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「愛の流刑地」 [映画(2007)]

 

今年に入ってから公開された映画で「これは観たい!」と思わせてくれる作品がなく、いささかテンション低いまま、気まぐれで観てみた『愛の流刑地』。渡辺淳一に興味無く、原作を読んだことも映画化された作品も観たことが無かった。

映画が始まるといきなり濡れ場。男の上になり性行為中の女が「首を絞めて」と言い、リクエストに答えた男が絞めると死んでしまう。男は自首し、取調べ、裁判と進む。その間に男が女に出会った時から死までの回想が入る。そして男に下った判決は…。と、まぁストーリーを目茶目茶掻い摘むとこんな感じ。

…何だかね…よく分かんないんだよね。あの女の行動とか。そして作り手が何を伝えたかったんだかね。これが至高の愛とでも云いたかったのかな? 納得し難いけど。この映画を観た女の人、どれくらいがこの寺島しのぶが演じた女性の気持ちを理解したのかな? 聞いてみたい。

3人の子供がいる女性が、憧れの作家とセックスしてみたら、そいつがやけに上手くて、初めて味わう絶頂感。女の悦びを知ったこの主婦は行為がクライマックスに達した時、このまま幸せな気分に包まれた時に死んでしまいたいと思った…。

 

思うのか?

 

分かんないね、どうにも。それにしても残された子供は可哀想だよね(夫はともかく)。そんなことは頭を過らなかったのかな、この女。それさえも忘れさせてしまうほど凄かったのかな?

主人公は作家だから、渡辺淳一の実体験が入ってるんじゃないかと勘繰ってしまうけど、だとしたら「俺のセックス、サイコーだぜ」って云ってるみたいで、それもヤな感じがする。

それにしても、またキャスティングが気になってしまった。豊川悦司と寺島しのぶは悪くなかったけど、検事の長谷川京子ってどうよ? 身をくねらせて思わせぶりで下世話な感じで法廷で質問するんだけど、単なるヤらしい姉ちゃんにしか見えない。それに対する弁護士の陣内孝則ってのもな~。目をギョロつかせてニヤケながら緊張感ゼロで(に見える)座っている。おまけに自分が守るべき被告人にも変な調子で質問したりする弁護士。

 

違うでしょう!?

 

こんな2人のバラエティみたいなコント、いやいや芝居に対して、被告人の豊川、証人の富司純子、仲村トオルが熱演すればするほど、両者の差が広がって違和感を覚えてしまう。泣いたり叫んだりしてる横でヘンな顔して立ってたりするんだもんなぁ。せっかくの芝居が台無し。

実際の裁判を経験したことも傍聴したこともなく、知り合いに検事や弁護士もいないから、案外そんなものかもしれないんだけど、それにしてももう少し「らしい」人に出てもらいたかった。例えば若い女性検事なら西川史子先生みたいな人とかはど~よ?

え、これも違う?


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アートフル ドジャー

渡辺氏の作品も映画化は×なの多いですね~。優れた原作を生かせないスタッフ・・・。いっその事外国の人に撮られるって~のはど~うでしょう?。
by アートフル ドジャー (2007-01-25 01:40) 

丹下段平

フランス人の監督なら上手そうですね。イタリア人でもOKかな? でもエロくなりそうだけど。
by 丹下段平 (2007-01-25 06:59) 

紫(むらさき)

「ひらりん的映画ブログ」からやってきました。

バッサリ書いているのがとっても気持ちよいですね。
TBさせて頂きました。

女の私は冬香の気持ちが判らなくなかったのですが、
‘子供三人生んで’ないので本当は判っていないのかもです。
by 紫(むらさき) (2007-02-07 00:59) 

丹下段平

紫さんはじめまして。コメントありがとうございます。
冬香の気持ち…夫以外の男に惹かれるのは理解できるんですけど、「死にたい」とか、子供が絡むとな~、というところが「?」なんですよね。
でも紫さんが「判る」なら、あながち出鱈目ではないのでしょう。
機会がありましたら、またいらしてください。
by 丹下段平 (2007-02-07 07:43) 

紫

子供は、
例えば夫主導の性生活で、妻の方にはあまり性の喜びもしらないまま、親になる覚悟もないままに妊娠出産しても、‘母性’や‘育てていく生きがい’はあると思います。10ケ月も自分(の中にいる)の一部だった訳だし。
生まれれば、絶対かわいいに違いない。

ただ徐々に、立て続けに生まされて(三人)、育児に追われて、夫には「家庭はおまえに任せる」「おまえの為」「家族の為」って言われて、段々と虚無感を感じる。

そこに今まで知らなかった胸を焦がす恋愛と、初めて自らが夢中になれるSEXに同時に出会ったら、年齢や既婚・子持ちってことはアタマから吹っ飛んでしまったのでは、と。
冬香は子供に対する愛情と菊治に沸いた愛情は同居していないタイプのオンナ、なのでは、と。
冬香は解き放たれてしまったのではないでしょうか、自分をコントロール出来ないほど。キレる、とかハジける、とかいいますが、そんな感じ。

勿論、子供は愛しているしかわいい。
でも、こん風になってしまった自分が母親でいるのもどうなのか、とも思う。

確かにズルイと思います。ヒドイとも思います。

結果、苦しんで自分の事も否定して悩んで、でも菊治を求める身体のソコから湧き上がる欲と情は抑えられなくて、死んだら今のまんまの関係でピリオドだし、殺してもらえれば彼は永遠に自分のモノという烙印を押せる・・・。
彼にとっても自分にとっても最期の男と女になれる。それを彼はきっと判って許してくれる、と思う訳のわからない自信。

馬鹿な、といえば馬鹿な話し、と思います。
by (2007-02-07 23:51) 

丹下段平

なるほど、と言うか、そうなのかもと思えます。
昔、阿部定という女性がいて(ご存知かもしれませんが)、ある男の妾になるのですが、愛が深まるにつれ男を所有したくなり、遂に性行為の最中に男を絞め殺して、その男のイチモツを身に着けて逃げていたところを逮捕された事件がありました(もしかしたら間違って覚えている部分もあるかも)。これは実話で、この事件を映画にしたのが大島渚の『愛のコリーダ』です。
自分を殺してほしいと願った女と相手を殺してしまった女。
基本的には男には理解しがたいところもあるのですが、この2人の女性に同じような思いがあったとしたのなら、何となく阿部定の行為の方が理解できるような気がします。
by 丹下段平 (2007-02-08 00:46) 

丹下さんのHNに惹かれてTOPからやってきました。
←ジョーを育ててらっしゃる・・・(含み笑い。)
思わズ書き込みさせていただいています。

友人に「愛ルケ」見に行こうと言われたものの、やはり断ろうと思います。
こういうファンタジー(?)って私もわかりませんし。
丹下さんの感想や他の皆さんのレビューでもイマイチっぽいし
うーん。やはり女として生きると母として生きるは同時にはできず(夫がたまらなく好きな場合は除く)どちらか選択することになるのだとは思います。
問題はヒロインに共感できるかという事ですが残念ながら、私は共感しかねます。
それよりもトヨエツが演じる男性は実際にいるのかどうか。
いるのであれば、うーーーーーーーん。殺されたくなるのかもねーと思う。
ま、ファンタジーですしねっ。
では、また遊びにこさせてくださいませ。
by (2007-02-12 17:24) 

丹下段平

マダムさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
「愛ルケ」話題になってますが、せっかく観るならもっと良い映画が公開中なので、そちらをお薦めします。ジョー上にある映画生活の満足度ランキングの上位の作品は、どれも観る価値ありだと思います。
どうぞまたお越しくださいませませ(さだまさし?)。
by 丹下段平 (2007-02-12 22:12) 

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