2006年の3本【日本映画編】 [映画-雑記]
映画への愛、想いが伝わってくる作品は、それだけで美しく感動的だ。作り手がどのくらいその作品を世に送り出したいのか。そんな気持ちを強く感じられた下の3本はどの作品も愛おしい。世間的な評価はどうでもいい。「映画愛」を大切にしたい。
作り手の想いの大きな塊を剛速球で投げ込まれたような作品。死を意識させることで生の美しさと厳しさが浮き彫りにさせられる。スタッフ、キャストの真摯な姿勢が、スクリーンの登場人物や風景に愛を満ち溢れさせた傑作。
人生で一番幸せな時間への想い、8ミリの自主映画に対する作り手の個人的な思い入れ。そんな過ぎ去りし日々への郷愁に心が震える。僕個人の過去ともリンクして愛さずにはいられない作品。
汚れのないピュアな登場人物に心が癒される。短くも貴重な体験を通して、主人公の心の成長が見られると同時に自分のその年代の記憶も蘇る。いちばんきれいな水を湛えたプールのスタイリッシュな映像が秀逸。
こう3本並べてみると新人監督の作品が2本(『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』『いちばんきれいな水』)が入っている。この監督たちには、今後ありきたりの「職業監督」にはなってほしくない。
『嫌われ松子の一生』を観損ねたのが今年の唯一の心残り。因みにワーストはスクリーンの向こう側で製作者たちがそろばん勘定をしている姿が見えるかのような『東京フレンズ』。テレビの2時間スペシャル的な感覚で創られたこの映画は醜悪でしかない。
来年も良い情報をお願いします。更新楽しみに拝見させて戴きます。良い年をお迎え下さい。
by アートフル ドジャー (2006-12-31 13:29)
どうもお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
by 丹下段平 (2006-12-31 13:39)
26−7年前の丹下さんのベスト3を見ると以下の監督たちの名前が並んでいました。宮崎駿、森田芳光、井筒和幸、根岸吉太郎、大森一樹と、すでに巨匠だった黒澤明を除くとほとんどが無名の新人。そしてそのいずれもが、のちに大ヒット映画を作り、ブレイク。今では大監督。今回のベスト3にも新人監督が2人。彼らも大ブレイクしてほしいですね!
by アンソン (2006-12-31 13:49)
処女作が最高傑作という監督も少なくありませんが(オーソン・ウェルズがその筆頭?)、もっと素晴らしい作品を創ってくれると期待します。
因みに『翔んだカップル』は相米慎二のデビュー作でした(一応補足)。
アンソンサンには多々コメントを頂戴し、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
by 丹下段平 (2006-12-31 15:26)