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「ウルトラミラクルラブストーリー」 [映画(2009)]

独創的な作品は嫌いではない、と言うか好きだ。この『ウルトラミラクルラブストーリー』もかなり「きちゃってる」感じがユニークな作品なのだが、楽しむためには作品の出来云々以前のことがある。

主人公の農業を営む青年(松山ケンイチ)は脳に障害があるため、とにかくじっとしていられない。常に落ち着きなく動き回りながら奇声を発したり、目についたものは何でも手に取りばらまいたりと、とにかくこちらの気持ちを逆なでするようなことばかりし続ける。こんな主人公に上映時間120分付き合わなければならないので、よほど忍耐強く心の広い観客しか耐え難いものがある。「イラッ」としたり「ウザッ」と思い始めたらこちらの負けである。後は早くラストシーンを迎えることを祈るばかり。苦行に近いものさえある。

まぁ、早い話僕はそう思ってしまったので、観ているのが辛く感じてしまった。観る側の感情移入を許さない主人公の行動やヒロイン(麻生久美子)のラストシーンでの信じ難い行為まで、予想を裏切る突拍子もない展開を楽しむ以上に「イラッ」とする感情が上回ってしまった。もし、横浜聡子監督の意図が観客を挑発するようなものであったとしたら、それはある意味成功したと言っていいと思うのだが、観客はイライラするためにわざわざ高い入場料を払っているのではないということも感じ取ってほしいものだ。

と、苦言を呈するような文章になってしまったが、発想のユニークさや超個性的な視点が印象的だったことも事実。いつかこの横浜聡子監督は、とてつもなく面白い傑作を創るかもしれないという可能性も予感させてくれた。そのいつかが次の作品なのか、ずっと先の作品なのか、僕の思い過ごしだったのかは現段階では分からないが、取りあえず次回作も観るだろうことは間違いないと思う。

ウルトラミラクルラブストーリー.gif


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コメント 12

マヌカン☆

何と言っていいか判らない不思議な映画ではありました。
「タイトルはピッタリかなぁ…」と思ったりして。
私も、この監督の次回作を見ると思います。
やっぱり、イラスト素敵です。
by マヌカン☆ (2009-08-05 06:23) 

ばん

のーやく、いってえなにすんべ。
by ばん (2009-08-05 10:53) 

bamboosora

うちは息子に「知的障害」があり、この手の映画には
興味があるので、できるだけ観るようにはしていますが、
そういう内容だったとは知りませんでした。

この映画も一度観てみないといけませんね。

でも、たいていは障害者の表現をするに当たって、役者の演技が
「やり過ぎ」の場合が多いので、がっかりしてしまいます。

あくまでも映画であり、ドラマなわけですから、
リアル過ぎると、それはもう「ドキュメンタリー」に
なってしまうんで、仕方が無いのかもしれませんけど。

ところで、話が急に変わりますが、
僕は「麻生久美子」がめちゃめちゃタイプです。

by bamboosora (2009-08-05 11:16) 

薔薇少女

松山ケンイチは好きですが、CMの彼は何だかな~と思ってしまいます。
映画やドラマで感動する演技をされる役者さんでも、
CMに出ると、どうしようもなく嫌になってしまう事がありませんか?
その逆で、トミーリージョーンズのCMシリーズはメチャ楽しく、
感動さえ覚えたので有ります!(最近は見かけなくて残念です)
私のコメント、いつも、本分と関係なくてゴメンナサイ(謝)
映画、絶対見たいッっていう気持ちになるものが無いです。
何かと無気力になっている昨今です。
by 薔薇少女 (2009-08-05 13:19) 

丹下段平

マヌカン☆さん、ありがとうございます。
不思議な映画でしたね。監督もきっと不思議な人なんだろうなと思いました。
by 丹下段平 (2009-08-05 22:25) 

丹下段平

ばんさん、こんにちは。
のーやくをかけると頭が冴える主人公なのです。
(よい子のみんなは真似しないように!)
by 丹下段平 (2009-08-05 22:33) 

丹下段平

bamboosoraさん、こんにちは。
おそらく障害者の扱いに関しては、あまり深く考えてはいなかったと思います。この映画の主人公は軽い症状なのかな、と思いますが、bamboosoraさんが納得いくかは疑問です。

麻生久美子は、めちゃめちゃはつかない程度にタイプです。
by 丹下段平 (2009-08-05 22:34) 

丹下段平

薔薇少女さん、こんにちは。
無気力な時に観るべき映画ではないので、見送ってよろしいかと思います。何しろ主人公に付き合うのが疲れるので、機会がありましたら元気な時にご覧ください。
by 丹下段平 (2009-08-05 22:38) 

duke

イラスト。。。似てます。。^^
イラッは困ります^^; 映画でストレスは残念すぎる~~。
by duke (2009-08-08 21:26) 

丹下段平

dukeさん、こんにちは。
サスペンスなんかは、違う意味で意図的にストレスがたまるような演出をしますが、たいがい最後はスッキリするものですが、この作品はそうなっていませんので、そのつもりで観ないと痛い目にあいます。
by 丹下段平 (2009-08-13 09:03) 

ナギ@名古屋

△私は、なんとか映画の流れについていくことができました(丹下さんの「こちらの負けである。」に笑いました。確かにそうですね)。
△松山ケンイチ演じる役が多少アレでも、周囲の人々の心理はキッチリと構築されていましたから、そこを拠り所にして見ていたら、映画が終わる頃には、この映画を「好き」になっていました。(農薬の空中散布が登場した時点で、コリャ、心穏やかな話にならないネ、と諦めていましたし。)
△この話は一種の『アルジャーノンに花束を』なんですね。あの話の主人公も、賢さを保つためにあがき、そして、破れていきます。松山ケンイチくんは、より「ウルトラ」に足掻いて、「ラブストーリー」をまっとうしてくれました。
△障害や農薬、リアリズム云々は、言うのも野暮、と思います。主人公の体の「健康状態」がアレになってしまうのですから。[長文失礼しました]

by ナギ@名古屋 (2009-09-10 18:39) 

丹下段平

ナギさん、コメントありがとうございます。
楽しまれたようで、よかったですね。感じ方は千差万別。「イラッ」も「ウザッ」もなければ面白く観られるでしょうね。
by 丹下段平 (2009-09-11 00:56) 

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