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「K-20 怪人二十面相・伝」 [映画(2009)]

江戸川乱歩原作の映画化かと思って観に行ったのだが、怪人二十面相、明智小五郎、小林少年のキャラクターだけいただいた北村想原作の映画化だった。だから江戸川乱歩のような明智側からの視点ではなく、二十面相(にされてしまった)側から描いた、ちょっとテイストの違ったドラマになっており、予想していたよりも楽しんで観られた。

第二次世界大戦が回避された1949年の架空都市・帝都。華族制度により貧富の差が激しい格差社会になっていた。サーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)の元に雑誌編集者(鹿賀丈史)が現れ、名探偵・明智小五郎(仲村トオル)と財閥の娘・羽柴葉子(松たか子)の結婚式の様子を撮ってきてほしいと依頼される。体調がすぐれない団長(小日向文世)のためにお金が必要であった平吉は了解して、羽柴ビルの屋上に上り、天窓から撮影を試みるが、失敗し取り押さえられた挙句、世間を賑わす怪人二十面相に仕立て上げられてしまった。激しい取り調べの後、護送される途中の平吉を救いだしたのは、サーカスのカラクリ師(國村隼)であった。しかしカラクリ師は表の顔で、実は妻(高島礼子)や仲間と泥棒をしていることが分かった。嫌悪感を抱く平吉であったが、怪人二十面相を自らの手で取り押さえ無実を証明するために泥棒修行を始めることになり…というお話。

この映画が面白かった要因としては、女性監督には珍しい(差別?)佐藤嗣麻子のテンポ良い演出、『ALWAYS』スタッフの良くできた特撮、そして的確な配役にあったと思われる。役者は特に脇役が面白く、松たかこのお転婆なお嬢様はイメージそのままであり、高島礼子のオトボケぶりも楽しい。特に良かったのは國村隼。彼が出演すると役に説得力がでて深みが増す。いつも素敵な役者であるが、今回も映画をワンランク上げていたと思えた。小日向文世はしょっちゅう見かけるが、今回もチョイ役。売れっ子なのは分かるが、かけ持ちし過ぎで夫々の作品の出番が少ないのが勿体ない。

こんなスタッフ、キャストが繰り広げる、江戸川乱歩の世界観と言うより、ねずみ小僧+T・バートン版『バットマン』+『帝都物語』のような映画は、日本の娯楽作品の中にあっては上出来の部類であったように感じた。但しクライマックスが案外盛り上がらないことと、真犯人が先読みできてしまう点は残念であったのだが…

K-20.jpg


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nexus_6

なるほど、TVCMの印象がどっかで観た感じと思っていましたが、言われてみればティム・バートン風ですね。
by nexus_6 (2009-01-12 11:37) 

baldhatter

> 『帝都物語』のような映画

テレビスポットを見ていると、そんな雰囲気なんですよね。「おもしろそー」と言ったら息子にバカにされましたけど。
by baldhatter (2009-01-12 21:56) 

丹下段平

nexus_6さん、こんばんは。
持っている小道具とか、二十面相のマントとか、雰囲気も含めて『バットマン』っぽいです。
by 丹下段平 (2009-01-12 23:44) 

丹下段平

baldhatterさん、息子さんにバカにされてしまいましたか。でも面白いですよ。
第二次世界大戦が起こらなかった設定の架空都市・帝都(まぁ東京がモデルなのですが)なので、レトロながら立派な建物が残っているので、街の様子が『帝都物語』でした。
by 丹下段平 (2009-01-12 23:47) 

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