「フォロー・ミー」〈午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本〉

今年の2月から全国のシネコン25館で催されている〈午前十時の映画祭〉に先日初めて出かけてみた。この企画で上映される50本の多くが名作と呼ばれている作品なのでハズレはなかろう（全部観た訳じゃないから断言はしないけど）。へたな新作を観るくらいなら、ここで紹介されている未見の旧作を観る方がよっぽど有意義ではなかろうか。今回観賞したのは1972年に創られた、『第三の男』で有名なキャロル・リード監督の遺作『フォロー・ミー』。

話は脱線するが、僕の大学の同級生に学内では変人で有名だったSという奴がいた。彼は僕など足元にも及ばない超映画マニアで、新作には見向きもせず、毎日京橋のフィルムセンターに通っては大昔のサイレント映画などの旧作を貪っていた。こんなSは変わり者故、周囲からは敬遠されていたのだが、僕はそんなSを面白がって意図的に近づいては映画の話をしていた。そんなある日、僕がSに「新作には興味がないのか」と尋ねたところ、

初めて観る映画はすべて新作

と意外にもカッコイイ言葉が返ってきた。ちょっと決まり過ぎている気がしたので、これがSの言葉なのか誰かの受け売りなのか怪しいところではあったのだが、彼のメチャクチャな言動の中では唯一感銘を受けたものだったため、今でも記憶に残っている。

今回観た『フォロー・ミー』を簡単に紹介すると…

ロンドンの会計士チャールズ（マイケル・ジェイストン）は妻のベリンダ（ミア・ファロー）が度々家を空けるため浮気をしているのではないかと疑い、その調査を探偵事務所に依頼していた。ある日チャールズの前に現れた不審な男。彼の名ははクリストフォルー（トポル）。この件を担当することになった探偵であった。やがて調査結果の報告が。ベリンダは確かに男と会っていた。その男とはクリストフォルーだった…!?　ってなお話。

テレビで断片を観ていたのだが、全編通して観るのは今回が初。よくできた脚本とトポルを筆頭とした役者が魅力的で、素晴らしい作品であることを再確認できた。舞台となるロンドンの街も効果的で、登場人物が限られ大がかりな展開もないけど面白く、小品の鏡のような映画であった。

それにしても午前10時からってキツイな。平日は無理だし、休日でもそのくらいの時間までは家でまったりしていたいし。夕方や夜にもう一度上映してくれるならもっと足を運べるのに。来年は〈午後十時の映画祭〉って企画でどうすか？

（イラストはそのうち…）

タグ：キャロル・リード ミア・ファロー トポル マイケル・ジェイストン

コメント 8

午前１０時の映画祭、いいですよねえ。家の近くではやってないので行けないです。もっと全国展開してほしいです。
同級生のSさんの名台詞、かっこいいですね。私も今度使ってみます、ってほとんど新作見てるんだけど。

by なぎ猫 (2010-10-27 21:02) 

>午前10時からってキツイ
同感です。
何本か観たい作品があったものの、未だ１本も観てません＾＾；
by hash (2010-10-28 00:30) 

何度か行っていますが、休みの日は怒涛の二日酔いだったりして、朝10時は辛いです。
レイトショーでも上映して欲しいですね。

by バラサ☆バラサ (2010-10-29 15:02) 

なぎ猫さん、こんにちは。

S、今はどうしているんでしょうか？
大学を卒業してからプッツリなもんで…
by 丹下段平 (2010-10-30 02:33) 

hashさん、こんにちは。

午前10時はなかなか行けませんねぇ。
何せ休日の前夜はこんなに遅くまで起きているもんで…
by 丹下段平 (2010-10-30 02:35) 

バサラ☆バサラさん、こんにちは。

何度か行かれた貴方は凄い！
…ってほどでもないか…
こちらがダメ過ぎるんですよね。
レイトショーなら大歓迎なんですけど…
by 丹下段平 (2010-10-30 02:37) 

こんばんは。お久しぶりです。
午前10時の映画祭、夏に「太陽がいっぱい」を観にいったら、満席でした。
すごいですね。いい映画はこれほどまでに魅力的なんだなあと感心しました。
でも、もっと行こうと思ってたのに結局これ一本だけ。やっぱり午前10時はキツイですね。（笑）

by coco030705 (2010-10-30 20:53) 

cocoさん、こんにちは。
僕が行った時もかなり混んでいました。
年配の方も結構来てたけど、「平日でも来れるのに」と思った私でした。
by 丹下段平 (2010-10-31 20:15)