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「ナチョ・リブレ 覆面の神様」 [映画(2006)]

秋になってから良い映画に多く当たるようになったが、どちらかと言うとシリアスタッチが多かったせいか、たまにはコメディでも観てスカッと笑いたいという気分になり、今だったら『ナチョ』でしょう、って事で安直にこの映画を選んだ。

だけど…

笑えなかった!

あまりにも捻りの無いギャグと安易なストーリー。ジャック・ブラックの個性だけに頼った工夫の無い演出。観ている途中であまりにもバカらしくなってしまい睡魔と闘うのに必死になってしまった。しかもクライマックスにこちらは眠気と格闘しているのだからどうしようもない。

物語は、教会の修道院で育ったナチョ(ジャック・ブラック)は今もそこに残り、料理係を任されている。教会は貧乏で、彼の後輩である孤児達に満足な食事も出してあげられない状況。そこに美人のシスターが赴任してきてナチョは彼女の虜になってしまう。一方、ナチョは街に食材を貰いに行ったが、浮浪者にそれを奪われてしまう。次の日の食事は過去最低。修道士になじられたナチョは一念発起し、昔からの憧れであるルチャドール(レスラー)を目指す。前に食事を奪われたやせた浮浪者(なぜこいつなんだ!?)をパートナーにして覆面レスラーとしてリングに上がる。一方、修道院にはレスリングをしているのは内緒であったが、それが遂にばれてしまい…。

とまぁ、こんな感じの展開なのだが、レスリングの練習とかに真剣味が無く、あまりナチョを応援したいという気持ちになれないのが致命的である。同じコメディタッチでも初期の頃のジャッキー・チェンの映画は修行する場面は物凄く、彼の強くなりたいという気持ちが伝わったものだが、こちらは本当にいただけない。しかもパートナーのヤセはアンガールズの右側の奴みたいで、本当に真剣にレスリングをやろうというのに、なんでこいつを選んだのか分からず、あまりにも安直な設定にやる気が感じられない。どうせ選ぶならもう少しちゃんとした理由(特技とか)があってほしかった。

神父がルチャリブレの選手という実話に目をつけたところまでは良かったけど、そこまでの映画で残念。


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「イルマーレ」 [映画(2006)]

「良く出来た映画だなぁ」と、まずは感心した。

2年前(後)と繋がっている不思議なポストを介して文通を始めた男女の時を越えたラブストーリー。2004年にいる彼は設計士で、やがて彼女が住むことになる湖畔(と言うか湖の上)のガラス張りの家の元住人。2004年の段階ではまだ彼が住んでいる。2006年にいる彼女はその家の後の住人で、彼女がこの家を出て行く時に残した次の住人への手紙が物語の発端になっている。その手紙を2年前の彼が読んだ事から交流が始まり、次第に2人はお互いの今が2年ずれていることに気がつく。手紙などのやり取りをしている内に、2人の心は通い始め、男は2年前の彼女に出逢うこととなり…。

この映画、2年ずれているという設定を除けば普通のラブストーリーなのだが、そのずれが一種のサスペンスを醸し出している。「男は2年前の彼女とどう接するのだろうか」とか「最終的に2人はどのように出逢い、結ばれることになるのだろうか」とか、いろいろと推理しながら観てしまう。

複線や小道具の使い方も良く、特にアメリカならでは(なのかなぁ?)のポストの旗の使い方は思わず唸ってしまう。

オリジナルは同名の韓国映画だが僕は観ていない。韓国版では学生だった主人公が、アメリカ版ではそれより10歳は上だろう大人の話になっており、多分アメリカ版の方が僕好みだろう。舞台となるシカゴの街も映画の雰囲気に合っており、静かな大人好みの映画には効果的だ。

そろそろ上映が終わってしまう(もう終わった?)かもしれないので、未見の人は急いで劇場へ!


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「虹の女神 Rainbow Song」 [映画(2006)]

学生時代、8ミリ映画を作っていた。だから、この『虹の女神 Rainbow Song』(熊澤尚人監督)の予告編を観た時から気になっていた。―大学映研の話―僕は大学の映研を1ヶ月で辞めた。入ってみたらただの飲み会サークルだったからだ。それにメンバーに可愛い女の子がいなかったのも大きかったかもしれない。

そのサークルに、この映画の上野樹里を冴えなくした感じの女の子がいた。化粧っ気ゼロ、ファッションセンスゼロ、キューブリックを愛し、日本映画を嫌い(ATGを除く)、彼氏はおらず添い寝するのは一升瓶。赤に白い2本線が入ったジャージにどてらを羽織った姿がよく似合った、地方から上京して来た文学少女崩れの女の子。

この映画の予告編を観た時、上野樹里にそんな彼女の面影が垣間見えたので、公開されたら絶対に観ようと思っていた。予告編に8ミリカメラ(ZC1000)が映っていたので、昔の自主映画全盛の時代が舞台なのかと思っていたのだが、舞台は現代であった。上野樹里演ずる佐藤あおいはフイルムで撮る事に拘りがあるため、ネットオークションで手に入れた8ミリカメラの最高峰(機能的な面で)であるZC1000で映画を作っていたのだ。

僕のような貧乏学生にはZC1000は手の届かないアイテムだった。ただZCはフジフイルムのカメラだったため、フイルムは当然、フジフイルム独自のシングル8であり、僕は色の良さで格段の差があったコダックのスーパー8派だったので、ZCは最初から欲しいとは思わなかった。しかし、この映画の佐藤あおいはシングル8のカートリッジにスーパー8のフイルムを入れ替えるという裏技で撮影しているのには参った。そんな発想は当時の自分には全く無かった。それでもキャノンの素晴らしいレンズが魅力の1014XLにスーパー8の組み合わせが最強じゃないかと今でも思うのだが。

この映画をそんな自分と重ね合わせて観ていた。ほろ苦い青春ドラマとして楽しめ、恐らく8ミリ映画を作った経験が無くても感動できる作品になっていると思う。映研じゃなく、演劇でも合唱でもサークル活動をした人なら自身を重ね合わせて観られる映画になっている。

それにしても、ジャージにどてら姿の彼女は、今どうしているんだろう…(会いたかないけど)。


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「レディ・イン・ザ・ウォーター」 [映画(2006)]

映画「レディ・イン・ザ・ウォーター」オリジナル・サウンドトラック実は結構前にこの映画を観ていたのだが、何となく文章にしにくいため、ずっと先送りしていた。しかし、公開もそろそろ終わりそうだし、いよいよ記事にしておかないと、古今東西座ではオクラ入りになってしまうので、思い切って(何を?)書くことにした。

実はM.ナイト・シャマランの作品は今回初めて観たのだが、これが結構良かった。この「結構」ってのが曲者で、「凄く良かった」とか「糞映画!」って時の方が記事が書きやすいし、早く書いてしまいたいという気持ちにさせてくれる。

主人公・クリーブランド(ポール・ジアマッティ)は舞台となるアパートの管理人。彼は妻と子を失い、医者を辞め、人生を諦めたかのように、アパートの中庭にある小屋で過ごしている。ある夜、中庭にあるプールで溺死しそうなところを見知らぬ若い女性(ブライス・ダラス・ハワード)に助けられる。その女性の正体はアパートの住人の韓国人が語っていた東洋の伝説に出てくる「水の精」であることが分かってくる。その彼女を元の世界に返すために立ち上がるのだが、それには何人か役割を持った身近な人の協力が必要である。クリーブランドはアパートの住人から探し出そうとするのだが…、といった話。

この映画が上手いのは、クリーブランド一人の力では「水の精」を助けることができないため、アパートの住人達の力を借りて、皆で力を合わせて頑張るという設定。住人達はアジア人、スパニッシュ、黒人などのマイノリティが殆どで、白人はみんな変わり者という、世間的には「負け組」なのだが、そんな人々の力こそが必要になるところだ。そんな彼らの中から伝説の話と同じ役割を持った人を探し出し、それぞれの能力を活かした活躍の場が用意されている。「負け組」が力を合わせて一つのことを成し遂げようとする姿に素直に感動できる…はずなのだが…。

こんな面白くも感動的な話であるにも関わらず、どこか醒めて観ている自分があった。

それは何故なのか?

自分でもよく分からなかったため、なかなか記事が書けないでいた。

あまりにも現実味に欠けるから?

…いや、そんな事はない。現実味に欠けていても好きな映画はたくさんあるし、むしろその設定を使って、より真実を描くことができるくらいに思っている。

しばらく考えてやっと分かった

「水の精」役の女優が自分の好みではなかった!

これである。実に単純な理由。この映画に似た設定で、出来は遥に劣る『天使とデート』が好きなのは、主演がエマニュエル・ベアールだからである。それ以外は全て酷いのだが、彼女があまりにも可愛いのでDVDまで買ってしまった。

女優の好みだけで映画の良し悪しを語ってもらいたくないと作り手は思うだろうけど、しょうがない。案外映画なんか、理屈ではなくこういう事で左右されているのではないだろうか。

 


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「青燕」(@東京国際映画祭) [映画(2006)]

韓国映画の新作『青燕』を開催中の「東京国際映画祭」にて鑑賞。

1930年代、朝鮮半島が日本に占領されていた頃、空を飛ぶことに憧れていた朝鮮の片田舎の少女(キュンウォン)が、やがて日本に渡り、バイトをしながら立川の航空学校に入学。ここで才能を発揮し、学校でもトップクラスの実力者となる。同じく朝鮮半島から来た財閥の放蕩息子・ハン・ジヒョク(やがて日本帝国軍に入隊)、その訳有りの妹(元お手伝い)、朝鮮から来た学校の友人に囲まれて、貧しいながらも充実した毎日を送っている。

そんな中、全国の飛行学校の技能を争う大会が行われることになり、キュンウォンも選手に選ばれるが、直前になって外務大臣の愛人・木部雅子の横槍で代表の座を彼女に奪われてしまう。大会当日、キュンウォンの友人が練習中に墜落してしまい、彼に代わってキュンウォンが急遽代役で出場し、彼女の大活躍でチームは優勝するが、友人は亡くなってしまう。

大会での大活躍で一躍時の人となったキュンウォンは、マスコミの前で彼女の夢である祖国への長距離飛行を語るのだが、周囲から受け入れられない。一方、恋人となったジヒョクの父が衆議院議員に当選し、立川の飛行場に現れるが、ジヒョクの友人である新聞記者が…。

まず、この映画の冒頭で、家の手伝いをさせられ学校に行かせてもらえないキュンウォンが、次のシーンでいきなり大人になって、日本の飛行学校にいる大胆な省略に驚かされる。学校に行かせてもらえない少女がどうやって日本の飛行学校に辿り着いたのか、が全く描かれていない。日本での出来事に焦点を当てるための省略なのか、その部分を入れると大長編になってしまうために泣く泣く切ったのか分からないが、その間には彼女の余程の苦労と努力があったと思われるが、本当にきれいさっぱりその部分が無い。

しかも大人になったキュンウォンはさっぱりとした男勝りで明るい性格なので、冒頭の少女時代の境遇を考えると、どこかしらオーバーラップしにくい。彼女を含め登場する朝鮮出身者が皆日本での生活を楽しんでいる様子で、むしろ母国よりも日本の方が楽しそうにも見えるため、後半でキュンウォンの朝鮮への長距離飛行に対する想いが強く伝わってこない。勿論故郷の空を飛びたい気持ちはあって当然だが、故郷に良い想い出があったとは思えず、せめて少女時代の部分でひとつでも母国に対する強烈なエピソードを入れられなかったものだろうかと感じる。大胆に端折ってしまった分、この部分が薄くなってしまったと思うのだが。

と、文句を書いたものの、映画全体としてはしっかりとした作りをしており、昔の日本も頑張ってセットを組んで作っているのは伝わってくる。役者も主役のチャン・ジニョンを筆頭に好演しており、最初はライバルだが、やがて一番の理解者となる日本人の女性も見事な存在感を見せている。但し教官役の仲村トオルだけが現代的過ぎる印象で、とてもあの時代の人には見えず、せめて髪型とかもう少し何とかならなかったものなのか。そしてキュンウォンとのエピソードで、もう少し心の通い合う部分があってほしかった。

きっと膨大なエピソードを削って削って完成したのであろうこの映画、退屈はしないものの、どこかしら長編ドラマの総集編的な印象が残ることは否めない。

 


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「記憶の棘」 [映画(2006)]

雪に覆われた小道をジョギングする、全身黒いウエアを着た男の後姿をワンカットの長回しで追った、この映画の冒頭で、この映画は素晴らしいものになりそうだという期待感が高まり、やがてそれは確信へと変わっていく。

ジョギングする男は橋の下で突然倒れる。そこからこの映画は始まり、舞台は10年後、とあるニューヨークの高級マンションの一室。ここでアナ(ニコール・キッドマン)とジョゼフの婚約パーティが行われている。ジョゼフの数年越しのプロポーズに漸く応えたアナ。そんな賑やかな部屋の外に、様子を見守る少年の姿。

後日、アナの母の誕生パーティ中に突然現れた先日の少年。アナと二人っきりになったところで突然、自分はショーン(死んだ夫)の生まれかわりだと告げる。しかしアナは取り合わず追い返してしまう。その後もアナと接触を図ろうとする少年。アナと元夫しか知らない秘密や、ショーンの死んだ場所まで知っており、アナも次第に婚約者から生まれかわりと主張する少年に心が動き始め… というストーリー。

何がいいかって、主演のニコール・キッドマンの演技が素晴らしい。少年の父が彼女の住んでいるマンションの一室に通いの家庭教師で来ていて、それに少年も付いて来ていて、彼女と婚約者と「もう来るな」と言われて卒倒してしまい、その姿を尻目に二人はコンサートに行ってしまうのだが、そのコンサートの時の二コール・キッドマンのアップの長回し! 彼女の表情だけの演技から困惑する心の内面が伝わってくる、この映画の一番印象的なシーン(と言うかカット)。ここだけでもこの映画を観る価値あり、と言い切れるほど素晴らしい。

但し、この映画のネックは…ネタバレになってしまうので書かないけど、スッキリしない終わり方をするので、かなり損していると思う。まぁ、こういう事なんだろうな、とは思えるんだけど、もう少しはっきりした終わらせ方した方が、この映画には良かった気がする。

とは書いたものの、間違いなく今年の私的ベスト5には入る作品。地味に公開してるけど、多くの人(大人限定)に観てもらいたい作品である。

 


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「いちばんきれいな水」 [映画(2006)]

東京では中心からちょっと外れた2館でしか上映してない、見捨てられ気味のこの映画ではあるが、これが愛すべき小品で、足を伸ばした甲斐があり嬉しくなった。

谷村家は4人家族で、父、母と2人姉妹なのだが、姉・愛は病気で(病名不明)11年間眠り続けている。妹・夏美は小学校6年で12歳。当然姉が起きている姿を知らない。そんな中学受験を控えたしっかり者の妹が両親不在の数日間、突然目を覚ました姉と過ごすひと夏の物語。

姉・愛は目を覚ましたものの、眠り始めた小学校2年生(8歳)から精神的には何も成長していない。そんな姉に手を焼く、精神年齢は12歳より上の妹・夏美。盛んに遊びたがる姉を尻目に進学塾の夏期講習で忙しく、成績も抜群だが、どこか子供らしい明るさが失われている。姉は気持ちはまだ子供で部屋を散らかしたりと妹を困らせることしかしない。せっかく目を覚ました姉に対して、次第に疎ましく思うようになり、辛く当たるようになったあげく、「○○ちゃんのお姉さんなんか」と他人の姉と比較して嫌味を言う妹。その言葉に酷く傷ついた姉は…。というストーリー。

いいんだよ、これが。まさかこの映画で泣ける展開になるとは予想もできなかった。自分も妹がいるから、兄弟の(姉妹の)上の気持ちは分かる。妹が視点の映画ではあるが、姉の辛い気持ちが伝わってきて、思わず涙が…。

この映画もファンタジーの姿を借りた現実的なものを見つめた話。妹に足りなかった何かを伝える役割を姉が担っている。最後は妹の中で明らかに変わりつつある心が垣間見え嬉しい。

それにしても素晴らしいところは多いのだが、加藤ローサ演じる姉が精神年齢8歳よりも幼い行動だよな、とか気になる点も幾つかあるのだが、それをいちいち書くのは野暮ってもんで止めておこう。だって、この夏は1回だけなんだよ! (って、この夏はもう終わってるけど…)


 

それにしても、加藤ローサを映画で随分観掛けるようになった。今年僕が観た映画で3本出てた(因みに『シムソンズ』『夜のピクニック』そしてこの映画)。他にも本編は観なかったけど予告編に出てた、というケースもある。いったい彼女は今年何本出たんだろう。

他にもよく見かけるのが上野樹里。彼女の映画は今年は『笑う大天使』しか観てないけど、他にも幾つか予告編観た。

あと谷村美月。『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』『ユビサキから世界を』『笑う大天使』と3本観てる。他にも出たらしく、さらにこれからも出演作が数本控えてるらしい。彼女の場合、映画館で流れる『海賊版撲滅キャンペーン』のCMで黒い涙流してるから、本当にしょっちゅう観てるイメージが強い。

映画中心に仕事してる女優は親近感沸くし、応援したくなるのが映画ファンってもんでしょう。と書いてはみたものの、皆テレビにも出てるんだよな~。仕事し過ぎじゃない?

↑劇場前に展示していたサイン入りポスター 


タグ:加藤ローサ
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「夜のピクニック」 [映画(2006)]

映画が始まってすぐ、ある部分に躓いてしまい、それは終わるまで覆せなかった。それは、

多部未華子が周りのクラスメイトや親友と同い年に見えないっ!

並んで歩いていると、どうしても多部が高校生なら周りは大学生(かそれ以上)、周りを「彼女達は高校生なんだっ」と思いこませて観ると多部が中学生に見えてしまう。もう、こうなると致命的である。根底から映画に入り込めない。個人的にキャスティングについて気になっている昨今、どうしようもなく引っかかってしまった。

少し前の記事で『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』のキャスティングを絶賛したばかりだが、それとは正反対に失敗しているように思える。ただでさえ現役高校生の多部未華子は実年齢より幼く見えるタイプなのに、事もあろうか周りを年上の役者で固めたものだから悲惨である。いっその事、『ストロベリー』の女の子全員、こっちにも出張して出てくれていれば、どんなにすんなりと感動できた事かと思うと、つくづく残念である。今の若い女優陣は本当に上手い子が多く、層も厚い筈なのに。集めようと思えばできた筈である。

夜のピクニックベストセラーの映画化なので、既にストーリーをご存知の方も多いと思うので割愛するが、僕は原作を読んでいなかった。ハードカバーの時点で買って読もうかと思ったら、本の帯に「映画化決定!」と書いてあったので見送ることにした。僕は原作を読んだら映画は観ない、映画を先に観たら本は読まないので、今回は映画を観ることにして、違う本を買ったのだが、今にして思えば失敗の選択だったようだ。

それでも多部未華子だけは素晴らしい。と言うか、雰囲気を持っている女優さんなので目が離せない。最後のところでは微妙な心内を最高の表情で魅せてくれるのだが、全般を通して周りに殺されてしまった感が強い。同い年に見える子だったら、もっと親友との友情も深く感じられ、感動も大きかったと思うのだが、半減してしまった。

キャスティングは大切です!

(それにしても、殆どキャスティングの話だけで終わってしまった)

 


 

この記事を書いている最中、「あれ?」と気がついて、調べてみたら驚いた。以下はこのブログの邦画の記事一覧。

水霊

初恋

笑う大天使

時をかける少女

東京フレンズ

花田少年史

ユビサキから世界を

フラガール

海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ

スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ

夜のピクニック

「ええっ! こんなに多かった!?」と思わず叫んでしまったくらい、本当にビックリしたのだが、ブルのタイトルの映画、これ全部

女性が主役!

流行なのか、時代なのか、はたまた僕の嗜好なのか? 実に11作品中10作品。(しかも残り1本は子供が主役)

で、結論はありません。


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「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」 [映画(2006)]

予定が狂って3時間ほど時間がポッカリ開いてしまい、ならば映画を観ようと調べたら、丁度都合よかったのが『スケバン刑事』と『涙そうそう』。どちらにしようか迷ったが、この映画の脚本が、昔角川映画とかによく書いていた丸山昇一だったので、このベタなイメージを壊すような意外性をちょっとだけ求めて、『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』を観ることにした。ちなみにテレビシリーズはⅠ~Ⅲまで、それぞれ1、2回づつしか観ていなかった。だから特にテレビシリーズに対して思い入れとかはない。

でも『スケバン刑事』で主演があややである。到底期待できないと思いつつ、覚悟をきめて観たのだが、これが意外に面白かったりするので侮れない。いや、もしかすると期待度限りなくゼロに近い状況で観たから、面白いと感じたのかもしれない。いやいや、多分そうなのだろう。

正直なところ、駄目な部分も多い。あややは予想よりも遥かに頑張っていたが、他の子の演技が…とか、脚本に相当無理があるとか、一斉射撃を受けたあややに殆ど弾が当たらない等のご都合主義の演出とか、挙げたら限がないくらいだが、それよりも良い部分を拾ってみたい。

松浦亜弥が予想よりも遥かに良かったと書いたが、凶暴で性格が超きつそうな少女に見えたから大したものである。学園祭演技も覚悟したが、全然そんなことはない。歴代の「スケバン刑事」の中では一番強そうである(尤もヨーヨーの扱いがまだ全然上手くない設定のため肉弾戦に限る)。映画評とかでは色眼鏡で見られている気がするが、彼女にとってはとても不幸なことである(いや、観る前は僕も…)。

あと、設定が結構良い。潜入した学園で、クラスのいじめられっ子に情報源として近づく内に友情が芽生え、最後は事件の鍵を握る彼女のピンチを救うために戦うというのは泣ける設定。ベタな気もするが、これが一番説得力ある展開に思える。具体的な何かを原動力にしないと、ボロボロになるまで戦うなんてことは不可能だろう。そのいじめられっ子が事件に巻き込まれていく設定もなかなかで、いじめられた心の傷を癒すために立ち上げたHPを悪の組織に利用されてしまう設定が悲しい。

あと上手くはないけど石川梨華の敵役が適役だったりと、面白くなりそうな可能性はあったのだが、全体的に大味な印象は拭いきれない。大の東映作品なのだから、CGにはもっと金をかけてもらいたかった。それでも、気合を入れて観に行かなければ結構楽しめる作品にはなっていると思う。


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「海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」追記 [映画(2006)]

前の記事の続きと言うか補足です。


この映画を観て、良いキャスティングとは何ぞやと考えさせられた。はっきり言って、この映画にスーパースターと呼べる役者は出ていない。しかし、とてもバランスが良く、実力者を揃えた感が強い。

若手4人が好演している。これは意外にありそうで無い。大概一人くらいはミスキャストに思えるものだが、揃って良い。主役の佐津川愛美は昨年『蝉しぐれ』で、ヒロインの子供時代を好演していたので期待していた。この映画では実力を最大限に発揮した感があり、その必死さは尋常でないものを感じた。谷村美月はこのブログでも何度も取り上げている。『カナリア』『ユビサキから世界を 』等活躍している。彼女は天才的な雰囲気があり、4人の中では一番の難役をこなしている。彼女と佐津川の掛け合いは凄い。(余談だが、この二人が共演していた『笑う大天使』は酷かった。役者を生かすも殺すも演出次第)。芳賀優里亜はこの映画で初めて知ったが『仮面ライダー555』とかいろいろ出ているらしい。最初は主人公をいじめていたが、次第に心が繋がっていく様を表情で表現している。地味な役だが美味しいところを持っていく。東亜優は新人らしく、初々しいが、このメンバーでは一番伝統的な(?)アイドル然とした雰囲気。表情が良い。

そして脇役がまた良くて、この映画で三船美佳を発掘したのが最大の収穫か。「バラエティでバカやってるのは別人でしょ?」と訊きたくなる。それよりも「何で今まで映画界は放っといたんだ!」と言いたい。即刻バラエティは辞めて映画に専念してほしい。『パッチギ !』が良かった波岡一喜も優しき元ヤンキーを好演。過酷な内容の映画だが、彼が出てくるとほっとする。そして印象に残る飯島大介。昭和の頑固親父っぷりが最高。

『フラガール』観ても思ったのだが、映画にスーパースターなんて必要ない。実力ある役者だけ揃えてくれれば作品は良くなる。外国映画にしても、誰も知らない状態で観ても全然問題が無いのだから、日本映画も超有名人をわざわざ出す必要ない。

そして、この映画はロケ地が昭和の雰囲気を残した街で、そのアナログ感が映画全体を暖かく包み込んでいる。実はこの和歌山県田辺市に2年前、図らずも一泊している。紀伊半島を自動車でグルリと旅行した際、泊まろうとした白浜の人出が物凄く、隣の田辺まで流れて来たのだ。しかし泊まるだけだったので、天神崎や東陽中学校とか全く観なかった。あぁ、後悔。夕方に着いたのだから、天神崎に行けば夕日が見られた筈なのに…。それらの景色を美しく切り取ったカメラも素晴らしい。特に天神崎で理沙(芳賀)が…の場面は美しい景色と過酷な内容が対照的に描かれ、美しさが壮絶さを盛り上げており見事。行ってみたいな天神崎。

ラストのクレジット部分でかかる、これまた初めて知った歌手・あべさとえの『空の模様』がとても映画にマッチしていて、ここでまた泣かされてしまう。CD買っちゃったよ。

とまぁ、金は掛けなくても素晴らしい映画は創れるというお手本のような作品である。

←田辺で撮った唯一の写真 


リンク ↓も見てみてチョ(クリックしてね)

佐津川愛美のブログ

波岡一喜のブログ

あべさとえのブログ

太田監督の日記…充実しすぎているので、全部読めば半日は掛かる?

公式HP…メイキングが観られます


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