「ツリー・オブ・ライフ」 [映画(2011)]
1973年『地獄の逃避行』で監督デビュー以来、この『ツリー・オブ・ライフ』が僅か5本目という寡作ながら、すでに伝説の監督という評価のテレンス・マリック監督。思えば2作目の『天国の日々』以降はリアルタイムで観ようと思えば観られたのだが、なんとなく地味な雰囲気が漂う彼の作品を敬遠してきたので、観賞するのは今回が初めてという有様。
それにしてもこの作品、世間の評判はあまり芳しくない様子…なのだが、僕はかなり面白かった。映画の冒頭、息子を亡くした母(ジェシカ・チャスティン)、成長した長男ジャック(ショーン・ペン)のモノローグがあり、過去の母と現在のジャックの視点から家長である父(ブラッド・ピット)を中心とした家族の話が展開されるのかと思ったのだが、次第にそれはちょっと違っているのではと思えてきた。
長く続くモノローグの場面で映し出される圧倒的な自然の様子、そして地球の誕生から生命の進化。最初はそれが何だか分からなくて「何で恐竜?」とか思ったのだが、途中で地球が辿って来た歴史であることに気がついた。では、その様子を目にしているのは誰かということになるのだが、それは「神」であろう。信心深い母親のモノローグは神への問いかけ。つまりこの映画は問いかけられている
神の視点で描かれた物語
ってことなんだと思う。神の目からはあまりにも些細なある家族の葛藤。長い地球の歴史の中では「どうでもいい」物語。しかし地球規模では無意味でちっぽけなものでも、そこで苦悩して生涯を終えるのが人間という生き物で、最後は神の元へ戻っていく。そんな人間の様子をひとつの家族にスポットを当てて神の視点で描いた作品というのが僕なりの見解なのだが、宗教的なことに疎いので、もっと深いものがあったようにも思われる。
そんなことを頭に置いて観たので、『ツリー・オブ・ライフ』は興味深く心を打つ作品であった。もっとも、もしこの映画をDVDで観たら早送りしていたかもしれない。観賞するなら映画に集中できる環境の映画館で観ることをお勧めしたい。
先週、この映画と「上海」と迷って、上海にしました。
しっぱい。
by うたぞー (2011-09-12 00:47)
あー、さすが丹下さんですね。ものすごく分かりやすく解説してもらったです。私、寝ちゃったので。
by なぎ猫 (2011-09-12 22:38)
ブラピ角刈りなんですね( ´,_ゝ`)プッ
最近、又映画遠ざかっちゃってます。
段平さんの記事を見たら、チョット観たい気分になっちゃった!!!
by 薔薇少女 (2011-09-14 16:17)
うたぞーさん、こんにちは。
「上海」観てないんで何とも言えませんが、こちらも比較的評判高くないので、失敗だったかは微妙かもしれません。
by 丹下段平 (2011-09-15 02:19)
なぎ猫さん、こんにちは。
疲れてたんですよ、きっと。
こういう作品は体調良くないと眠くなるかもしれませんね。
by 丹下段平 (2011-09-15 02:23)
薔薇少女さん、こんにちは。
ブラピは1950年代なので昔風の父親という髪型です。
久しぶりに観るには向いているか微妙かもしれません。
by 丹下段平 (2011-09-15 08:14)
シンレッドラインの細々とした所のリアルさには感心しましたが、この監督の作品イッキに最後まで観たのは↑この作品だけっで、天国の日々は何度も途中で・・・
by artfuldodger (2011-10-23 19:59)