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「泪壺」 [映画(2008)]

泪壺.jpgこの映画の原作は渡辺淳一の短編小説で、彼の作品は興味が沸かないので全く読んだことがないのだが、映画になると割りと観てしまうのが不思議。

妹・愁子(佐藤藍子)の死によって、今まで押さえていた妹の夫・雄介(いしだ壱成)に対する想いが再びこみ上げてくる姉・朋代(小島可奈子)。雄介は生前愁子と約束していた遺骨で壺を作り手元に置くことを実行する。一方朋代は亡き妹の夫と結ばれることを望みながらも踏み込めない苛立ちを感じ、好きでもない男に抱かれたりと生活が荒んでいく。ある日、妹の墓参りに出掛けると、そこで雄介と見知らぬ女に偶然出くわし…という物語。

この作品、朋代の視点で展開されていくのだが、気がつくと雄介の視点に変わっていたりするので、観る側からすると観難いし散漫な印象になってしまう。いったい創り手が何を表現しようとしているのか、意図が掴みにくくなってしまう。朋代の雄介に対する執念なのか、雄介の愁子に対する想いと朋代に対する想いの板ばさみに苦悩する姿なのかがはっきりしない。その両方と言うなら、どちらも中途半端なものになってしまっていると思う。主人公である朋代の執念が不気味にさえ映ってしまい、これが雄介が主役なら「あり」だと思うが、朋代の視点で描かれている限りはそれが意図とは思えない。どうも日本映画は全般的に「視点」ということに無頓着であるように思えてならない。この映画もそのパターンで失敗しているのだと思う。

それにしてもいしだ壱成に姉妹から想われるという魅力が感じられないのも辛い。特に朋代は長い間妹の夫を密かに恋焦がれており、ずっと男性とも関係を持たずに三十路を越え…という程の人物に思えない。これが納得できていれば多少の難点は克服できていたのだろうと思うと残念。

やっぱり、こんな映画はフランス製に限る?
泪壺.JPG
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