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「American Teen/アメリカン・ティーン」 [映画(2008)]

アメリカ中西部にある、ごく普通の高校に通う5人の生徒を追ったドキュメンタリー。彼らは皆高3で、進路や恋に悩む姿は、どこにでもある風景として描かれている。但し、徹底した撮影により、自然な姿をさらけ出しており、どれだけ密着した撮影をしていたのかと、スタッフの執念と根気には驚かされた。カメラを前に自然に振舞う少年少女たちは、あまりにもずっと撮られ続けたために、撮られることに麻痺してしまい、過ぎるくらいのありのままな姿を見せる。

女性監督のナネット・バースタインが、この高校で取材対象の中心に選んだ生徒は、ある意味典型的な異なるキャラクターの5名で、バスケ部のエースのコーリン、オタク丸出しのジェイク、ハンサムでモテモテなミッチ、いかにもセレブで高学歴一家のメーガン、変人で芸術家肌のハンナ。いかにもいがちな彼らだが、しっかりキャラが立っているので、夫々が抱える悩みもまったく事情が異なっている。アメリカでは似たもの同士でグループができるらしく、棲む世界が違うとあまり交流がないのが面白い。したがっていろいろな角度から「17歳の今」が描かれることになる。

但し、監督の好みは自然に出てしまうもので、5人の比重は最終的にずいぶん差ができてしまっている。将来映画館系の仕事に就くことを夢見て西海岸の大学へ進学することを希望するハンナに、明らかにシンパシーを感じていると思われ、最初と最後に登場させメイン扱いとなっているのが明確である。一方、一番興味なかったと思えるのがミッチ。殆ど悩みのない彼には思い入れゼロに感じられ、完全に脇役扱い。尤も観ているこっちだって彼に心引かれるものはないので、これで正解。

それにしても、あまりにも彼らが自然で、決定的な瞬間が押さえられ過ぎているのを見せられると、

案外これってヤラセじゃない?

と、穿った疑問を抱えてしまう。彼らの様子を切り返しで撮影しており、「いったい何台のカメラで撮ってるんだよ」と気づいてしまったので、尚更である。おまけに彼らの友人たちの様子まで追っているとなると、ドキュメンタリー形式のドラマじゃないのかと、いよいよ怪しく感じてしまう。まぁ、これはあまりにも出来過ぎているからで、スタッフの努力がかえって悪い方向に捉えてしまったのだ、と思いたい。

実際にはその真偽は判らないが、ごくごくありふれた日常でも丹念に描けば秀逸な作品になることを示した映画である。


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マヌカン☆

記事を拝見して「見たくなった:のか「見たくなくなったのか」自分の気持ちがよく判りません(笑)
でも この映画には興味が湧きました^^
早くネットが繋がるといいですね そうしたらイラスト見られるかと期待しているんです・・・(*^。^*)
by マヌカン☆ (2008-11-03 00:37) 

丹下段平

何だか曖昧な記事になってしまいスミマセンでした。インターネットカフェで記事を書くと、集中力がなくなってしまい、ダメですね。早く自宅で出来るようになりたいのですが、実は引越しを機にコンピュータも変えてしまったので、感覚がつかめるまで時間がかかるかもしれないので、イラストは思い通りになるまでお預けにします。完全復活はいつになるやら・・・
by 丹下段平 (2008-11-03 13:16) 

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