「FLOWERS フラワーズ」 [映画（2010）]
資生堂のCMで共演した大物女優6人〈蒼井優・鈴木京香・竹内結子・田中麗奈・仲間由紀恵・広末涼子〉をそのまま全員映画でも共演させちゃいましょう、って贅沢な企画。
正直なところ、こんな主役級の大物ばかりを6人も集めてしまっては、各々に気を使わなければならず、必ずしも内容面でプラスになるのかと疑問であった。誰が格上でも格下でもないように扱う必要があるだろうから、余計な気配りをする分、肝心なところが疎かになるんじゃないかと、考えれば考えるほどマイナスに思えてくる。そんなことで、全く観るつもりのなかった作品なのだが、監督が前作の『ガチ☆ボーイ』で気に入った小泉徳宏だと知って心が動いた。
この『FLOWERS』は大きく3つの時代に分かれている。昭和初期の凛（蒼井）の時代、昭和半ばの凛の娘たち（竹内・田中・仲間）の時代、平成の凛の孫たち（鈴木・広末）の時代。そして出演している女優たち毎に物語が用意されており、大雑把に言えば6本の短編を集めたオムニバスのような構成となっている。
創り手は6人に同じくらいの見せ場を用意するため、手っ取り早くて分かり易い方法を選んだということなのだろう。昭和初期から平成の現代まで、長い年月に渡る3世代の話という、一見ダイナミックな流れで、女性の地位やライフスタイルの変化が描かれているものの、正直なところあまり面白くは感じられなかった。
各々のエピソードがどこかで観たり読んだりしたことのあるようなもの（蒼井優のエピソードは『はいからさんが通る』みたいだし）であるのが主たる原因に思えるのだが、それ以上に大きいのは主要キャラクターの絡みが極めて少ないこと。その関連性の薄さが映画全体まで薄めて淡白な印象になってしまったように思える。
やはり先にキャスティングありきで始まった企画は大した作品にはならない。物語（台本）主導でないと作品的に良くはならないということなのだろう（例えば『細雪』みたいに）。おまけに大物美人女優ばっかりというのも案外面白くないもので、むしろ蒼井優の父親役の塩見三省であったり、田中麗奈に言い寄る河本準一やエロ小説家の長門裕之ら男優陣が印象に残ったりするのが皮肉なものである。そしてそんな男優の比重が高いエピソードほど面白いことが、映画におけるバランスの大切さを教えてくれているような気がする。
とまぁ、クドクド書いてしまったが、小泉監督には次回は自分のやりたかった企画の作品を見せてもらいたいと、改めて期待しておきたい。
なるほどー。
邦画は映画館であんまり見ないので（すみません）、
そういう感じだったんですねぇ。ふむふむ。
で、このイラストは・・・河本準一？（笑）
by もももんがが (2010-07-21 17:15)
「FLOWERS フラワーズ」の記事待ってました!!!
段平さんが、どんな感想を書かれるか楽しみでしたが
どんぴしゃな感想で、嬉しくなっちゃいましたぁ～(･∀･)人(･∀･)
＞蒼井優のエピソードは『はいからさんが通る』みたいだし
まさしく、ｿｳｿｳ(ﾟ▽ﾟ*(｡_｡*)
自分では上手く文章に表せないので溜飲が下がる?思いです(o´・∀・｀o)ﾆｺｯ♪
資生堂のCMは好きなんだけど、お金を払っての映画で女優さんが出る度
資生堂を意識させられるのはチョットうっとおしいかな､ﾅﾝﾁｬｯﾃ(´･ε･｀)
美しい『花』に囲まれた河本準一さん、放心状態 ｱﾝｸﾞﾘッ?!((*´ε｀ *))ﾌﾟｯ
それにしても、最近の映画、芸人さんが出て無い事が無い位ですね。
by 薔薇少女 (2010-07-22 09:26)
もももんががさん、こんにちは。
イラストは一応河本準一のつもりです。
ほとんど写真を見ず、記憶を頼りに描いてしまったので、ちょっと違ってるかもしれません。
by 丹下段平 (2010-07-22 23:17)
薔薇少女さん、お待たせでした。
同じような印象だったのでホッとしてます。あまり良いことを書いてないので、お気に入りだったら申し訳なく思うところでした。
日本映画って案外昔から芸人さん出てるんですよね。渥美清だって出は芸人だし。植木等やエノケンとか主演作もいっぱいあるし…と書いていくときりがない位なんですよね。
by 丹下段平 (2010-07-22 23:26)
まあ、あまり話は面白くなかったですね。もうせっかく資生堂さん協賛なんだから話はともかく、もう少し時代を細かく割って、女性の生き方およびモード史（メイクとお洋服、ね。）みたいな風だったら視覚的によかったのにな、と私は思いました。
by なぎ猫 (2010-07-23 09:21)
あまり面白くないんですよね、これが。資生堂なのでモード史もたしかにありですね。でも男性客が引く可能性も…
by 丹下段平 (2010-07-25 04:35)