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「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 [映画(2007)]

1作目を観た時に、この作品は映画によるテーマパークなんじゃないかと気がついた。テーマパークはこの映画同様、昭和30年代をイメージされるように造ってある事が多い。狙いは同じ。アナログでちょっと汚れた舞台装置をしっかり造られたら、もうそれだけでウルッとしてしまう。あとはドラマでちょっと観客の背を押せば泣ける映画の出来上がり。なんて意地悪く書いてみたが、僕もホロリとしてしまったひとり。こんなテーマパーク映画は実はツボだったことが分かった。

この映画の時代設定は前作から4ヵ月後の昭和34年春。未だ僕は生まれていない。物心つき、最初の記憶が残っているのはその10年後くらい。そんな人間でも懐かしく感じるのは、昭和40年代前半もそれ程大きく日本は変わっていなかった、ということなのだろうか。千葉に行けば蒸気機関車が走っていたし、上野には物乞いする傷痍軍人がまだいた。東京の下町でも木の電信柱が残っていたし、夕方には豆腐売りのラッパの音が健在だった。

普段はそんな記憶を思い出すことはないが、この映画を観ている内に、いろんな自分の記憶にリンクしていく。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 』の20世紀博に近いものがあるかもしれない。そして更に言えば、この作品は東京ローカルな映画ではなかろうか。昔の東京の風景を知る者と知らぬ者では、映し出される風景への思い入れが違うだろうし、懐かしさの度合いも変わってくるように思える。

で、長々と前フリしてしまったが、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』なのだが…

泣けたね。

その理由は前作と同じ。特に今回は子供の物語よりも大人たちにスポットが当っており、前作よりも群像劇っぽくなった。ちょっとファンタジックなシーンや冒頭のアレもご愛嬌(もっと観たい気持ちもあったが)。鈴木オート一家(堤真一、薬師丸ひろ子ら)が親戚の女の子の面倒を見なくてはならなくなったり、六ちゃん(掘北真希)が幼馴染と再会したり、茶川(吉岡秀隆)さんんが芥川賞に挑戦したりする。そしてその向かい合う2つの家族に係わる人々。物質的には貧しかったけど夢とか希望は間違いなくあった時代だよな、なんて考えるとホロリとしてしまい、まさに山崎貴監督の思うツボ。

それにしても、この映画に出てくる大人たち、鈴木夫妻や茶川さん、今生きていたら多分80代。もうこの世代の人たちは随分減ってしまっているだろう。本当にこの映画を感動できる世代の大勢に見せてあげたかった、なんて思いながら劇場前の夕日を見ていたら、やたら切なくなってしまった。

 


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コメント 5

キキ

泣けましたよね。 *^・^*
茶川さんが芥川候補になるところはちょっと出来すぎのような気もしましたが、ほっこりする映画でした。
by キキ (2007-11-18 21:10) 

アートフル ドジャー

未だ観てないですっが楽しみにしてます。
by アートフル ドジャー (2007-11-18 21:42) 

丹下段平

キキさん、ありがとうございます。
芥川賞、候補になるだけで凄いことですよね。そんな実力があるなら、売れっ子作家になれるだろうに、と思ってしまいました。
でも、いい作品でした。
by 丹下段平 (2007-11-19 00:42) 

丹下段平

アートさん、お楽しみに。
もし前作を観ていないなら観ておいたほうがよろしいかと思います。案外前作からの流れが説明されていませんので。
by 丹下段平 (2007-11-19 00:46) 

アディクト

こんにちは。突然の訪問失礼致します。12月22日、渋谷Q-AXにて映画『アディクトの優劣感』が公開されます。公開に先駆けて応援ブログを立ち上げましたので、お暇な時にでも遊びにいらして下さい。
by アディクト (2007-11-20 18:52) 

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