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「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 [映画(2010)]

世代的に『宇宙戦艦ヤマト』をリアルタイムで観ている…と、書きたいところだが、初放映時は裏番組の『アルプスの少女ハイジ』を観ていたので、『ヤマト』は再放送時から。ちなみに『ハイジ』は高畑勲、宮崎駿が参加していたのだから相手が悪かった。『ヤマト』の視聴率が低迷しても仕方があるまい。実際『ヤマト』がブームになったのは再放送時から。“アニメーション=子供が観るもの”という概念を取っ払った、今に続くアニメブームの元祖が『宇宙戦艦ヤマト』だったのである。

当時、再放送時から観始めた僕もかなり気に入っていた。元々戦艦大和が好きだったことも大きかったのかもしれないが、長い闘いと宇宙の航海に熱中した。日本中でブームになった『ヤマト』はやがてテレビ版を再編集した映画にもなり劇場公開して大ヒットを飛ばした。僕はこれは観に行かなかったのだが、続編で映画がオリジナルの『さらば宇宙戦艦ヤマト』は劇場で大泣きこきながら観たことは懐かしい思い出である。

しかし「これで完結」と思われた『ヤマト』に驚きの続編が創られてしまい、製作者のとんでもない裏切り行為にはらわたが煮えくりかえった。同時に『ヤマト』に対する熱も一気に氷点下まで下がり、その後は一切を拒否するまでになってしまった。作品世界をぶち壊した金の亡者には、亡くなった今でも憤りしか感じ得ない。まるで汚い物を見せられたような印象の『宇宙戦艦ヤマト』との別れ。おそらく多くの同世代が同じような気持ちになったのではあるまいか。

そんな『宇宙戦艦ヤマト』がこの21世紀に木村拓哉主演の実写版として突然復活。どう考えても内容面でアナクロ感は否めず、おまけにキムタクや黒木メイサ、柳葉敏郎ってところのメインどころがテレビっぽいキャスティングなところも観賞意欲を削いだ。しかし監督が『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴なので興味を持った。あの『続』のゴジラはなかなか見所があったので、他はマイナス要素だらけではあったが、不安7割・期待3割くらいの気持ちで観てみることにした。

物語は『宇宙戦艦ヤマト』がベースだが、後半『さらば宇宙戦艦ヤマト』の要素も入っている。最後の最後が『ターミネーター』だったのはご愛嬌。全般的にはパロディに見えてしまいそうな素材をギリギリのところで踏み止まったといった印象か。残念ながら感動も高揚感もなかったが、そこそこには楽しめた。オリジナルから森雪(黒木メイサ)、佐渡先生(高島礼子)、デスラー(声:伊武雅刀)、アナライザーのキャラクターに大きな改編があったが、もう思い入れが残っていない分、特に不満はない。むしろ青い顔のデスラーや古典的なフォルムのアナライザーをまともに再現してはギャグになりそうなところを変えたのは正解に思えた。不満はイスカンダルがやけに近く思えたことと個々のキャラクターの描き方が浅かったことだろうか。尤も映画の尺では難しいことだったと思えるが。

それにしても実はヤマトが無事だったってことで何食わぬ顔で続編が創られたら笑うな。そんなところでオリジナルを忠実に再現したら逆に感動するかも…ってしないか。

ヤマト.gif


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コメント 12

うたぞー

そうでしたか。懐かしいですね。特に、映画で死んだけどテレビでよみがえったあたりは、「なんだーそれー」と強烈に覚えています。
その後の新日本プロレスで猪木に裏切られた時に似ていたなぁ。
実写版はいろんな意味で怖くて観られないのでDVD借りることにします。


by うたぞー (2010-12-12 23:32) 

ヒロ

いつも訪問&niceありがとうございます。
また、遊びにきますね。

by ヒロ (2010-12-13 11:45) 

なぎ猫

思い入れがなければ、さほど不満にも思わないですね。私も思い入れがあったわけではなく、でもまあ話題作だし時間あるし見とくか、くらいで見といてある意味期待通りでした。題がスペースバトルシップヤマトになってるところが何気にダサいなあ、と思いました。(英語題名にしてしまうところが。)なんか続編作りそうな気もするのだけど。
by なぎ猫 (2010-12-13 18:14) 

丹下段平

うたぞーさん、こんにちは。
詐欺みたいなものですから許せませんでしたね。

実写版はDVDで充分だと思います。
by 丹下段平 (2010-12-14 00:32) 

丹下段平

ヒロさん、こちらこそありがとうございます。
またいらしてくださいね。
by 丹下段平 (2010-12-14 00:32) 

丹下段平

なぎ猫さん、こんにちは。
英語題名、ダサいですよね。いっそのこと『宇宙戦艦大和』って全部漢字にしちゃえばよかったかな。…いや、これもヘンか…

ヒット次第では無理矢理続編できるかもしれませんね、息子(娘?)で。
by 丹下段平 (2010-12-14 00:36) 

hash

本作といい、年明けに公開の「あしたのジョー」といい、昔のアニメの実写化は今後、増えそうですね。

by hash (2010-12-15 01:09) 

丹下段平

hashさん、こんにちは。
昔の作品に頼った映画が多いですね。アニメじゃないけど『ゴースト』とか。
ここらへん全部テレビ局が入っているんですよね。この企画力のなさに今のテレビ局がいかにダメかが分かるってもんです。
by 丹下段平 (2010-12-16 02:43) 

baldhatter

私はハイジそこのけで初放映から見ていたクチですが、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の後に始まったテレビ版パート2以降に白けて遠ざかってしまったコースはまったく同じです。

> 『さらば宇宙戦艦ヤマト』の要素も入って

いながら実は無事、というあたりが実にイヤらしいですねー。どーしようかな。1,000円なら見てもいいんだけど。
by baldhatter (2010-12-16 17:31) 

bamboosora

お久しぶりです。
僕もヤマト世代で初放映時は裏番組の「アルプスの少女ハイジ」を観てました。
僕の場合は劇場版からハマっていったパターンです。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」でのせっかくの感動を、その後の「ヤマト2」や
「新たなる旅立ち」無理矢理な設定に困惑させられ、ドサクサというか
勢いで観に行った「ヤマトよ永遠に」は感動したのに、「ヤマトⅢ」で再び幻滅。
公開に気がつかなかった「完結編」に至っては、実は沖田艦長がっ・・・
そんなこんなであれこれ振り回されっぱなしの「ヤマト・シリーズ」でしたが、
思い入れは一応あるつもりなので、今回の実写版にはやはり抵抗感がありました。
それでも、TVCMやネットで予告編を観た限りでは期待してたんですけどねェ。
by bamboosora (2010-12-17 00:50) 

丹下段平

baldhatterさん、こんにちは。
これで無事だったってオチの方が「お約束ギャグ」っぽくて面白いような気がしてきました。
まぁ、無理してご覧になるほどの作品ではありません。レンタルDVDで充分じゃないでしょうか。
by 丹下段平 (2010-12-18 11:02) 

丹下段平

bamboosoraさん、こんにちは。
『さらば』でボロ泣きさせられた反動が大きすぎましたね。ですので、もう次からはずっとダメで、後に何作あったかもよく分からない状況です。

でも思い入れが残っているなら抵抗感があっても仕方ないですね。尤も本文にも書きましたが、アニメの世界を忠実に再現してもうまくいかなかった気もします。
by 丹下段平 (2010-12-18 11:07) 

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