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「喜劇 怪談旅行」 [映画-DVD]

何でこのプログラムピクチャーを大型量販店に置かれている数あるDVDの中から手にし、しかも購入してしまったのだろうか。以前の自分なら絶対に買うことは無かっただろうし、目に留まる事すら無かっただろう。芸術性や斬新さなど全く期待できない超娯楽作品である。

とても疲れている…

そんな状態であったのは確かで、このタイトルを見た瞬間、今の自分が欲しているのはこんな映画だと瞬間的に感じ、何のためらいも無くレジに向かって購入した。今の自分に必要なもの…それが何かはこのDVDを観終った時に分かった。

ストーリーは、和歌山県にある大子駅に赴任してきた新しい駅長(フランキー堺)は超堅物で、若い頃に世話になった先輩の駅員(三木のり平)の上司になっても、決して甘い顔せず厳しく接するため、先輩以下、その息子(森田健作)を含む駅員たちから疎まれてしまう。実は駅長には秘密があり、2年前に亡くした奥さんが幽霊になって今も付き纏っているのだ。そんな駅長は結構モテるため、幾度とエッチできそうになるのだが、その都度幽霊の奥さんが現れ邪魔するため成就しない。そんな中、行きつけの小料理屋の女将に片思いするのだが、実はこの女将はやはり奥さんを亡くしている先輩の駅員と結婚の約束をしており、それを知らない駅長は彼女を温泉旅行に誘い、約束を取り付けてしまう。いよいよ当日、ウキウキ気分で出掛ける駅長であったが、その事を知った先輩の駅員は息子に駅長の邪魔をさせようと付回させるのだが…。

と、まぁ、どうでもいいと言えばどうでもいい話である。昔の自分なら馬鹿馬鹿しく無駄な時間としか思わなかったかもしれない。だけどこれがいいのだ。作られた1972年という時代のせいか、南紀という土地柄のせいなのか、実に大らかで、観ていて癒される感じなのである。

そうか、今の自分に必要だったのはこの大らかさと癒しなんだ、と観終わって分かった。この何の野心も感じられないプログラムピクチャーから滲み出る、ストレートな人間臭さと優しさ。それを求めていたのだ。

まさか1972年当時の作り手は2006年にこの映画を観た人間を癒す事など想像すら出来なかった事だろう。そもそもプログラムピクチャーがそんな後の時代に人の目に触れる事すら考えなかったのではないか。しかし、今こそこの映画の大らかさは必要なんだと思う。あの不便で垢抜けないけど人と人との繋がりが濃密だったあの頃に、たまにはタイムスリップしてみるのも新鮮で楽しい体験ができると思うのだが。

 

シネマ de 昭和 喜劇 怪談旅行


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