「リミッツ・オブ・コントロール」 [映画（2009）]
この作品のようにコメントし辛い映画は本当に困る。絶賛すればいかにも「ツウ」で「分かってる」ように思ってもらえるんじゃないかとスケベ心が顔を覗かせるのだが、素直な感想を書こうと決めているからにはそうはいかない。退屈はしないけど大して面白くもない、実に掴み所に困る厄介な映画。ジム・ジャームッシュ監督作品って昔からそうだった。
彼の作品はごく狭い範囲にいる彼と同程度の映画マニア層に向けて創られている気がする。その点、タランティーノにも同じようなものを感じるのだが、志向が（歪んではいるが）メジャー寄りなので一般的にも受け入れやすい。一方ジャームッシュはヨーロッパ映画なんだろうか。悪くはないが大衆性に欠ける。
殺し屋なんだかスパイなんだか分からないが、コードネーム“孤独な男”（イザック・ド・バンコレ）は「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送る」という曖昧な指令を受けてスペインへ向かう。男の元へ仲間らしき者が入れ替わり立ち替わり現れては次の行動の指示を告げる。男はスペインのあちらこちらへと移動しながら、次第に自分こそ偉大だと思う男に近付いていく…のか？ …みたいなカンジ。主役のイザック・ド・バンコレの他、ティルダ・スウィントン、工藤夕貴、ビル・マーレイ、ジョン・ハートらの過去にジム・ジャームッシュの作品に出演した出演者などが絡むのだが、その中で一番の大物がなかなか登場しないので、その人物が自分こそ偉大だと思う男だろうことは予測できた。
この作品、説明的な台詞は一切省かれているので、全ての存在が明確にならず、後は観客が勝手に想像して補足していかねばならない。例え観る側がジム・ジャームッシュの意図するところとかけ離れたことを考えても、頭の中で辻褄が合えばそれでいいってことなんだろう。
日本で最初に公開されたジャームッシュ作品『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『ナイト・オン・ザ・プラネット』くらいまでは結構気に入って観ていたものだが、新鮮さを感じなくなったスタイルにだんだんと興味が薄れてきて、最近の作品は観ていないものも少なくない。それでもあまり惜しいと思わなくなってしまったのが、何だか寂しいよなぁ…。
イラストを見て「そういえば２つだったなぁ」と思いだしましたが、何の意味があるのか判らなくて・・・。
この映画がよく映画紹介でとり上げられているのが不思議です。私にとっては退屈な映画でした。
ｶﾞｴﾙ･ｶﾞﾙｼｱ･ﾍﾞﾙﾅｰﾙとﾋﾞﾙ･ﾏｰﾚｰを見に行ったので「ま いっか」と諦めました。
by マヌカン☆ (2009-10-14 08:48)
多分あまり意味は無いように思えました。主人公のこだわりを見せることでキャラクターに深みをもたそうとしたのでは？
まぁ、こういう映画を褒めることでハクをつけようとするので取り上げるのでしょう。記事の内容は分かりませんが、結構良いことを書いているんでしょうね。
by 丹下段平 (2009-10-15 02:07)
観客にある程度思考させたり想像させたりすることは必要と思う。
しかし、あまりに自分の趣味に走られると何だよ！って思いますね。
デヴィッド・リンチの一部作品とか。
ジム・ジャーは割と男の人に好かれるのかな？（ブロークン・フラワーズとか、ね。）と思ってましたけど作品にもよるのかな。
過去の作品ストレンジャー・・・、とかナイトオン・・・は見たいです。
by なぎ猫 (2009-10-15 08:55)
僕も観客の想像できる部分を残しておいて良いと思いますし、説明過剰である必要もないと思ってます。
でも無さ過ぎるのはどうなのかな、と感じました。映像詩みたいな作品ならいりませんが、暗殺しようとする物語があるので中途半端感は否めませんでした。
by 丹下段平 (2009-10-15 19:31)
最近、ちょくちょく映画見に行く様になりました！
先日は『ヴィヨンの妻』と、『私の中のあなた』を、
見ました。
中々段平さんと、同じ映画が見れなくて残念です・・・
by 薔薇少女 (2009-10-16 15:52)
こんばんはぁ、(^_^)/
映画館で予告編を見て、久しぶりにジャームッシュを
観てみようかと思っていました。
やはり、余り変わらずなのかなと、読ませていただいて
感じましたが、1ヶ所でも光るシーンがあれば
いいなあと、期待しつつ
「掴み所に困る厄介な映画」を観たいと思います。
しかし、静岡は来月公開でした。(^^ゞ
by よーじっく (2009-10-16 20:02)
薔薇少女さん、こんにちは。
僕よりずっと王道の作品をご覧になってると思います。こちらはミニシアター系が続いてるのかもしれません。名古屋ならシネマスコーレって感じでしょうか？
by 丹下段平 (2009-10-17 11:08)
よーじっくさん、こんにちは。
僕はジャームッシュの映画を劇場で観るのは『ナイト・オン・ザ・プラネット』以来でした（『コーヒー＆シガレッツ』はDVDで観ました）。
記事には書きませんでしたが、クリストファー・ドイルのカメラは良かったと思います。
by 丹下段平 (2009-10-17 11:12)
シネマスコーレご存知なんですね！
むかぁし、体力、気力も旺盛だった頃はミニシアター系
見に行った事も有りましたが、今は劇場（綺麗、便利）を先に
選んでしまいます。
（昔ｽコーレ行った時は殆ど、アジア系の外国人ばかりで、
言葉と匂いで劇場が独特の雰囲気だったのを覚えています）
by 薔薇少女 (2009-10-17 11:28)
シネマスコーレは名前を聞いたことがある程度で、行ったことはないんですよ。
綺麗・便利な劇場を優先する気持ちも分かります。ホントにシネコンは観賞する環境が整っていますから、同じ作品が上映されるならシネコンを選んでしまいます。でも、札幌のミニシアターは結構綺麗で観やすいので気に入っています。
by 丹下段平 (2009-10-17 12:43)