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「ダージリン急行」 [映画(2008)]

実はあまり映画を観られなかった(観なかった)時期が数年間ある。であるからその間に出てきた監督の作品は案外観ていない。この映画の監督であるウェス・アンダーソンもその中のひとり。『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』は前売り券を買っていながら観られなかったし、『ライフ・アクアティック』は公開されたことすら知らなかった。そして遂に、と言う程ではないが、この『ダージリン急行』である。多分好きなタイプの監督だろうなぁ、という予想は当たり、かなり面白かった。ちょっと変わり者が揃った三人兄弟がインドを旅するロードムービー。一番下の弟が旅に出る直前を描いた短編のおまけつきも嬉しい。

普段交流のない3人兄弟が、一番上の兄(オーウェン・ウィルソン)の提案で、一緒にインドを列車で旅することになる。しかし何でも仕切りたがる兄に、マイペースな弟ふたり(エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン)は反発を覚える。喧嘩を繰り返しながら列車の旅は続くが、次男のピーターが買った毒蛇が入れ物から脱走し大騒ぎになったところで列車から降ろされてしまう。途方にくれる三人はトボトボと歩き始めるが…という物語。

旅の直前に事故に遭い包帯姿の長男が、料理の注文まで勝手にしてしまう様子に、この兄弟の不仲の原因だと思って前半は観てしまうのだが、弟ふたりがマイペースで、きっと10年くらい兄弟と会わなくても平気な情の薄いタイプに感じられるようになるにつれ、この兄弟が行動を共に出来るのは、案外こんな兄がいるからなのかと思えてくる。両親は離婚して、しかも父は他界し、誰かが強く言わない限り集まらない家族。そんな中で絆を探ろうとしている兄の姿は健気なものに思えてくる。

感動したというタイプの作品ではないが、笑いの底に垣間見えるペーソスに作品の奥深さを感じる。ロケ地にインドを選ぶというセンスも秀逸で、この物語はインドじゃなきゃ面白くならなかっただろうな、とさえ思えてくる。そんな風景に役者が素晴らしい演技を見せてくれている。クセのある映画だから万人向けとは思えないが、なかなかの傑作。3バカ兄弟とインドを旅するのも悪くない?

ダージリン急行.JPG
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coco030705

こんばんは。
私は「ライフ・アクアティック」しかみてないんですが、この監督のセンス、
好きです。遊び心が一杯で、インテリアや衣裳のセンスが抜群です!
しかも、監督のウェス・アンダーソンがハンサム☆(^^)
この映画もいつか見てみたいです。
by coco030705 (2008-03-18 23:29) 

丹下段平

僕も『ライフ・アクアティック』観てみたいと思います。
『ダージリン急行』でもインテリアや衣装のセンスは良かったですよ。
by 丹下段平 (2008-03-19 07:47) 

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