「明日、君がいない」 [映画-DVD]
この映画の監督、脚本を手掛けたムーラ・K・タルリはオーストラリアの弱冠19歳。
じゅうきゅうさい!?
そんなに若くしてこんなしっかりした映画を創っちゃったんだ、という現実の前に立ち眩みしそうである。自分の19歳の頃と比べてしまうと、あまりの落差に頭が痛くなってくる。思い返せば25歳になった時、「オーソン・ウェルズはこの年齢で『市民ケーン』を創ったんだ」と落ち込んだものだが、それよりもずっと若くして、このタルリ監督は立派な作品を世に送り出した。いったいどうしたら19歳でこんな映画が撮れるのか。
この作品の原題は『2:37』。映画の冒頭、舞台となる学校の倉庫で誰かが自殺する。その時間が2時37分。誰が自殺したのかを見せずに物語はその日の朝に戻される。そこから男4人と女2人にスポットをあて、その日を克明に追っていく。各人いろいろな悩みを抱えており、その真相が徐々に明らかにされていく。何気ないやり取りや行為に実は重要な意味があり、伏線になっている。
じゅうきゅうさいが、こんなに緻密に伏線張るか~
と感心するほど上手い。優等生が実は…、女たらしが実は…、なんてどんでん返しが随所に散りばめられており、全く飽きさせない力量に
本当にじゅうきゅうさいなのか~
と感心してしまう(だんだんしつこくなってきた?)。その間、冒頭の自殺のシークエンスが頭に残っているので「この中の誰が自殺するんだ?」なんて不謹慎な興味も時間が近づくにつれ高まってくる。そして意外なラストにはかなり肩すかし食らった気もしたが、ちょっとホッとした気分にもなった(だからいいって訳じゃないけど)。
それにしても監督はついこの間まで高校生だっただけあって、学校でのシーンはリアルで臨場感抜群に思われる。おそらく監督自身の実体験がかなり入っているように思われるのでリアリティを感じられる。まぁ、オーストラリアの高校生の実態たるや酷いもんである。これが日本の高校なら…え、あまり変わりない?…ってことはないでしょう?…であってほしいものである。
こんばんは。
19歳監督作品なんですか。資金はどこから?
でも映画はやっぱり伏線張らなきゃですよね。^・^;
by キキ (2008-02-21 20:17)
キキさん、こんばんは。
そうなんです。こんな若い人に出資した人がいるってことで、それはそれで凄いなと思います。監督が製作も兼ねているので、商才もあるのかと思われます。
by 丹下段平 (2008-02-21 22:31)