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「僕達急行 A列車で行こう」 [映画(2012)]

昨年の暮れ、森田芳光監督の訃報を耳にした時、あまりにも突然の出来事に驚く一方、実感が沸かず「悲しい」気持ちになれなかった。何しろ途切れることなく作品を精力的に撮り続けていた印象の森田監督。病気で久しく作品が途絶えていたなら訃報も受け入れられたのかもしれないが、そんなことなど全く知らなかったし想像すらしなかった。

森田芳光監督には、他の監督とは違った特別な思い入れがある。一般映画の監督デビュー作『の・ようなもの』(1981年)を公開初日の舞台挨拶つきで観ているのだ(→関連記事)。そして、その日から何年間かは一番注目していた監督であったし、若くしてキャリアの絶好調期で、短期間に何本も手掛けたものの『家族ゲーム』(1983年)を筆頭に作品の質は高く、僕もほぼ皆勤賞で封切りの劇場で鑑賞していた。やがて大手の作品が多くなると作品の質が下がり、次第に森田作品から離れていった。それでもたまに『キッチン』『(ハル)』など小品に「らしい」傑作もあったので、全く観なくなった訳ではない。まぁ、そんな浮き沈みも含めて、森田監督とはデビュー初日から付き合ってきたのだった。 

最後の新作『僕達急行 A列車で行こう』は『の・ようなもの』から繋がる「らしい」系列の作品で、それが嬉しかった。鉄道マニアの主人公たち(松山ケンイチ、瑛太)に趣味人な監督が重なり微笑ましかった。森田監督の場合、オタクではなくマニアという言い方が相応しいように思える。その差を説明はできないけど、やっぱりオタクじゃなくてマニアなんだな。

作品としてフィルモグラフィーを代表するものとは言い難かったけど、僕なりに森田監督とお別れができた。でもホントにこれでお別れ? (まだ実感が沸かない…) 

僕達急行.gif


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なぎ猫

あ、キッチンって森田監督だったんですか。
by なぎ猫 (2012-03-31 21:06) 

うたぞー

「の・ようなもの」は僕の青春の一本ですね。ちょうど浪人生だった時に観たのを覚えています。発展途上だった主人公に自分を重ね合わせていたことを思い出します。
by うたぞー (2012-04-05 23:56) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
『キッチン』を最初に映画化したのが森田監督で、その後リメイクされたようです。
函館が舞台になっており、街の風景が効果的だった記憶があります。
by 丹下段平 (2012-04-07 15:44) 

丹下段平

うたぞーさん、こんにちは。
『の・ようなもの』は僕も青春の一本です。観たのは丁度うたぞーさんと同じくらいの年齢でした。
by 丹下段平 (2012-04-07 15:47) 

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