「オーケストラ！」 [映画（2010）]
観る前から「多分自分はこの映画を好きになるだろうな」と確信できる作品がある。そしてこの『オーケストラ！』は予告編を観ただけで、そんな予感がビンビンと伝わってくるものがあった。実はこの予告編が物語の大筋が想像できるくらいに多くを語り過ぎており、本来なら観賞意欲も奪いそうなものだったのだが、この予測できる大筋そのままであったとしても充分気に入るであろうし、変に奇を衒った展開をしないでくれて本望に思えた。後は予想を良い方向に裏切ってくれるかである。
アンドレイ・フィリポフ（アレクセイ・グシュコブ）はボリショイ劇場の清掃員。しかし彼は30年前に輝かしい過去があった。それはボリショイ管弦楽団の指揮者として世界から讃えられていた過去が。しかし絶頂期に旧ソビエト連邦政府のユダヤ人排斥に反抗したため解雇され、楽団員も辞職に追い込まれた。それからアンドレイは酒びたりとなりすっかり落ちぶれてしまったが、指揮者への復帰は諦められずにいた。そんなある日、支配人の部屋を掃除していると一通のファックスが届いた。それはパリのシャトレ座からの出演依頼であった。アンドレイはそのファックスを密かに持ち出し、嘗てのパートナーであるチェロ奏者のサーシャ（ドミナリー・ナザロフ）に昔の仲間を集めて（現在の）ボリショイ管弦楽団になりすまして出演しようと持ちかけた…というお話。
この先の大筋はだいたい予想通りである。しかし「こうじゃなきゃいけない」ってくらいなもので、それを守ってくれたからこそ最後は感動の嵐。思わず立ち上がって「ブラボー」と拍手したくなる。映画は筋だけじゃなく、それに付加するものが重要であり、この作品の場合は圧倒的な音楽の力が理屈を超えた感動を生みだしている。さらに政治的な一面も作品に深みを与えているし、ロシア人気質みたいなものも分かって興味深い。
役者も主役のアレクセイ・グシュコブを筆頭にロシア人勢に味があり、アンドレイからソリストに指名されるアンヌ＝マリー・ジャケ役のメラニー・ロランも美しく素晴らしい。彼女の育ての親でマネージャー役が久しぶりに見るミュウ＝ミュウだったりするのが嬉しい。
観る前の予想通り「好き映画」であり大満足。ソフト化されたら何度でも繰り返して観てしまうんだろうなぁ…
ナイス！
by 漢 (2010-04-21 16:34)
楽団員という言葉に誘われました。宣伝が多いと観てみたいという意欲が損なわれます。その通りですよね。
この映画がソフトに収まれば買うでしょう。大事な日記に書き込みました。
by ばん (2010-04-21 17:11)
音楽はすばらしい。理屈抜きで感動する。ですな。まだ見てないけど、楽しみにしています。
by なぎ猫 (2010-04-21 20:16)
漢さん、ありがとうございます。
by 丹下段平 (2010-04-22 01:17)
ばんさん、こんにちは。
ミュージシャンのばんさんなら、より楽しめると思います。
by 丹下段平 (2010-04-22 01:18)
なぎ猫さん、こんにちは。
どうぞお楽しみに！
by 丹下段平 (2010-04-22 01:19)
面白そうですね。
機会があれば、観たいです。
＞メラニー・ロラン
「イングロリアス・バスターズ」の人ではないですか。
by hash (2010-04-22 23:23)
観たいです、もう公開されてるんですよね。
新聞見たけど、見つかりません？
by 薔薇少女 (2010-04-23 23:42)
hashさん、こんにちは。
「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロランに間違いありません。本文に書いとけばよかったですね。
by 丹下段平 (2010-04-24 02:54)
薔薇少女さん、こんにちは。
名古屋はまだ上映していないようです。
単館系なのでシネコンじゃないような劇場で上映される可能性が高いです。
by 丹下段平 (2010-04-24 02:57)
これ、いい映画でしたね〜☆
ラストの展開は、まさにブラボー！でした。
今回のイラストは小技が効いてますね☆
by ジジョ (2010-04-24 17:23)
ジジョさん、こんにちは。
演奏が進んでいくうちにメラニー・ロランの表情が変化していくところにゾクッとしました。ホントに拍手したい気持ちになりましたよ。
by 丹下段平 (2010-04-25 01:06)
丹下段平さんはじめまして、たんたんたぬきと申します。
予告映像で流れる「チャイコン」の主題展開部を聴いただけでじーんとしていたので、本編を見たらどうなってしまうのだろうと妙な心配をしながら鑑賞しましたが
心配の通り号泣する結果となりました。
おっさんとしては、メラニー・ロランをドアップで沢山拝顔できたことも大満足ですね。上映中にもう一度見に行きたいです。
60年代生まれとはワタクシと同世代ってことですね。よろしくお願いいたします。
by たんたんたぬき (2010-05-02 11:53)
たんたんたぬきさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
メラニー・ロラン美しかったですね。表情が変わっていくのも良かったです。『イングロリアス・バスターズ』とは違った魅力がでていました。
今後とも宜しくお願いいたします。
by 丹下段平 (2010-05-03 00:34)
こんにちは。
ラストの演奏が素晴らしいですね～。
何回も観たい映画でした。
by キキ (2010-05-09 12:13)
キキさん、こんにちは。
ラストの演奏とメラニー・ロランの演技に痺れました。
僕も何回でも観たいです。
by 丹下段平 (2010-05-09 22:41)
おととい観て来ました。
冒頭こそ、怒鳴っているようなロシア語に圧倒されましたが、
後半はぼろぼろ泣きながら観てました。
まだ6月末期限の招待券が残っているので、
もう一回観に行こうかと思ってます。
by ときソラ (2010-05-24 10:33)
ときソラさん、こんにちは。
後半、演奏が始まると理屈じゃなくなってきますよね。何だか凄いものに圧倒されて感動してしまいます。メラニー・ロランの演技も素晴らしく、後味の良い映画でした。
by 丹下段平 (2010-05-25 02:32)
こんにちは。
出遅れましたが、ようやく観ました！よかったです！
ロシア人の俳優さんたち、ほんとうによかったですね。派手さはないんですが、
温かみがありました。クラシックの楽曲もすばらしかったです。
TBさせていただきます。
by coco030705 (2010-06-08 17:45)
cocoさん、こんにちは。
良かったでしょ。
音楽の力を感じる映画でした。
by 丹下段平 (2010-06-09 01:11)