアクション俳優である彼には当て嵌まらない。50歳を超えた彼がジャッキー・チェンでいられる時間もあと僅かであろう。そのカウントダウンは始まっている。いったい、僕がジャッキー・チェンの新作映画を観られるのはあと何本なのだろうか。そんな事を考えていたら、ラストのNG集で目頭が熱くなり、涙でスクリーンが曇ってしまった。


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アンソン

 以前に書かれた「ストロベリーフィールズ」の感想もそうでしたが、丹下さんの文章は感想を越えて、まるで一片の物語のような「感動」と「味わい」がありますね。今回のJ・チェンのものも、そう感じました。1本の映画を見たあとのような感動がありました。ジャッキーにも読んでほしいですね。
by アンソン (2007-04-15 14:18) 

キキ

こんにちは。

段平さんのジャッキー・チェンへの想いが伝わってきました。
by キキ (2007-04-15 15:01) 

丹下段平

アンソンさんの仰る通り、映画の感想じゃなくなってしまうことが、確かにありますね。『虹の女神』の時もそんな風に感じました。これじゃぁ参考にならん! と思われる方もいるのかな?
by 丹下段平 (2007-04-15 15:06) 

丹下段平

キキさん、正直なところ、ジャッキー・チェンのファンって程ではなかったんですよ。でも、久しぶりにこの映画を観てありがたみが分かったと言うか、隠れファンだった自分が認識できたというか、不思議な感覚でした。
思えば『酔拳』の頃から知っているので、出世作からいつか来る最後の作品まで、リアルタイムで時間を共有したことへの共感もあるのかもしれません。
by 丹下段平 (2007-04-15 15:13) 

アンソン

 ブログ等の映画批評を見ると、よく評論家気取りで作品を批判しているものを見ます。明らかに素人なのに評論家を越えて、「もう少し、この監督は**を勉強した方がいいだろう」とか書かれているものもあり「お前は誰だ?」といいたくなるような高飛車な批判も見かけます。ま、そういうのに限って、作品の見方が偏っていたりするのですが・・。
 そんな中、丹下さんの批評は鋭く、作品への愛情を感じます。そして「批評も中身の濃いものは、もはや芸術作品である」と昔、誰かが言ってましたが、まさにその通りだと思えています。これからも楽しみにしております。
by アンソン (2007-04-15 17:27) 

丹下段平

アンソンさん、ありがとうございます。でも、だんだん恥ずかしくなってきました。
批評なんておこがましいです。あくまで感想。素晴らしい映画を観た時に「この映画を大勢の人に観てもらいたい」という気持ちと、酷い映画に出くわした時は、怒りの気持ちの捌け口としてブログの記事にしています。
あまりお褒めに与ると次が書き難くなりますね。
by 丹下段平 (2007-04-15 18:41) 

coco030705

こんばんは。
ジャッキー・チェンの映画は、彼が観客へのサービスを第一に考えて、
身体をはって演技しているところがおもしろいし、こちらもびっくりしますよね。
「今までおもしろい映画をたくさんありがとう!」と言いたいです。これからは、
監督業はどうでしょうか?
by coco030705 (2007-04-15 20:24) 

丹下段平

ココさん、いつもありがとうございます。
J・チェンは監督としても優秀だと思うのですが、それはジャッキー・チェンという役者あってのもののような気がします。監督に専念した場合、彼の要求を満たす役者がジャッキー・チェン以外にいるのかどうか疑問です。
でもそんな事を考えてか、役者の養成スクールを作るという記事を見ました。自分で演じることに限界を感じているのでしょうね。
by 丹下段平 (2007-04-16 01:30) 

丹下段平

↑ 役者の養成スクールじゃなくて、次の映画に出演できるオーディションの間違いでした。全然違ってましたね、ハハハ…
by 丹下段平 (2007-04-16 01:42) 

coco030705

↑(⌒▽⌒)アハハ! やはりジャッキーは、死ぬまで辞めない
つもりじゃないですか?
by coco030705 (2007-04-16 21:52) 

丹下段平

↑ でも、ジャッキーは次は若い役者に危ないことさせて、自分は楽しようとしているのがミエミエな気が…
by 丹下段平 (2007-04-16 22:18) 

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