「スピード・レーサー」 [映画(2008)]
子供の頃に観た『マッハGoGoGo』がアメリカで人気になっていると聞いたのが数年前のこと。はっきり言って「何で今さら」と思っていたら、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟によって映画化されると聞いて二度ビックリ。時代も国境も越えてしまった『マッハGoGoGo』。いや、アメリカのタイトルは『スピード・レーサー』。日本人でもすんなり受け入れられる単純なタイトルで、それも良し(まさか主人公の名前だとは思わなかったが)。
正直に言えば『マッハGoGoGo』はそれ程好きなアニメ番組ではなかった。だからリアルタイムに観たっきりで、実に約40年(!!)ぶりにアメリカ映画として再会することとなった。何しろ相当な年月が経っているので、どんな話だったか忘却の彼方であったのだが、プラモデルを作ったことのあるマッハ号のデザインと、キャラクターが日本人離れしていたことと、「かっぜっも~ ふ~るえ~る ヘアピンカ~~ブ~」って主題歌は覚えていた。だから、今回は単純に懐かしがれればいいや、くらいの気持ちで鑑賞することにした。おまけに劇場に着いたら直ぐ始まるのが日本語吹き替え版で、「元々アニメなんだからそれでもいいや」と悩まずに席に着いた。
全く期待していなかったと言えば嘘になるが、アメリカンなタッチに変わっているのだろうと諦めていたのだが、それは始まって直ぐに覆された。
『マッハGoGoGo』のオリジナル曲じゃね~かよっ!
おそらくちょっとした曲までオリジナルを踏襲している。そして出てくるキャラクターがかなりオリジナルに近いキャスティング。こうなるともう懐かしいこと、懐かしいこと。「ミフネ・ゴー(スピード・レーサー:エミール・ハーシュ)ってこんな感じだったなぁ」とか「オヤジ(ジョン・グッドマン)、そっくりじゃん」とか「チンパンジーと弟、いたいた。ヘンな帽子被ってたよな~」とか「マッハ号のハンドルにたくさんボタンがついてた」とか記憶が一気に蘇る。そして覆面レーサー。「兄貴だって直ぐに分かりそうなものだろ」って幼い頃に思ったことさえ蘇る。そんな感じでオリジナルに近い曲も相まって、どっぷりハマりまくり。お話がどうとか、レースシーンが現実離れし過ぎとか、どうでもよくなってくる。とにかくウォシャウスキー兄弟がこのアニメが好きで、忠実に再現しようとしたことが分かり、こちらとしても嬉しくなってくる。
それにしても、何とも無国籍な作品だよなぁと感心した。オリジナルのアニメが日本とは思えないものであったのだが、この精神はアメリカ版の今作でも生きている。アメリカ人が演じてはいるが、どこの国だか分からないような街の様子。日本語、中国語、ハングルが英語に入り乱れ、人種も様々。時代だって昔想像した21世紀的で、レトロな近未来な雰囲気。おまけに僕が観たのは日本語吹き替え版となれば、いったい自分が観ているのは何なのかが分からなくなってくる。ここまで国境や人種や時代を越えて、現実のしがらみから開放された作品というのが過去にあったのだろうか。ある意味、「究極の自由な空間」を創り上げたと言って過言ではないのではと思える。こんな幸せな映画を観られて実に有意義な体験であった。もっとも『マッハGoGoGo』を知らない世代にはどう映ったか分からないが(知ったこっちゃないけど)。
それにしても…
赤西仁(の吹き替え)下手過ぎ!(←究極の棒読み)
> アメリカで人気になっていると聞いたのが数年前
数年前どころか、10~15 年くらい前に(たぶんもっと以前から)、ケーブル TV で何度でもリピート放映してましたね。なんであんなに受けるのか、当時からまったく判りませんでした。
by baldhatter (2008-07-20 22:15)
baldhatterさん、コメントありがとうございます。
アメリカってカーレース自体が人気のスポーツなので(詳しくありませんがインディとかありますよね)、土台が違うのかもしれませんね。やっぱり車社会なんでしょうかね。
by 丹下段平 (2008-07-21 00:22)
赤西仁氏を擁護するコメントを頂きましたが、書いた方のブログのアドレスがなかったので削除いたしました。批判は結構ですが、卑怯な行為はお断りです。自身のブログに飛べるよう堂々と書き込んでくださいませ。
by 丹下段平 (2008-07-21 00:25)