「神様のパズル」 [映画（2008）]
この『神様のパズル』を観た後、急に高校１年生時に化学の教師から出された夏休みの宿題を思い出した。それは「夏休み中に内容は問わないからブルーバックス１冊読んで感想文を提出しろ」というもの。その時は、面倒だけど問題集をやって来いというよりはマシか、くらいにしか思わなかったが、これが甘い考えであったと思い知ったのは８月末日。書店に宿題のブルーバックス（ご存じない方はこちらをクリック→ブルーバックスＨＰ）を買いに出掛けたのは８月半ば過ぎ。それまでブルーバックスが何かも知らずにいたため、書店のどのコーナーにあるのかも分からず、店員に教えてもらってブルーバックスがずらりと並んだ書棚に辿り着いた。見事に揃った本の背表紙のタイトルを読んでいくうちに眩暈がしてきた。
タイトルからして理解できない…
高校入学後、元々理科は苦手だった上に、受験が終わって気が弛んで遊び呆けたため、１学期の中間試験で化学は赤点（何と１００点中７点しか取れなかった！）で、期末も似たようなものであったため、ここは充実した感想文を書いて挽回だと意気込んだものの、そんな気持ちは脆くも砕け散った。絶望的な気分の中でようやく見つけたのが『ブラックホール』。これならＳＦっぽいし、映画のネタにもなっているからイケるかも、と砂漠でオアシスを見つけたような気持ちになった。で、家に買って帰って期待しながら読み始めてビックリ。
全く理解できない！
何の事やらサッパリな内容に、頭の中がブラックホールになってしまった。本に書かれている文字は記号と化して脳を素通りしていく。５ページ読んだところで気を失いギブアップ。結局本の適当な箇所を抜粋してみたり、後書きをパクッたりしながら、夏休み最後の日に無理矢理書き上げ、新学期に間に合わせた。その後、教師からは何のお咎めもなかったので、出すことに意義がある程度の宿題であったようだ。
さて、前置きが長くなったが、ここからは映画『神様のパズル』について。
全く予備知識のないままに観たのだが、これが結構面白かった。ただし面白かったのは途中まで。主人公の綿貫基一（市原隼人）が双子の弟の代わりに大学へ行き、天才少女のホミズサラカ（谷村美月）と出会ったりしながら、ゼミで「宇宙の創り方」について討論する羽目になってしまう。全く物理的な素養のない基一が悪戦苦闘しながらも、同じゼミの美人女子大生の白鳥さん（松本莉緒）にいいとこ見せたくて必死になる姿は、化学に悩まされた自分の姿ともダブって思わず共感してしまう（僕はもっと低次元だったけど…）。基一を何も分かっていないキャラにしたのは正解で、彼と同じレベルの観客（僕）には、難しい内容も分かり易く噛み砕いた表現となるのでついて行けるため、映画から落ちこぼれないで済む。あまりお目にかかれない熱血理系映画もこれなら楽しめた。
…が、後半は大味なサスペンスとなってしまい、せっかく楽しめていた作品もシラケてしまい残念。話を収束させるために無理矢理事件を起こした感が漂い、分かったような分からなかったようなクライマックスで中途半端な気持ちにさせられてしまった。最後まで熱血理系映画で通してほしかったが、三池崇史監督には理系で貫き通すのはこれが限界であったのかもしれない。
それにしてもアインシュタインは自分の使われる写真が、例の舌を出したものばかりだということを知っているのだろうか。もしも知っているなら「やらなきゃよかった」と後悔しているのかなぁ？
僕も理系はさっぱりでした。今でも・・・
by ばん (2008-06-15 08:34)
ばんさんいつもありがとうございます。
理系って聞くだけで「おおっ」と思ってしまう自分が情けないです。
by 丹下段平 (2008-06-15 18:23)
お久しぶりです。「神様のパズル」興味あるのですが、丹下さん以外に見た人がいません。興行成績もよくないようで、すでにシネコンでは１日１回上映。「三代目」にさえ負けているのが残念。で、一番興味あるのは天才少女・谷村美月の天才少女役はどうだったかということ。段平さんのご意見で、見るか見ないか？決めたいです。
by アンソン (2008-06-28 20:16)
アンソンさん、お久しぶりです。
谷村美月に関しては「彼女ならこのくらいは出来るだろう」というくらいのもので、新境地が見られるということはありません。
ということでご判断ください。
by 丹下段平 (2008-06-29 02:33)