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「サイドカーに犬」 [映画(2007)]

この映画を観る前にハタと思った。

根岸吉太郎監督の映画観るの、いったいいつ以来?

・・・『探偵物語』!?

あまりにも昔に遡らなくてはならず、驚いてしまった。『狂った果実』『遠雷』『キャバレー日記』…その辺りの作品は面白かったのに、大手の会社で撮るようになってからは、すっかり興味の対象外の人になってしまった。特に三角マークはいけない。結局誰が撮っても同じようになってしまう。作家性の墓場。今では行定が同じような道を辿っているように思う。

しかし、今回の根岸吉太郎監督作品は、上映規模からして明らかな小品。僕は作り手の個性が色濃く出る小品が好きだ。特に日本映画は大作になればなるほど、金太郎飴のように画一化される印象を受けるため観る気がしなくなるので、この映画のポジション位が一番合っている。

さて、本作『サイドカーに犬』である。先ずは原作通りなのではあるが、タイトルがいい。何の事かは全く分らなかったが、面白そうな雰囲気がある。

母親(鈴木砂羽)が家出した後に来た父(古田新太)の愛人のヨーコさん(竹内結子)と主人公である10歳の少女との交流を、夏休み中に起こった出来事として描いた作品。いわゆる「ひと夏もの」である。洋の東西を問わず「ひと夏もの」にハズレは少ない。この作品も標準以上の出来になっている。主人公の少女に思い出深いひと夏の体験をさせるヨーコさん役に竹内結子。このキャスティングが絶妙。ヨーコさんはさっぱりしていて、いささか男っぽく、実に大雑把な性格の強烈キャラなのだが、これを竹内結子が演じると嫌味の無い人物になり、品が落ちない。読んでいない原作や脚本の段階ではもっと破天荒なキャラだったのでは、と思えるのだが、それが良くも悪くも中和されて爽やかな印象が残る。観る人によっては彼女じゃなくもっとハジケられる女優が…、と感じるのかもしれないが、僕は竹内結子で正解だったと感じた。

それほど大きな期待をせずに観たこの作品、結構拾い物であった。やっぱり日本の映画監督が本領を発揮できるのは小品なのだと再認識した次第である。


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アートフル ドジャー

1夏モノの記憶・・・、ウォルター少年~かな。サイドカー~も興味あったので近日中に・・・。
by アートフル ドジャー (2007-07-08 12:35) 

丹下段平

アートさん、いつもありがとう!
ひと夏ものは爽やかな感動作がある一方、童貞君が色っぽいお姉さんに手ほどきされて…ってパターンも昔は流行ったものです。処女が…ってパターンも結構ありましたね。
映画自体は観ていないのですが、『さらば夏の日』の音楽をフランシス・レイがやっていて、このサントラはかなりお気に入りです。作品を観てみたいのですが、その機会が無く残念です。
by 丹下段平 (2007-07-08 16:07) 

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