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「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」 [映画(2008)]

実にほのぼのとしたブログ小説が原作の青春娯楽コメディ。深刻な出来事など何もなく、田舎町のヤンチャな高校生6人組(時には7人)と駐在所勤務の警官とのやり取り、と言うか子供じみたケンカを楽しめばいい映画である。

設定は1979年。その時代の高校生の話ならば完璧に同世代。同じ時間をを共有したことになるのだが、この映画のような牧歌的雰囲気が日本中どこにでもあったわけではなく、これは田舎町ならではの出来事であったはずである。しかし、この映画の持つ感覚は「分かる」気がする。それはマンガ、アニメやテレビドラマでこのような世界観の物語を数多く体験していたからである。例えば『ど根性ガエル』のようなヤンチャな主人公と大人とのやりとりが近い感覚で、そこには地域コミューンとの密接な関係にある主人公を中心とした登場人物たちの物語が描かれている。そしてこの『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』も世界観はかなり近いものと受け取った。

それからこの映画が上手いのは、西部劇のパターンにも近いことである。冒頭、高校生達のチャリンコ軍団が坂の上で横一列に並ぶのは、チャリンコを馬に変えればそのまま西部劇である。小さな町で起こるよそから流れてきた保安官=駐在さんと地域住民=高校生との軋轢のドラマは、例えば『真昼の決闘』と同じ構図だと思える。もちろんそんな深刻なドラマではないが、地元民である高校生とのケンカは、よそ者が地元に受け入れられる儀式みたいなものなのであろう。

だから、という事ではないが、この映画は安心して楽しむことができた。ヤンチャ高校生の主人公・ママチャリを演じた市原隼人や西条を演じた石田卓也他高校生が皆生き生きとスクリーンを駆け巡り心地良い。対する駐在警官の佐々木蔵之介も飄々としたユーモアが滲み出て実に愉快である。

娯楽に徹したこのドラマは昭和のほのぼのとした大らかさで観る者を優しく包む。それは今の時代からすればファンタジーであるかのようにさえ思える。最近流行の近過去モノの中でもお薦めの作品である。

ぼく駐.JPG
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アートフル ドジャー

 こっれ何処かの番組の映画の新作紹介でチッらっと観ました。DVDになるのを待ちます、取り敢えず。
by アートフル ドジャー (2008-04-24 11:28) 

丹下段平

xml_xslさん、いつもありがとうございます。
by 丹下段平 (2008-04-24 20:08) 

丹下段平

アートさん、ありがとうございます。
無理してでも劇場で観て下さい、という程の映画ではありませんのでDVDでよろしいかと思います。
by 丹下段平 (2008-04-24 20:10) 

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