「暗黒街の対決」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]
二つのヤクザ組織が対立する荒神市に左遷されてきた藤岡刑事(三船敏郎)は、街に到着してすぐに大岡組から目をつけられる。新興勢力ながら荒っぽい手口で勢力を伸ばしている大岡組は、古くからある小塚組を圧倒しつつある。そんな中、大岡組が雇った殺し屋によって小塚組長が暗殺される。にわかに騒々しくなる荒神市。藤岡は小塚組を抜けて堅気になった村山(鶴田浩二)と知り合い、共に大岡組を壊滅させるために立ち上がるのだが…というお話。
二つの対立する組織の街に三船敏郎がやって来るというのは、この『暗黒街の対決』が創られた1960年の翌年に公開された黒澤明監督作品『用心棒』と設定が同じで、おまけに両作品とも出演している俳優も多いため、『暗黒街の対決』の時代劇版が『用心棒』なのかと勘ぐってみたくもなるが、特にそういうことではない様子。こんな物語を大好きな岡本喜八監督がユーモアも交えつつ、軽快なタッチで描いているので面白くならない筈がない。お話良し、演出良し、役者良しと三拍子揃った傑作になっている。
それにしてもこの時代の役者はとても個性的で、バラエティに富んだキャスティングが嬉しい。主役の三船敏郎に準主役の鶴田浩二とは豪華な組み合わせだが、東宝時代の鶴田浩二はどこか影が薄い。特に三船敏郎と並んでしまうと貫禄の差が歴然としてしまう。そんな二人の脇を固めるのは佐藤允、ミッキーカーチス、平田昭彦、天本英世、中谷一郎、中丸忠雄らの、いかにも岡本組といった役者が揃い、ファンには嬉しい限り。特に面白いのが殺し屋のひとりを演じている天本英世で、何と劇中で歌まで披露しているのには笑えた。
ヤクザの抗争劇と言っても東映のようなリアルなヤクザではなく、昔のアメリカのギャング映画っぽい雰囲気なので気楽に観ることができる。ぜひ岡本喜八監督のテンポ良い演出を楽しんでいただきたい。
うーん観たいですね、古きよき時代最高ですね。
by ばん (2008-07-04 13:29)
ばんさん、ありがとうございます。
この時代の映画って魅力的な作品が多いですよね。
ぜひ機会があったら観てみてください。
by 丹下段平 (2008-07-05 03:36)