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「抱擁のかけら」 [映画(2010)]

実はスペイン映画が苦手だ。この『抱擁のかけら』を監督したペドロ・アルモドバルの『アタメ』、ペネロペ・クルスのデビュー作『ハモンハモン』を短い間で観たことがあったのだが、その2本を観て感じたことは

スペイン人の思考回路が理解できん!

ってこと。映画自体に難解さはなかったのだが、「何でああなったらこうするの?」「何考えてこんなことするの?」と、登場人物の行為に「?」マークの連続。あまりの短絡的な考えや行動に驚かされると同時に、自分とかけ離れた行動基準に大きな隔たりを感じたものだ。もし逆にスペイン人が日本映画を観たら「何てかったるいんだ」とイライラしながら驚くのではなかろうか。で、その2本のお陰ですっかりスペイン映画が苦手になった。もちろんそれ以来全く観ていない訳ではないが、やはり自分にフィットする作品はなかった。今回久しぶりにスペイン映画、実に『アタメ』以来のペドロ・アルモドバル作品を観る気になったのは単なる気まぐれ。いや、ペネちゃんをちょっと観たかったってことなのだ(そんな動機なんです)。

盲目の脚本家ハリー・ケイン(ルイス・オマール)はハンデももろともせず、仕事にセックスに励む日々。ある日彼の前にライ・Xなる人物が現れ「父の記憶に復讐する物語」の脚本を依頼する。自分向きではないとハリーは断り追い返すが、ライ・Xが何者か、富豪のエルネスト・マルテル(ホセ・ルイス・ゴメス)の訃報のテレビニュースと共に思い出していた。それは1994年、まだハリーは目が見え、本名のマテオ・ブランコで映画監督として活躍していた頃のこと。エルネスト・マルテルの愛人レナ(ペネロペ・クルス)は女優志願で、マテオの新作のオーディションに現れ、一目見たマテオは彼女をすっかり気に入ってしまう。エルネスト・マルテルが映画に出資することになり、レナを主役に抜擢し撮影は始まったが、それはマテオとレナの恋愛関係の始まりでもあった…というお話。

スペイン人に一度火がついたら、もうどうにも止まんないんスよ。倫理観なんて欲望の前では軽く吹っ飛ばされてどこへやら。ためらいなんて全くなし。まぁ、自分の感情に素直なんだろうし、ある意味羨ましくもある。作品も今回は「?」とは思わなかったのは自分がある程度の経験を重ねたためかもしれない。それでも真には理解こそできないものの、面白い作品にはなっていたと思うし、ペネちゃんも良かった。

ペネちゃんさえ良ければ何でもオッケーっす! (ってこともないか…)

抱擁のかけら.gif


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なぎ猫

あ、もうやってんだ。抱擁のかけら。ものすごく楽しみなんですけど。私、ハモンハモンとか見てないんですけど。(ライブフレッシュは見たかな。)アルモドバルの映画って確かにはぁ???なんですよね、ストーリーだけ追ったら。でも、不思議なことに最後には感動してしまうんです。私、トーク・トゥ・ハーが好きで。この映画も結構変な話なんですけどね。で、こんな変な映画を撮る監督がいるスペインって国はさぞかし面白いに違いないと思い、新婚旅行はスペインでした。昔から芸術はさかんなんですよね、この国は。ちなみにヴォルベールも変な話だったなあ、でもなぜかとても好き。
by なぎ猫 (2010-02-22 11:23) 

漢

「郵便配達夫は二度ベルを鳴らす」……イタリア映画だっけ?
by 漢 (2010-02-22 11:32) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
僕もガウディ見に、スペインに行ってみたいと思っているのですが、未だ実現しておりません。
アルモドバルの作品はホントに久しぶりでしたが、これはそんなに違和感はありませんでした。
by 丹下段平 (2010-02-22 19:54) 

丹下段平

漢さん、こんにちは。
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』は4回映画化されているようです。有名なのはイタリア映画でビスコンティが監督した作品と、アメリカのジャック・ニコルソンが主演したものでしょう。僕はジャック・ニコルソンの方を観ましたが、冒頭の台所のシーンしか覚えておりません。
by 丹下段平 (2010-02-22 21:00) 

TanTan

ラテン系は、ストレートですからね。

by TanTan (2010-02-23 23:24) 

丹下段平

TanTanさん、こんにちは。
そういうことなんでしょうね。でもこちらの感覚からではストレート過ぎですね。
by 丹下段平 (2010-02-24 07:09) 

U3

ラテン系はそうです。
by U3 (2010-02-27 09:45) 

丹下段平

後先考えず、今を生きるラテン系はある意味羨ましいです。
by 丹下段平 (2010-02-27 14:10) 

薔薇少女

>後先考えず、今を生きるラテン系
とっても、ウラヤマシイです。
若い頃は年取ったら、気楽に生きられるんだろうなぁ~と
思っていたんですが、依然として、後先を無駄に考え過ぎる
どうしようもない心配性は治りそうに有りません!
(いつもながら、記事と外れてゴメンしてちょ・・・)
by 薔薇少女 (2010-02-28 13:05) 

nexus_6

「アタメ」は変な映画だなぁと思っていましたが、
「オール・アバウト・マイ・マザー」は
ニューハーフの友人が出来てから見直したところ、
自然な映画に感じました。
あ、私はそっち系ではありませんよ。^^;
by nexus_6 (2010-02-28 23:10) 

丹下段平

薔薇少女さん、こんにちは。

気楽に生きたいですね~。
僕は特に心配性ってことはありませんが。何せO型ですから。
by 丹下段平 (2010-03-01 03:35) 

丹下段平

nexus_6さん、こんにちは。

『オール・アバウト・マイ・マザー』は観ていません。僕もニューハーフになった高校の同級生がいるので、違和感なく観られるのかな?

ちなみに僕もそっち系ではありません。
by 丹下段平 (2010-03-01 03:38) 

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