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「13/ザメッティ」 [映画(2007)]

だいたい今の時代にあって、わざわざ白黒映画で監督デビューするなんて奴は、『イレイザーヘッド』のあの人や『最後の戦い』のかの人みたいに、目立ちたがりの自信家で、ヤマっ気がありありではあるが、若いうちは案外そのくらいの方が面白い映画を創るのかも、と思ってこの映画を観ることにした。

セバスチャンは屋根の修理で生計を立てている。ある日依頼先で仕事をしていると一通の封筒を拾う。どうやらその封筒は金儲けができる招待状だと知り、パリに出かける。怪しい連中と接触し、郊外の一軒の小屋に連れて行かれる。そこではロシアンルーレットによる賭けが行われており、セバスチャンはそのプレイヤーとして訪れたことになっていた。最早後戻りできない状況になっており、無理矢理参加させられることとなった。いよいよ13人によるロシアンルーレットが開始され…という物語。

白黒の画面と内容がマッチし、緊迫感溢れる作品になっている。後味の悪さは昔観たヨーロッパ映画を思い出させてくれる。この映画のゲラ・バブルアニ監督はデビュー作ながら個性的且つ確かな力量を見せてくれた。

―と書いて終わりたかったのだが、時間が経つにつれ「待てよ」という気分になってきた。

黒ひげ危機一発NEWパッケージそもそもロシアンルーレットという行為自体が、極めて緊張感を強いるものではないか。似た趣旨の『黒ひげ危機一髪』程度のものでさえ結構ハラハラドキドキさせてくれるのだから、それが命懸けのロシアンルーレットであれば、緊張でドキドキさせられるのは当然である。この映画の緊張感は、監督の力量と言うよりは、単にロシアンルーレットにサスペンスがあっただけなのではないか。それを白黒で撮ったので、アンダーグラウンドな雰囲気が増幅して異様な感じがでただけのことではなかったのか。

そう考えると、この映画が大したものではなく思えてきた。ロシアンルーレットを白黒で撮るという企画が上手かっただけで、この監督はやっぱりヤマ師だったのかもしれない。

しかし最初に挙げた2人の監督は今や大家である。その白黒のデビュー作は決して素晴らしい作品ではなかったが、その後に大ブレークしている。そう考えればバブルアニ監督も才能溢れる新人なのか、単なるヤマ師なのかは、次の作品で見極めることにしよう。


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