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「めがね」 [映画(2007)]

実はまったりするのが苦手だ。リゾートでリクライニングチェアでうたた寝をしながら一日が過ぎていく…なんてのは無理! 何しろ小学校の通信簿には「落ち着きがない」と6年間書かれ続けた。じっとしてはいられず、回遊魚の如く動き回るしかできない。この『めがね』はそんな自分にとっては超苦手な「まったり系」ではないかと予測でき、実際その通りであったのにも係わらず、何故か退屈しないで観通せた。

(おそらく)都会から南国の海岸にやって来たタエコ(小林聡美)はハマダという宿に辿り着く。迎えたのは宿の主人のユージ(光石研)。そしてその宿の使用人なんだかよく分からないサクラ(もたいまさこ)、近所の高校教師ハルナ(市川実日子)、そしてやがてタエコを追ってやって来るヨモギ(加瀬亮)。そんな彼女らがが過ごす、まったりした数日間の話。いや、話らしい話は殆ど無い。別段何が起こるでもない。観客はタエコの視点で、のんびりとした休日を共有するだけの映画。

この映画、意図的にキャラクターのバックグラウンドを説明しないので分らないことだらけである。主人公のタエコすらよく分からない。ヨモギに「先生」と呼ばれているので、作家と編集者じゃないかな、と感じる程度。会話の中にその人への質問があっても明確な答えはしない。ユージだって土着の人間では無さそうだし、サクラに至っては普通の人間と思えない。全てが曖昧な人々ではあるが、あえてそうすることで、日常のしがらみから開放され、自由な雰囲気が醸し出されている。

こりゃぁ退屈しそうな映画だな、と思われるかもしれない。多分ある人は退屈するだろうし、ある人はこの雰囲気を満喫できるのだろう。映画の冒頭でユージがタエコに「ここにいる才能がある」てな事を言うのだが、それを借りるなら「この映画を観る才能」が必要な映画なのかもしれない。

正直、僕にはこの映画が良かったのか悪かったのかよく分からない。少なくとも退屈はしなかったので、辛うじて「この映画を観る才能」は若干あったのかもしれない。そんな「才能」が必要な映画なので多くの人にお薦めはできない。でも、ちょっとでも自信があったら観てみる価値はあると思う。

 


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