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「妻の愛人に会う」 [映画(2008)]

チラシによるとこの作品に主演しているパク・クァンジョンは「韓国のウディ・アレン」と呼ばれているんだとか。それにしても「韓国の〇〇」と呼ばれている人の多いこと。韓国のクロサワ、韓国のミゾグチ、韓国のキタノ…そういえば韓国のクドカンというふれこみだった人の映画を観てトホホな思いをしたことがあったっけ。もっともこんな愛称はマスコミが勝手に付けるんだろうから、「全然違うだろっ」って文句を言ったところで、本人たちにとってはいい迷惑な話なんだろう。

さて、この『妻の愛人に会う』は韓国のウディ・アレンが気になったから観ようという気持ちになった訳ではなく、単純に面白そうだったからである。

江原道でハンコ屋を営むテハン(パク・クァンジョン)は妻が浮気をしていることを知り、その相手に抗議するためにソウルに向かう。浮気相手はタクシー運転手のジュンシク(チョン・ボソク)。早朝、ジュンシクが仕事に出掛けるために動かしたタクシーを停め、乗り込んだテハンは江原道に行くよう告げる。週末の高速は渋滞が激しいため、一般道で一路江原道へ。長距離のため到着までは長い時間を必要とするも、テハンはなかなか浮気の話を切り出せない。浮気相手の夫を乗せているとは知らないジュンシクは、気軽に女の口説き方を満足気に披露したりしながら車は進む。そんな中、山道の途中で車が故障して動かなくなってしまい…というお話。

浮気された夫と妻の浮気相手のロードムービーは、テハンがタクシーに乗り込むまではよかったが、それについて口火を切れないままうじうじ悩んでおり、こちらとしてはいつ切り出すのかと思いながら物語に引っ張られる。車が故障してからは手持ち無沙汰になってバドミントンで遊んだり、水遊びをしたり、挙句の果ては女遊びまで始める始末。そんなことをしている内に友情でも芽生えるのかと思いきやそんな展開にはならない。テハンは終始渋い顔で、言いたいことが言えないままジュンシクのペースに引きずられるだけ。肩すかしの連続に「こんなだから浮気されるんだよ」と妙に納得。

韓国人は血の気の多いイメージが強いので、どんな修羅場になるのかと思いきや、主人公はずっとうじうじしたまま。それだからこそユーモラスなロードムービーが成り立つのだが、いったいどのように収束するのか予測不可能で、「テハンはいつになったら…」が気になってならない。その後意外な展開をしてくれるので、最後まで興味深く観ることができた。パク・クァンジョンは「韓国のウディ・アレン」なんて言われなくてもいいくらい独特な雰囲気を持っているユニークな役者であった。

最近の韓国映画の流れとは外れた作品なんだろうけど、僕はこの『妻の愛人に会う』のようなトボケた味わいの作品の方が好感度が高い。ドロドロしそうな題材をあっけらか~んとしたタッチで撮り上げたキム・テシク監督はこれがデビュー作となるらしい。すでに若手じゃないようだが、今後の作品も楽しみにしたいタイプの監督である。

ところで日本でも「ナニワの〇〇」って多くない? 中でもモーツァルトはケッサク。

妻の愛人に会う.JPG


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コメント 6

丹下段平

COROさん、nice!ありがとうございました。
by 丹下段平 (2008-05-08 02:43) 

丹下段平

劇衆「漢組」さん、nice!ありがとうございました。
by 丹下段平 (2008-05-08 22:38) 

丹下段平

xml_xslさん、nice!ありがとうございました。
by 丹下段平 (2008-05-08 22:40) 

丹下段平

ばんさん、nice!ありがとうございました。
by 丹下段平 (2008-05-10 01:31) 

江戸うっどスキー

バドミントンのシーン、好きです。車に積んでる時点で可笑しいのですが、テハンが妙に真剣なのが滑稽でした。してやったりな感じが人間らしくておかしかったです。
by 江戸うっどスキー (2008-05-17 22:41) 

丹下段平

ホントに車にバドミントンを積んでる奴ってヘンですよね。浮気相手と遊ぶためなのだろうか? もっと他にやることありそうだけど…。
by 丹下段平 (2008-05-18 00:34) 

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