「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 [映画(2008)]
ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』を始めて観た時、そのセンスに驚くと同時に、これが香港映画であるということに衝撃を受けた。それまでの香港映画とは全く異なる美しい映像美に目から鱗が何枚も落ちた。それ以来、この素晴らしい映画を監督したウォン・カーウァイ監督を追い続け…れば良かったのだが、彼の監督作品を観るのはそれ以来といういい加減さ。彼の場合「問題作」なんかよりこのような可愛い小品といった感じの作品の方が観たいと思えた。その方が良さが出るような気がしていた。
で、この『マイ・ブルーベリー・ナイツ』なのだが、予想通り物語は大した展開のある映画ではなかった。恋に破れ傷心の主人公エリザベス(ノラ・ジョーンズ)が住んでいるニューヨークを離れ転々とする間に出会った人の人生を垣間見るというもの。そしてニューヨークに戻った彼女に新たな恋の展開があるという微笑ましいストーリー。映画の大半は主人公が傍観者となる狂言回しの役割という設定。その出会っていく人々の役がジュード・ロウ、デイヴィッド・ストラーザン、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマンが演じるという、なかなかなキャスティング。でも、この映画の最大の特長は、何といっても映像美。
全編もの凄く細かなカット割りなのだが、その一瞬しかないショットがどれも凝りに凝ったもので、何とも贅沢に創られている。構図、色合い、照明とどれを取っても完璧なまでの美しさ。しかし映像が凄過ぎて、起こっている物語と観る側との距離を感じてしまう印象も受ける。映画が観る側を拒絶して、物語の傍観者である主人公の傍観者になってしまい、映画から離れた所で観ている感じになってしまう。
でも、この映画に関してはそれでいいのかもしれない。何たってこの映画は
センスを楽しむ
ことが最大の目的だから。物語がどうとかよりも、ウォン・カーウァイのセンスある映像美を堪能できればそれで充分。あまり映像に特化した作品は好きではないのだが、ここまで凄いと話は別。この美しさは一見の価値あり。
こんばんは。
私も今日見て来ました。ウォン・カーウァイのセンスのよさに
ほれぼれしました。
TBさせていただきますね。
by coco030705 (2008-04-03 23:13)
ココさん、こんばんは。
センスのよさにほれぼれ…確かにそんな映画でした。ちょっと他の監督には真似できない境地ですよね。
by 丹下段平 (2008-04-04 02:14)
作品の流れに任せて音楽や映像美で魅せる感じなんですかね~。取り敢えずDVD等のメディアになってから観てみます。
by アートフル ドジャー (2008-04-07 17:37)
そんなに強くはお薦めしませんので、DVDで観てください。映像の美しさは保障します。
by 丹下段平 (2008-04-07 22:51)