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「九月に降る風」 [映画(2010)]

台北郊外の街・新竹にある高校に通う、ほんのチョイ悪な男子グループ7名の群像劇。無邪気な悪戯を繰り返す前半は観ていて楽しいのだが、次第にメンバー間の関係が変化していき、切なくほろ苦い結末になっていく。

結論から述べると、かなり気に入った。

驚くべきことは台湾の高校生の話なのに、全く違和感を感じなかったこと。設定は1996年なので、今は日本も台湾も高校生のあり方は変わっているのかもしれないが、少なくとも僕には自然にすんなりと受け入れられた。逆に言えば同じ脚本で日本で撮ってもあまり手を加える必要がないように思えた。何となくひと時代(もっと?)前の日本の青春映画に通ずる雰囲気を持った作品になっている。また、この時代の台湾は野球人気に火がついた時期で、そんな最中に起こった八百長事件で多くの選手が球界追放処分となった悲しい出来事が高校生たちのドラマとリンクして、切なさがより一層のものとなって効果をあげている。

『九月に降る風』を監督したトム・リンはこの作品が実質デビュー作。作品の舞台となった新竹は彼の出身地。故にかどうかは分からないが、ロケーションが魅力的で、街が生き生きと描かれている。僕が特に気に入ったのはグループのたまり場になっている高校の屋上シーン。彼らの背後に見える街と山並みの風景が実に美しい。そこ以外でも風景に愛着が感じられるのが実に心地良い。物語としてはそれほど際立ったものではないのだが、丁寧な描写と魅力的な映像で素敵な作品に仕上がっている。

東京では昨秋に公開されたこの作品。その頃からずっと観たいと思っていたのだが、札幌ではDVD発売間近の今頃になってようやく劇場公開された(しかも1週間だけという扱い)。雪の降る中観に行ったものだから、窓口で『九月に降る雪』一枚くれと言い間違って劇場の人に失笑されてしまった。亜熱帯気候の台湾で9月に雪が降ったら大変な騒ぎだろうけどね。

九月に降る風.gif


タグ:トム・リン
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コメント 8

クリス

すいません。
作品のことは全然知らないんですけど、
窓口の一言に笑ってしましました^^

こういうことって、ありますよね。
タイトルを微妙にまちがえてしまうこと、作品名は思い出せないけれど
あったと思いますし、これからもあるでしょう!
by クリス (2010-02-06 12:57) 

なぎ猫

台湾映画、盛り返してきてるみたいですね。
by なぎ猫 (2010-02-06 21:22) 

丹下段平

クリスさん、こんにちは。
同じ劇場の窓口で『のんちゃんののり弁』と「の」をひとつ余計に入れて言ってしまったことがありました。
テキトー人間なので、結構言い間違いしています。
by 丹下段平 (2010-02-07 00:55) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
実は台湾の映画を観たのはかなり久しぶりでした。もしかしたら最も日本と感覚が近い外国かもしれません。
by 丹下段平 (2010-02-07 00:59) 

薔薇少女

>『九月に降る雪』一枚くれと
お気持ち解ります、今冬は内地でも雪多いですものね!
『アバター』を『アジャパー』と言ってみたらウケマセンかね(o´゚д゚`)っ))
by 薔薇少女 (2010-02-07 08:36) 

丹下段平

風を降るとは言いませんから、間違えてもしょうがありませんよね?

『アバター』を『アジャパー』ですか。劇場窓口の女の子が可愛かったらウケ狙いで使ってみたいですね。
by 丹下段平 (2010-02-07 12:10) 

artfuldodger

 都内近郊に住んでると、小額作品系に関して言えば他の地方よりは有利ですね。
by artfuldodger (2010-02-07 20:04) 

丹下段平

アートさんの仰る通りで、札幌に住んでそれを実感しました。遅れても公開されれば御の字で、遂にこちらでは公開されなかった作品も沢山あります。
by 丹下段平 (2010-02-08 00:19) 

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