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「シッコ」 [映画(2007)]

「自己顕示欲の強い監督による自分自身が主演したドキュメンタリー」という新ジャンルを確立させた、その本家であるマイケル・ムーアの新作である。おそらく彼がいなければ『スーパーサイズ・ミー』や『デート・ウィズ・ドリュー』だって作られなかったかもしれない。このスタイルだと監督のキャラクターが重要なポイントになるが、さすがにマイケル・ムーアは存在感において、他の監督に比べて一枚も二枚も上。そして内容も過激さとスケールは段違い。政治色が強く、常に賛否の嵐を呼ぶ男。

そのマイケル・ムーアの新作『シッコ』は、アメリカの医療制度がターゲット。先進国の中で唯一国民健康保険制度がなく、医療保険は民間会社頼み。その保険に入れない層が国民の6分の1もいる。それに加えて入っていても保険会社が難癖つけて未払いになるケースも後を絶たない状況。そんなアメリカの医療制度をカナダ、イギリス、フランスと対比していく。これらの国々の医療は完全に無料で受けられる。それにしてもアメリカはNYテロ事件の英雄達にさえ…という内容。

今回は観ていて熱いものが感じられなかったのは何故だろう。マイケル・ムーアの過激な突撃取材の回数が少なかったこともあるが、明確な敵の姿が無かったせいもあるのだろうか。強いて言えばニクソンなのだが突撃取材できない相手では盛り上がらない。それにアメリカの医療問題に関しては対立する立場の人が少なく、マイケル・ムーアを支持する人が多いだろうと感じられる為なのか。彼の映画は喧嘩を売る相手が強力であればあるほど面白くなるのだが、今回はちょっとイマイチ。

それにしても、医療が完全に無料の国ってあるんだなぁ、初めて知った。これほど恵まれた国があるのに、日本は平均寿命が世界一なんだな。多分、マイケル・ムーアはこの映画で日本も取材しようと思ったのではなかろうか。で、大して恵まれていないと知って、無視することにしたのではなかろうか。だからと言ってカナダ、イギリス、フランスとかに住みたいとは思わないし、キューバなんてまるで考えられないのだが…。

いやいや、勉強になりました!


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side_B

日本の自己負担は無料ではないので、対比として際立たなかったんではないかという説もありますが。
映画に出てきた他の国に比べれば、確かに日本にはアメリカに紹介したいと思うような社会保障制度がなかったのかもしれません。
by side_B (2007-09-02 21:31) 

丹下段平

side_Bさん、コメントありがとうございます。
仰るとおり対比するには弱いですよね。いつか日本もイギリス、フランス並に…ならないでしょ~ね。残念ながら。
by 丹下段平 (2007-09-02 23:52) 

ジジョ

こんにちは☆
アメリカの医療ドラマ好きの私としては、かなりショッキング☆な内容でした、、、。あいつも、こいつも本当は、、と思うと素直な気持ちでドラマが見れません。。。現実ってキビシイですね、、
by ジジョ (2007-10-03 01:34) 

丹下段平

医療技術は一流でも医療を受けられなければ何にもなりませんよね。
ホント現実はキビシイです。
この映画のお陰で少しは改善されるのでしょうか?
by 丹下段平 (2007-10-03 01:58) 

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