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「狙った恋の落とし方。」 [映画(2010)]

狙った恋の落とし方。c.jpg僕が住んでいる北海道にはさしたる大企業もなく、不況の中で観光収入は地方経済の大きなウエイトを占めている。残念ながら2009年は新型インフルエンザの影響もあって、海外からの観光客は前年度よりも減ってしまった。そんな状況にあって唯一、しかも大幅に訪れる観光客が増えたのが中国人である。そしてその要因となったのが映画『狙った恋の落とし方。』(原題『非誠勿擾』、監督はヒットメーカーのフォン・シャオガン)である。北海道ロケしたこの作品が中国映画史上ナンバーワンの記録的なヒットとなり、結果として中国では北海道旅行がブームとなったのだ。たった一本の映画がとんでもない副産物を生み出した。人口の多い中国なら尚更である。

そんな大きく人の動きを変えてしまった作品を観てみたいと思っていたが、2009年の夏頃から噂は聞けど一向に公開される様子はなかった。ところが今年になって急に北海道で先行公開されると知り、そして楽しみにして観賞したのだった。

羽振りの良い投資家にチョロい発明品を高額で売りつけ大金を手にしたチン・フェン(グォ・ヨウ)は40代独身。これを機に身を固めようとインターネットに見合い相手を募集したところ早速反応があった。しかし何人かと見合いしたものの、彼の気に入る女性は現れない。そんな中で出会ったのがキャビンアテンダントのリャン・シャオシャオ(スー・チー)。しかし彼女は妻子ある男性と不倫中で、気晴らし程度のつもりで見合いに現れたのだった。当然この見合いはうまくいかず、チンはまた別の相手を探し始める。ある日、見合いのため乗り込んだ飛行機で、キャビンアテンダントとして働くリャンと不倫相手とその妻がバッティング。機内は気まずい空気が漂い…というストーリー。

前半は中国国内で婚活のため見合いを繰り返す(そのお相手のひとりとしてビビアン・スーが出演している)お話。後半は北海道を舞台にしたチンとリャンのロードムービーという構成。作品全般的には控えめなコメディといった趣だろうか。

北海道(道東)のパートは日が傾いた夕方を狙った温かみのある色調で撮られており、雄大で美しい風景が一層引き立つ映像になっている。登場する日本人たちは皆ユーモアのある好人物として描かれ、日本人に対するイメージがアップしたのではないかと思われる。そうした意味ではこの作品が中国で大ヒットした意義は大きいのかもしれない。

難を言えば軽いタッチの裏にある深刻なドラマが今ひとつ胸に迫ってこず、映画全体の印象を薄めている気がしたことか。それでも現代の変化していく中国人像が描かれており、興味深く観賞することができた。必見の作品ではないが、機会があったら観てみてほしい。

それにしても、北海道以外でこの作品が公開されるのかなぁ…?

狙った恋の落とし方。.gif


この『狙った恋の落とし方。』のロケ地になった場所の中で2ヶ所ほど訪れたことがある所があった。その時のことはもうひとつの僕のブログで記事にしているので、気が向いたら読んでみてチョ。

JR北海道釧網線『北浜駅』☛こちら

網走市『能取岬(のとろみさき)』☛こちら


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hash

スー・チーとビビアン・スーの区別が曖昧なのですが、同じ作品で観ればはっきりしそうです。^^
最近、「~方」「~方法」という邦題が流行りらしいです。

by hash (2010-03-06 00:20) 

丹下段平

スー・チーとビビアン・スーの区別は、目と目の間が離れている魚顔がスー・チーで、リス顔がビビアン・スーと覚えておけば見分けがつくと思いますよ。
by 丹下段平 (2010-03-06 01:04) 

tamanossimo

「もうひとつの僕のブログ」に行ってみよう!!
by tamanossimo (2010-03-06 01:40) 

丹下段平

もうひとつの方もよろしく~
by 丹下段平 (2010-03-06 10:04) 

ときソラ

>もうちょっとましなタイトルにならなかったの?

確かに、
これを映画館の窓口の人に言うのは、
若干の抵抗はありますね(笑)
「おっぱいバレー」よりはまともっぽいですけど(笑)
by ときソラ (2010-03-06 12:40) 

なぎ猫

離れ目がスー・チー、リス顔がビビアン、その判別法、うまいッ!!映画のおかげで観光客が増えるって結構あるみたい。海角七号も、撮影地に観光客が訪れたらしいし。確かに、邦題、微妙ですがこちら(東海地方です)でもやるのであれば見てみたいです。余談ですが、おっぱいバレーはタイトルを言いたくない男性のためにチケット窓口では「OPB」という言い方でもOKだったらしいです。
by なぎ猫 (2010-03-06 23:23) 

丹下段平

ときソラさん、こんにちは。
あんまりいいタイトルじゃないんですよね~これが。
『おっぱいバレー』も言い難かったですが、『僕の初恋をキミに捧ぐ』の方がもっと恥ずかしいですね。観なかったので口にすることはありませんでしたが…
by 丹下段平 (2010-03-07 00:56) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
とにかく目と目の間が広いのがスー・チーってところですね。
人気の作品ならロケ地巡りも盛んになりますね。その代表的な町が尾道でしょう。でも海外まで来ちゃうんだから凄いな~、と思ったのですが、日本のおばさんも冬ソナの時に大勢で韓国に行ってましたね。
それにしても北海道以外で上映される所があるんでしょうかね?
by 丹下段平 (2010-03-07 01:05) 

北海道大好き人間

「さっぽろ漂流記」から来ました。
私の住んでいる場所だと都内でないと公開されそうもないですし、仮に公開されたとしても、いつの間にか始まっていつの間にか終わっている感じになりそうなので、こまめにチェックするか、DVDの発売を待とうかなあ。
by 北海道大好き人間 (2010-03-08 22:16) 

丹下段平

北海道大好き人間さん、遠征してきていただき、ありがとうございます。
北海道外で上映されるか微妙な気もしますが、機会がありましたらご覧ください。配給も通常の映画会社ではなく、北海道の企業であるニトリがやっているので、さらに全国公開を微妙にしている気がします。
by 丹下段平 (2010-03-09 07:57) 

バラサ☆バラサ

あまりなタイトルですよね。
内容と全然異なっているし。

東京では、キネカ大森という映画館で突然上映されました。
2週間前には、上映スケジュールにのっていなかったと思います。

映画はイマイチでした。

北海道は、釧路と旭川、札幌に訪問していますが、直線でアップダウンのある道路を見て懐かしく思えました。

by バラサ☆バラサ (2010-03-24 05:00) 

丹下段平

バサラ☆バサラさん、こんにちは。

タイトル、付けようがなかったんですかねぇ。

元々東京の人間なのでキネカ大森にも行ったことがありますが、ずいぶん外れた場所で(地元の方スミマセン)の公開だったんですね。首都圏で観た人よっぽど少ないんでしょうね。札幌で観た時は空いていたにも関わらず、まだ公開が続いています。
by 丹下段平 (2010-03-27 08:17) 

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