SSブログ

「マイ・バック・ページ」 [映画(2011)]

最近よく見かける近過去モノ。この『マイ・バック・ページ』の舞台は1970年前後。アポロの月面着陸や万博、三島由紀夫の割腹自殺等々、話題に事欠かなかった時代。一方、学生運動も盛んで、暴徒化する若者によって国内は騒然としていた…はず。僕はこの時にはもう生まれていたけど、怪獣に夢中なガキだったので世間がどうだったのかはあまり覚えていない。ただ、デモ行進はよく見かけた…ような気がする。その頃の東京都知事は社会党(現・社民党)を支持基盤としたマルクス経済学者の美濃部亮吉氏。特に都市部では左翼的な傾向にあった…そんな時代だってことを踏まえないと、なかなか映画世界を理解できないかもしれない。

1969年の安田講堂陥落により、学生たちの全共闘運動も下火になりつつあった。東都新聞社、雑誌部門の編集者である沢田(妻夫木聡)は母校・東大でおきたこの事件を外から見守るしかできなかったことを悔やみながら暮らしていた。そんな中、取材で新進の活動家・梅山(松山ケンイチ)に出会う。梅山に胡散臭さを感じながらも次第に共感していく沢田。そんな沢田に転機が。一般的な『週刊東都』から左翼的な雑誌である『東都ジャーナル』へと異動になった。しかし左翼雑誌の先頭を走っていた同誌も勢いを失いつつあった。一方、梅山は革命家として名を上げるために沢田を利用しようと考え…ってなお話。

この時代をかすっているので、懐かしい感覚もあって割と楽しめた。でも、もし知らなかったら置いていかれたかもしれない、って映画。この後10年くらい経って映画雑誌など読み始めたのだが、その頃の映画批評家に全学連崩れみたいな人が多数いた。そんな批評家は政治的な視点ばかり強調しており、作品の良し悪しという点では全く参考にならならず、はっきり言って時代遅れのウザい連中だと感じていたことも併せて思い出した。この作品の原作者である川本三郎もそんな中で映画評論を書いていたのだが、それ程政治的ではなく、かと言って全くない訳じゃないって感じの微妙な人だったという認識であった。でも、今この時代に、何でこの作品を世に出したのか。監督の山下敦弘は現代の観客に何を伝えたかったのかがよく分からなかった。

それにしてもこの作品の登場人物の多くがタバコをバカスカ吸うもんだから、観ている内に愛煙家のこちらもタバコが吸いたくなり、早く映画が終わらないかと思う始末。もしかしたら映画の中で費やされたタバコの本数の新記録だったのでは…?

マイバックページ.gif


nice!(21)  コメント(8)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

nice! 21

コメント 8

盗人・李メドベージェフ

監督の山下敦弘は愛煙家に違いない。
日本たばこ産業(JT)がスポンサーになっているわけではないと思う。
by 盗人・李メドベージェフ (2011-06-20 11:42) 

薔薇少女

『ノルウェーの森』を観た時に思ったんですが
松山ケンイチは、この時代に似合いますね!
この時代は煙草吸う事がカッコいい象徴の様なもんでしたよ。
チョット不良っぽい事や退廃的なモノに憧れていました。
セブンスターが発売された頃、こっそり買って吸ってみたけど、
性に合わなくて1,2本吸ってその煙草を何故だか
10年位仕舞って置いた記憶があります?!ナンデカナー
その頃は煙草の煙は嫌だなんて思いませんでしたが
今ではホンのチョットでも煙草の匂いがすると喘息の様な
症状になってしまいます。
by 薔薇少女 (2011-06-20 14:37) 

丹下段平

盗人・李メドベージェフさん、僕もそう思います。
by 丹下段平 (2011-06-23 03:43) 

丹下段平

薔薇少女さん、こんにちは。
煙草がカッコいい時代がいつのまにか…
ファッションに近い感覚だったんでしょうか。確かにちょっと不良っぽい行為に憧れて、高校生の時吸ってみたりしたものですが。
今は煙草のけむりも吸うことが少ないでしょうから、免疫がなくなったのでは?
by 丹下段平 (2011-06-23 03:49) 

ばん

タバコは高いものから安い「エコー」に変えました。
by ばん (2011-06-25 00:45) 

丹下段平

ばんさん、こんにちは。
エコーまだ売ってますね。でも買える店が限定されてるんじゃないですか?
あ…下町ではどこでもあるのかな?
by 丹下段平 (2011-06-25 12:47) 

なぎ猫

この時代には興味があって、連合赤軍関係の本も読んだりしてるんだけど、それでも私はこの時代をリアルタイムで経験してないので、知識の上でしか知り得ないです。60年代終わりから70年代初頭なのでみんなスパスパ吸ってますよね、たばこ。なんか画面が煙たい感じ。あ、今原作読んでますよ。
by なぎ猫 (2011-06-26 21:02) 

丹下段平

時代の雰囲気が実感できないと、主人公がマツケンにシンパシイを感じることが理解できないかも、と思いました。
原作はいかがですか?
by 丹下段平 (2011-06-29 03:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。