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「ブレックファスト・クラブ」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

ブレックファスト・クラブ前売り券.jpg80年代半ば、アメリカの若手俳優たちが主演した映画が本国でヒットし、彼らはひとまとめに「ブラッド・パック」と呼ばれ、ムーブメントとなった。そんな中から『セント・エルモス・ファイアー』のような今でも人気のある作品が生まれたのだが、僕はその「ブラッド・パック映画」の中ではこの『ブレックファスト・クラブ』が最良の作品だと思っている。日本ではアメリカの青春映画なんて当る訳ないと思われたのか、この作品は久しくお蔵入りしていたのだが、細々と小規模で公開された『セント・エルモス・ファイアー』が思わぬヒットを飛ばし、そのお陰でこの作品も漸く公開されることになったのだった。とは言え、よっぽど配給会社に嫌われていたのだろうか、都内ではミラノ座の上にある小さな劇場(当時は名画座ミラノと呼ばれていた)の単館でひっそりと公開されたのだった。興行成績はどうだったのか分らないが、ともかく面白く、且つ感銘したことを覚えている。

確かに地味な作品ではある。主な出演者は高校生役5名、教師1名、用務員1名とこじんまりしており、ビッグ・ネームは一人も出ていない。しかも映画は学校から一度も出ることはなく、さらにほとんど図書館一室での出来事の映画なのである。こんな地味で舞台劇のような設定ではあるが、実に映画的な躍動感に満ちた作品になっている。

何と言っても監督でもあるジョン・ヒューズの脚本の面白さが映画を支えている。バラバラの個性の高校生5名が、それぞれの理由で土曜の休日の学校に呼び出され、罰として図書館に押し込められ、「自分とは何者か」というテーマで作文を書くよう強制される。最初はあまり関心のない5名も、次第に運命共同体の意識が芽生え、徐々に心を開いていく。やがて反目したりしながらも本音で語り合うようになっていく。それがお互いを理解していくと同時に自分探しにもなっていく。

監督のジョン・ヒューズはあくまで子供側の視点から描いており、決して大人側からの教訓話にはしていない。教師は敵でありながら、教師の出した作文のテーマを探っていくことになる展開が見事である。冒頭、4人の生徒は親の車で送られてくるのだが、そのちょっとした親とのやり取りや乗っている車の車種で、それぞれのキャラクターが分ってしまう演出が出色である。全編テンポ良く、溌剌とした演出が心地いい。

生徒役の5人も実に良く、迫真の演技には思わず映画であることを忘れてしまいそうになるくらいである。ひ弱な秀才役のアンソニー・マイケル・ホール、裕福な家庭のお嬢さん役のモリー・リングウォルドはジョン・ヒューズの前作『素敵な片思い』から続けての出演。不良のジャド・ネルソン、スポーツ馬鹿のエミリオ・エステヴェス、不思議ちゃんのアリー・シーディは『セント・エルモス・ファイアー』でも共演して大学を卒業したばかりの若者を演じている。

こんな作品が「知る人ぞ知る」映画になってしまうのは惜しい。ぜひ機会があったらみてもらいたい作品である。

ブレックファスト・クラブ (初回限定生産)

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD


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