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「英国王給仕人に乾杯!」 [映画(2009)]

チェコの巨匠イジー・メンツェルの監督作品。巨匠と書いたけど、飄々としたタッチからはそんな堅苦しい名称は似合わない雰囲気がする。イジー・メンツェル監督の作品を観たのは『スイート・スイート・ビレッジ』以来だから、既に20年以上が過ぎているが、トボケたユーモアはさらに磨きがかかり、重い内容も軽やかに笑い飛ばす職人芸には深いコクがあり、すっかりファンになってしまった。

物語は監獄から出所したヤン(オルドジフ・カイゼル)が、彼の辿った人生を回想する形式になっており、若き日のヤン(イヴァン・バルネフ)が田舎町のレストランの給仕から高級ホテル(実際は怪しげなことをしているのだが)を経てプラハの一流ホテルへとステップアップしていく様子が描かれる。そこに女性遍歴も絡み、娼婦、同僚、そして妻となるドイツ人のリーザ(ユリア・イェンチ)へと辿っていく。そんな流れと並行して社会情勢も刻々と変化していき、チェコスロヴァイア共和国はナチスドイツの支配下に置かれ、第二次世界大戦に巻き込まれていき、暗い影を落とすのだが、ヤンはナチスの兵士であるリーザと結婚したがために他のチェコ人とは違った環境で過ごすことになる。

と、これだけ読んだ限りでは分かりにくいと思うのだが、あえて例えるなら山田洋次監督が『母べえ』を寅さんのタッチで描いた雰囲気だと思ってくれればイメージが掴みやすいと思う(違うか?)。チェコという数奇な運命を辿った国で、さらに数奇な運命を辿った小柄な男の悲喜劇。あまり馴染みのない国の作品だが、硬いイメージを覆す軽やかな傑作。機会があったら是非多くに人に観てもらいたいと思う。

英国王給仕人に乾杯!B.gif


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