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「はじらい」 [映画(2008)]

映画監督のフランソワは新作映画の準備で、女優のオーディションを行う前の面接を行っている。フランソワは女性の一番美しい瞬間はエクスタシーを感じた時と確信しており、その表情を見たいためにオーディションではマスターベーションと女性同士の性愛行為を行ってもらうと告げるが、殆どの女優に拒否されてなかなかキャスティングが進まない。そんな中、ジュリーとシャーロットの2名が要求を受け、オーディションに臨む事になった。彼女らはカメラの前でマスターベーションを行うだけでなく、日常的に性行為をし、倒錯の世界に入っていく。そこにステファニーも加わり3人での行為が繰りひろげられる。その内、彼女らの中に見守るだけのフランソワに対する気持ちに微妙な変化がみられていき…という話。

この映画の監督ジャン=クロード・ブリソーは前作『ひめごと』の成功で名声を手に入れるも、そのオーディションに参加した女優からセクハラで訴えられ、裁判となり執行猶予と多額の賠償金を支払うことになった。まるで実生活を映画にしたような作品であるが、彼の都合の良い言い訳とも受け取れる。確かに彼は女性に手出ししていないし強要もしていないが実際のところは分からない。何れにしても「よくやるよ」という半ばあきれた気持ちと、ここまで徹底すれば立派なものかもと感心する気持ちが交差する。

これは芸術的な行為なのか、単なる困ったちゃん監督の悪行なのか判断に困るところではあるが、その両方を兼ね備えている個性的な作品になっていると思う。東京では2館で上映されているのだが、渋谷のイメージフォーラムと銀座のシネパトスと雰囲気がまるで異なる映画館というのが、この映画の微妙な感じを物語っている。内容的に展開が読めない分、結構興味深く観る事ができたが万人向けの映画ではなかろう。

それにしてもブリソー監督の基本姿勢は団鬼六と大差ないように思える。どちらも女性の美を独特な方法論で追求している。それがフランスだと芸術のように思え、日本だとキワモノのように思える。フランスではエッチなものさえファッショナブルに感じるのは偏見なのだろうか。さらに言えばこんな映画をイタリア人やスペイン人が撮ったら、それはそれは激しいものに…あ、これも偏見?

(お断りしておきたいのですが、団鬼六氏の名前を出しましたが、別に僕はそんな趣味がある訳ではありません。一応念のために)


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丹下段平

アートさん、nice!ありがとうございました。
by 丹下段平 (2008-01-10 00:51) 

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