「ウォーリー」 [映画(2009)]
信頼のブランド、ピクサーの新作アニメ。今回はSFで未来のお話。
映画が始まってすぐ、自分が観ているのが日本語版であることに気がついた。映画が始まるまで何の疑いもなく英語版だと思っていたのだから悠長なものである。失敗したと思ったけど後の祭り。しかしそんなことは何ら問題がないことが分かる。何たって前半は
ほとんどセリフがない
からだ。ご丁寧に画面の看板などは日本語に書き換えられてはいるが、そんなこともあまり気にならない。こんな長編の作品でこれだけセリフのない映画も珍しいのだが、メジャー作品としては思い切った手を打ったものだ。演出力がなければ成立しない試みであったと思う。考えてみればアメリカのアニメは昔の作品はセリフがほとんどない作品が多かった。その代表格は『トムとジェリー』などだろうけど、長編だとあまり存在しなかったかもしれない(それほど詳しいわけではないので、自信はあまりないが)。
無人になった地球で、一台だけ動いているごみ掃除ロボットのウォーリーの前に現れたロボットのイヴ。最新型で荒っぽいが、いつしか彼女(どうも女らしい)に恋してしまったウォーリーが、彼女に宝物のひとつの植物を見せたとたん、彼女は植物を収納して動かなくなってしまった。イヴが動かなくなって月日が流れ、イヴを連れて来た宇宙船がやってきて彼女を回収して飛び立った。ウォーリーも宇宙船にしがみついて宇宙へ旅立った。向かった先にあったものは…というお話。
素直に良かった。何でロボットに感情が芽生えたのか、とか端折っている部分はあるけど、アニメなんだし目くじら立ててもしょうがない。でも、良かったんだけど、何かモヤモヤが残る。SFにおいてコンピュータの反乱ってのが食傷気味だったのかもしれない。『2001年宇宙の旅』以来、いろんな作品で使われたパターンで、つい少し前にも『イーグルアイ』でもこのパターンだったっけ。『ウォーリー』の創り手も『2001年』を引き合いの出されるのを予想して開き直ったのか、オマージュなんだか分からないけど、『2001年』で一番印象的だった音楽『ツァラトゥストラはかく語りき』を使っている。まぁ、この他にも何となく他のSF作品っぽいところもあり、話自体に独創性が欠けた印象を受けたのかもしれない。
とはいえ、安心して楽しめる作品になっていると思う。ちなみに僕が一番気に入ったロボットはちっこいお掃除ロボットのモー。こいつはぜひ欲しいな。
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