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「モンテーニュ通りのカフェ」 [映画(2008)]

たまには「小粋でお洒落な映画」でも観たいと思ったところで目に留まったのがこの『モンテーニュ通りのカフェ』。やっぱり「小粋でお洒落」ならおフランス。舞台は当然花の巴里~である。そして映画もそんな気分にピッタリな良作で、さり気ないが感動もある素敵なドラマであった。

タイトルにあるモンテーニュ通りにあるカフェに給仕として勤める事になったジェシカ(セシール・ド・フランス)。このカフェの近くには劇場や一流ホテルやオークションハウスが立ち並んでおり、訪れる客もそこに勤める人や出演者が多い。テレビドラマの人気女優で新作の演劇の初日が迫っているカトリーヌ(ヴァレリー・ルメルシエ)、コンサートが間近のピアニスト(アルベール・デュポンデル)、自身のコレクションをオークションにかけるグランベール(クロード・ブラッスール)。そして彼らを取り巻く人々がカフェを行き来する。主人公のジェシカは店内だけではなく、出張サービスをしながら夫々の人間模様を見聞きすることになる、という構成。いわば彼女は狂言回しなのだが、そんなジェシカにもささやかながらドラマが用意されている。

カフェを利用する夫々の人物が悩みを抱えており、カトリーヌは伸び悩む自分のキャリア、ピアニストは仕事に対する嫌気とマネージャーを兼ねている妻との関係、グランベールは心が通じ合わない息子との関係。そんな思いを抱えた人物ドラマの間をジェシカが繋いでいくことで統一感のある作品として成立させている。

この映画の良さは、まずは脚本が良く練られており、夫々の人間ドラマがさり気ないユーモアによって深刻になり過ぎずに描かれているところだろうか。その脚本に応えた役者の演技も味わい深く素晴らしい。このドラマを落ち着いたタッチで演出した女流監督のダニエル・トンプソン(脚本も兼ねている)の腕前も実に的確である。カメラもパリの瑞々しい風景を切り取って素敵な映像を見せてくれているとなれば、もう言うことなし。

小品だけど素敵な作品に仕上がっており、かなりお気に入りの作品。それにしてもこのような映画が単館のミニシアターでしか上映されないんじゃ実にもったいない(船場吉兆じゃないけど)。

モンテーニュ通りのカフェ.JPG


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コメント 4

江戸うっどスキー

本当に小粋でしたよね。人物描写のバランスが良くて、ちょっと笑えて、感動もあって、パリってだけで、映画の評価がupしてしまいます。
by 江戸うっどスキー (2008-05-15 21:16) 

キキ

この映画知りませんでした。
大阪ではやってないのかな?
最近のフランス映画、面白いものが多いですよね。
by キキ (2008-05-15 23:24) 

丹下段平

江戸うっどスキーさん、コメントありがとうございます。

やっぱりパリは(駄洒落)絵になりますね。行った事ありませんが…。
by 丹下段平 (2008-05-16 07:38) 

丹下段平

キキさん、いつもありがとうございます。

フランス映画って良作が多い割には公開が小規模の作品が多いですね。アメリカ映画に比べたら地味だからでしょうか。これも大阪くらいなら上映する機会はあるんじゃないでしょうか?
by 丹下段平 (2008-05-16 07:42) 

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