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「うた魂♪」 [映画(2008)]

うた魂♪ (朝日文庫 し 37-1)予告編やポスターでベタな不良姿のゴリを見て、そのあまりのバラエティ臭さに「これはパスすべき作品」と判断するのが一般的な映画ファンではなかろうか。テレビの延長のような作品にわざわざ金を払うのは馬鹿らしい、と思うのが当然で、少なくとも僕は観ないつもりだった。しかし信頼できる友人がこの作品を観て「良かった」と褒めていたので、かなり疑いながらも観てみることにした。

映画が始まってしばらくは、主演の夏帆やゴリのマンガっぽい演技に加え、間寛平まで登場し、完全にバラエティなノリに気が重くなる。薦めてくれた友人が脳裏をよぎり、彼の真意が分からず「きっとその内盛り返すんだ」と信じるほかなかった。

美人で才能豊かと自意識超過剰な合唱部に所属している荻野かすみ(夏帆)が憧れの生徒会長から写真のモデルを頼まれ、出来た写真が会報誌に大きく掲載される。その写真はかすみがヘンな顔で歌っている姿で、これを見たクラスメイトからはシャケが産卵している時の顔みたいと馬鹿にされてしまう。落ち込んだかすみは合唱部を辞めることを決意。顧問の産休代理教師の瀬沼裕子(薬師丸ひろ子)に告げると最後に夏祭りの合唱祭に出るよう薦められる。合唱祭に出たかすみはシャケ顔を気にして上を向いて歌えない。おまけに会場には憧れの生徒会長の姿も。かすみたちの後に登場したのは権藤(ゴリ)率いる湯の川高校の不良少年合唱部。尾崎豊の『15の夜』を熱唱する彼らの姿を見たかすみは心動かされて…というのがお話の前半。

この湯の川高校のパフォーマンス辺りから映画はやや好転し始める。合唱部で自分勝手な振る舞いをしていたかすみも他人の痛みが分かるようになり、人間的な成長をしていく姿も微笑ましい。しかしどこかおちゃらけたまま映画は進み、最後の合唱コンクールへ。そんな褒められた映画じゃないけど、鑑賞後はなぜか

良い作品を観た

気分になるのが不思議。とても爽やかな印象が残る。繰り返すがとっても不思議。

多分、映画と言うよりか合唱そのものの良さが残ったのではなかろうか。役者たちが一所懸命に歌う姿が感動を生む。真剣なパフォーマンスはそれだけで感動的だ。その部分はドキュメンタリーのような感動に繋がる。ラストは予想できたものの、それでも素晴らしいパフォーマンスが観られる。この映画の一番のネックだったゴリも、台詞や歌う姿に気持ちが入っており説得力があり良い印象が残る。そして久しぶりに聴けた薬師丸ひろ子の澄んだ歌声も嬉しい。

そんなちょっとミラクルなこの作品。多少下手でも心がこもっていることが肝心…ってゴリも言っていたかな?

うた魂.JPG


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キキ

こんにちは。
この映画本当に評判がいいですね。
私も観たいと思っているんですが、時間がいつも合わないのです。

by キキ (2008-05-04 18:59) 

丹下段平

キキさん、コメントとnice!ありがとうございます。
絶対に観た方がいい、とまでは言いませんが、時間を見つけてなるべく観てみてくださいね。
by 丹下段平 (2008-05-04 23:42) 

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