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「英国王のスピーチ」 [映画(2011)]

02銀ヒ熊賞.gifご存じの通り今年のアカデミー作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞を受賞した作品。こんな予備知識があると観客も構えてしまうしハードルも思いっきり上げて観てしまうもの。結論から言うと、この『英国王のスピーチ』はとても丁寧に創られた佳作である。しかし先入観があるので「でもアカデミー作品賞を受賞するほどのもの?」と余計なひと言を付け加えたくなってしまう。

イギリス王家の二男ジョージ6世(コリン・ファース)は幼い頃からどもりの言語障害を抱えていた。父である国王の代理でスピーチして大衆を前に大失態を演じ、それを機に医者にかかるが、症状は一向に改善されない。悩む夫を見かねた妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)はスピーチの専門家であるライオネル(ジェフリー・ラッシュ)に夫を連れていく。オーストラリア出身のライオネルは独自の治療法を施すが、ジョージ6世はこれに反発しその場を去ってしまう。しかし後になって改善の兆しが見えたことから、ライオネルを頼ることとなった。そんな中、父ジョージ5世が死去。兄のエドワード8世(ガイ・ピアース)が王に即位したものの、王家に相応しくない女性に熱を上げており…というお話。

これが実話なのだから面白い。いや当人はかなり悩んだろうけど、無責任に観ている分には面白かった。イギリス王家は色々とエピソードが豊富だなと感心する。その点、我が国の王家はどうにも面白くない。もっとも興味深い話がもみ消されている可能性も多々ありそうなのだが。

それにしても出演している役者がみんな良かった。アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースは言うまでもないが、彼を治療する役のジェフリー・ラッシュが見事だった。映画を説得力あるものに押し上げたのは彼の功績が大だと思う。ヘレナ・ボナム=カーターも久しぶりに演技派の本領発揮。そんな役者たちの演技をトム・フーパー監督が丁寧にまとめ上げた…と褒め続けている内にアカデミー作品賞を受賞するほどの作品に思えてきたぞ。まぁ、きちんとまとまり過ぎてるのが若干物足りなさに繋がってるんだけどね。

英国王のスピーチ.gif


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もももんがが

個人的に結構見てみたい映画の一つです。
しかし丹下さんの言うとおり、

>まぁ、きちんとまとまり過ぎてるのが若干物足りなさに繋がってるんだけどね。

こういう映画(特に賞レースにでてくる映画)に限って、どこかまとまりすぎて面白みが半減しちゃうのって多いですよね。

もっと挑戦的でもいいんじゃないかと思ってしまいます。
by もももんがが (2011-03-22 14:35) 

デスクマン

私たちが退場する時
「次の上映は満席売り切れとなっています」と案内していました。
人気があるのでしょう。

王家と平民との身分の差
治療のための対等な地位

お互いが譲れないところで敬意を払っている。

蓄音器が「レコード」とは、驚きの後で納得。
プレイヤーでなくレコーダー!

研修を受けず証書もないが治療ができる
現在なら、医師法違反?

嫁さんの勧めで観に行って
退屈するかと思ったけれど
涙が出るほど感動しました。

会話の英語が解りやすく
和訳の出た後ですが、英語のスペルがうかんできました。

カリスマ性を持ったリーダーは演説がうまい。
吃音では、国民はついてこないだろうし
戦場で命をかけられません。

実話であればある程、
よく治療に成功したものだと思う。

by デスクマン (2011-03-22 20:14) 

薔薇少女

今日は『ソネット映画のnice!ブログ記事ランキング』で、
段平さんの名前を見て飛んできました!
「英国王のスピーチ」観たいけど劇場が不便な所だから、考えちゃうなぁ~
取り合えず今日はツーリスト見に行って来ようかな、って、思ってます?!
by 薔薇少女 (2011-03-23 11:32) 

なぎ猫

皇室がエンターテインメントですよね。イギリスって。我が日本はねえ、触れるとやばいんでしょう。やっぱり。”太陽”なんてのがあったけど、あれも監督はロシア人ですからね。
by なぎ猫 (2011-03-23 22:19) 

coco030705

こんばんは。
コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーターの3人がすごくよかったですね。面白い作品だったと思います。
ヒトラーのような人物が現れたら、戦わずに済むでしょうか。そういうことも考えさせられました。
コリンの受賞に納得の作品でした。
by coco030705 (2011-03-24 21:44) 

丹下段平

もももんががさん、こんにちは。
ドラマとして良く出来ているんですが、映画的な面白さに欠けると言うか…
ちょっと贅沢な要望かもしれませんね。
by 丹下段平 (2011-03-25 03:57) 

丹下段平

デスクマンさん、はじめまして。
仰る通りで、良く考えられていると思いますし、これが実話を基にしているなんて面白いと思えます。
まぁ、僕は涙が出る程の感動までいかなかったんですが。
by 丹下段平 (2011-03-25 04:01) 

丹下段平

薔薇少女さん、こんにちは。
こういう作品が札幌でも大手のシネコンではかからなかったんですよね。配給会社や映画館のセンスのなさが小規模の公開に押しやってしまったんだと思います。ホントに観る目がないのには困ったものです。
by 丹下段平 (2011-03-25 04:04) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
我が国はそういった意味では閉ざされてますからねぇ。正直なところあまり親近感みたいなものは持てないんですよね。これ以上書くとマジでやばくなりそうですね。
by 丹下段平 (2011-03-25 04:06) 

丹下段平

cocoさん、こんにちは。
仰る通り役者が良かった作品でした。役者の良さを引き出すのは監督の役目なので、そういった意味での監督賞なんでしょう。
by 丹下段平 (2011-03-25 04:08) 

うたぞー

丹下さん、こんにちは。
今日、「英国王のスピーチ」見に行ってきました。
よくまぁ、映画化することを英国王室が許可したなぁ
と感心しました。
ヒトラーがとっても対照的に使われていますね。
第二次世界大戦がヨーロッパの人々の心の中に
未だに大きく横たわっているかを感じました。

僕のブログに丹下さんのブログのリンクを貼らせて
いただきました。勝手にすみません。ご容赦ください。

by うたぞー (2011-03-27 16:40) 

丹下段平

うたぞーさん、こんにちは。
リンクしていただき、ありがとうございました。よく存じ上げてる方なら無断でもオッケーですよ。いや、よく存じ上げなくても悪意がなければご自由にどうぞ、ってスタンスです。
映画ではヒトラーは相変わらず大人気ですね。しっかり悪人として扱えば丸く収まる、みたいな…
by 丹下段平 (2011-03-27 20:13) 

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