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「アデル ファラオと復活の秘薬」 [映画(2010)]

デビュー当時は野心的な作品を発表して注目に値する監督だったけど、次第に商業的な方向に偏っていき、気がつけばどこにでもいる10人並みの監督になっている…最近のリュック・ベッソンは、こんなよくあるダメなパターンの道を歩んでいるように思える。

20世紀初頭、ルポライターのアデル(ルイーズ・ブルゴワン)は取材のため砂漠の国にいた。しかし彼女の真の目的は病に伏している妹を救うため、ある物を探していた。ようやくそれに近づいたところ、宝を探している一派に捕らえられてしまう。間一髪で逃れたアデルはパリに帰る。その頃パリでは復活した空飛ぶ恐竜が街を騒然とさせていた…ってなお話。

1980年代前半、彼が日本に紹介されたばかりの頃は、ジャン=ジャック・ベネックスやレオス・カラックスらと共にフランス映画界の新星として人気監督の仲間入りし、その後も中では一番順調に歩んできたのだが、ここ数年の作品は「どうしちゃったの?」と言いたくなってしまうようなものが続いている。元々商業映画寄りではあったのだが、今やハリウッドの下請けみたいな印象を受けてしまう。

この『アデル ファラオと復活の秘薬』も娯楽アクション。それを悪いとは言わないけれど、作家として独自のものが見当たらない上、タッチが思いっきり軽い分、緊迫感に欠け物語が一向に盛り上がらない。まるで出来のよくないハリウッド映画みたいである。唯一ハリウッドがしない(できない?)ことはヒロインが裸になるくらいなものか。

どうやらシリーズ化したいみたいだけど、はっきり言って次回作を期待するに値しない。このテのものは大金を注ぎ込めるハリウッドに任せておけばいいんじゃないのかなぁ…

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「バウンティー・ハンター」 [映画(2010)]

妻に愛想をつかされ、警官をやめてバウンティー・ハンター〈賞金稼ぎ〉として自堕落な生活を過ごしているマイロ(ジェラルド・バトラー)。そんな彼のところにきた依頼は元妻のニコール(ジェニファー・アニストン)を捕まえて警察に突き出すこと。ニコールは腕利きの新聞記者で、仕事熱心なあまりに自分がしでかしたちょっとした事件の裁判をすっぽかしたのであった。逃げた元妻に復讐できると張り切るマイロ。彼女の行動をよく知るマイロは簡単に彼女を発見。抵抗するニコールを捕まえて連行しようとするが、彼女が追っていた事件がとんでもないものであり、殺し屋から命を狙われる羽目に。一方、マイロも手荒な借金取りに追われていて…というお話。

この『バウンティー・ハンター』のような不純物(芸術性とか鬱陶しいもの)の入らない超娯楽ラブコメ作品を観ると、アメリカ映画の底力のようなものが感じられる。客を笑わせることしか考えず、入場料以上のものを与えはしないが、決して下回ることもない安定感。こうなるだろうと予想できる恋の結末も裏切ることはない。観客だって特別なものを期待してはいないので、これでいいのだ。

出しゃばることのないテンポの良い演出と、主演のジェニファー・アニストンとジェラルド・バトラーのコンビが愉快で、昔ならゴルディ・ホーン、今ならキャメロン・ディアスが主演していたならもう少し注目を集めた映画になったと思うが、ちょっと格下のジェニファーでも充分満足させてくれる。それにしても、このテの作品はアメリカ製に限る。他国のものだとクドくなったり野暮になったりするけど、そうならないでスマートにまとめられるところが伝統芸能の域に達しているようにさえ思えてくる。

決して必見の作品ではないけれど、他愛ない娯楽映画でしばし日常から遠ざかりたい人にはお勧めできるかも…

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「FLOWERS フラワーズ」 [映画(2010)]

資生堂のCMで共演した大物女優6人〈蒼井優・鈴木京香・竹内結子・田中麗奈・仲間由紀恵・広末涼子〉をそのまま全員映画でも共演させちゃいましょう、って贅沢な企画。

正直なところ、こんな主役級の大物ばかりを6人も集めてしまっては、各々に気を使わなければならず、必ずしも内容面でプラスになるのかと疑問であった。誰が格上でも格下でもないように扱う必要があるだろうから、余計な気配りをする分、肝心なところが疎かになるんじゃないかと、考えれば考えるほどマイナスに思えてくる。そんなことで、全く観るつもりのなかった作品なのだが、監督が前作の『ガチ☆ボーイ』で気に入った小泉徳宏だと知って心が動いた。

この『FLOWERS』は大きく3つの時代に分かれている。昭和初期の凛(蒼井)の時代、昭和半ばの凛の娘たち(竹内・田中・仲間)の時代、平成の凛の孫たち(鈴木・広末)の時代。そして出演している女優たち毎に物語が用意されており、大雑把に言えば6本の短編を集めたオムニバスのような構成となっている。

創り手は6人に同じくらいの見せ場を用意するため、手っ取り早くて分かり易い方法を選んだということなのだろう。昭和初期から平成の現代まで、長い年月に渡る3世代の話という、一見ダイナミックな流れで、女性の地位やライフスタイルの変化が描かれているものの、正直なところあまり面白くは感じられなかった。

各々のエピソードがどこかで観たり読んだりしたことのあるようなもの(蒼井優のエピソードは『はいからさんが通る』みたいだし)であるのが主たる原因に思えるのだが、それ以上に大きいのは主要キャラクターの絡みが極めて少ないこと。その関連性の薄さが映画全体まで薄めて淡白な印象になってしまったように思える。

やはり先にキャスティングありきで始まった企画は大した作品にはならない。物語(台本)主導でないと作品的に良くはならないということなのだろう(例えば『細雪』みたいに)。おまけに大物美人女優ばっかりというのも案外面白くないもので、むしろ蒼井優の父親役の塩見三省であったり、田中麗奈に言い寄る河本準一やエロ小説家の長門裕之ら男優陣が印象に残ったりするのが皮肉なものである。そしてそんな男優の比重が高いエピソードほど面白いことが、映画におけるバランスの大切さを教えてくれているような気がする。

とまぁ、クドクド書いてしまったが、小泉監督には次回は自分のやりたかった企画の作品を見せてもらいたいと、改めて期待しておきたい。

フラワーズ.gif


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「ダブル・ミッション」 [映画(2010)]

ジャッキー・チェン主演映画は結構観てきたつもりだったけど、アメリカに渡って出演した作品については、全く観た記憶がない。「彼らしさ」が損なわれるだろうと思って避けたのか、観たけど完璧に忘れ去っているかの何れかなのだが、頭の中にあるジャッキー・チェンのフィルモグラフィーからはスッポリ欠落している。今回この『ダブル・ミッション』を観たのは「疲れてる時に映画観るならジャッキー・チェン映画でしょ」ってなことで選んだのだった。何しろ難しいこと考える必要ないの保証つき。昔から彼の映画を観る動機ってこんな軽いノリである。

ジャッキー・チェン映画を観るのは『プロジェクトBB』以来。その時すでに体力の衰えが感じられ、ブログの記事も随分センチなものになってしまったのだが、今回は観る前から心の準備はできている。ましてやアメリカ映画だし、香港映画のような無茶はさせないだろうから、当たり障りのない娯楽映画なんだろう、という予感は的中。文字通りそんな内容であった。いや、アクション映画としてはほとんど見所のない作品と言わざるを得ないもので、見せ場らしい見せ場もなく(これまでが凄過ぎたので、ちょっとのことでは驚かなくなってしまったのかも)、僅かなアクションもスタンドインを使っているように見受けられた。

では『ダブル・ミッション』の見所は何? ってことになる。それはジャッキー・チェンのお人好しそうなコミカルなキャラクターである。役者と言うか人間の魅力を前面に押し出した作品なんである。おそらく今後のジャッキー映画はアクションに頼らない内容やキャラクター重視の作品ばかりになるだろう。そんな意味では『ダブル・ミッション』はアメリカ市場での試金石的なものがあったのかもしれない。僕としてはやや物足りなかったのだが…

と、あまりいいこと書かなかったけど、しばらくしたらまたスクリーンのジャッキー・チェンに会いたくなっちゃうんだろうなぁ。でも『ベスト・キッド』は観ないと思うけど…

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「ビッグ・バグズ・パニック」「ハート・ロッカー」「渇き」「9 ナイン」 [映画(2010)]

2010年も半分終わってしまった(早いな~)。昨年末の記事で「観たけど記事が書けなかった作品をなくしたい」ってなこと書いたのに(→こちら)、既に半年で4本書き損なってしまった。今年も年末にバタバタしたくないので、この4本をここでまとめてサクッと記事にしてしまおう。

『ビッグ・バグズ・パニック』(カイル・ランキン監督)

超B級なパニックSFのパロディ。おバカな主人公が巨大化した昆虫相手に大活躍。ポスターの印象からもっと安っぽくてくだらない作品を想像していたのだが、案外しっかりとハラハラさせてくれる。作品の端々から創り手が『エイリアン』『遊星からの物体X』が好きだろうことが垣間見え、同世代的な親しみを感じた。


『ハート・ロッカー』(キャスリン・ビグロー監督)

今年のアカデミー作品賞受賞作。ドキュメンタリータッチで撮られた臨場感たっぷりの戦場映画。迫力や緊迫感が伝わってくることは確かだが、『マイ・ブラザー』の記事でも書いた通り、釈然としないものが残ってしまった。


『渇き』(パク・チャヌク監督)

韓国の鬼才パク・チャヌク監督の吸血鬼映画。ホラーとしても人間ドラマとしても中途半端で、何をしたかったのかよく分からなかったのだが、それでも退屈はしなかった不思議な作品。死んだふりの被害者の母親(キム・ヘスク)がやけに可笑しくも気持ち悪かったのが印象的。


『9 ナイン』(シェーン・アッカー監督)

人類絶滅後の世界を描いたCGアニメーション。最近こんな設定の作品が多いように感じるのは時代の反映なのだろうか。CGながら主人公の人形や背景がアナログ的で、手作り感を感じさせてくれるのが気に入った。声優としてイライジャ・ウッド、クリストファー・プラマー、ジェニファー・コネリーらが参加している。

とまぁ、簡潔に書いてみた。これらは決してつまらなかった訳ではないけど、札幌での公開が遅く書く気がしなかったとか、文章が浮かんでこなかったりとか理由は各々。所詮言い訳ですけどね…

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「ウディ・アレンの夢と犯罪」 [映画(2010)]

もしもこの作品の主人公たちがしでかした犯罪をテレビのニュースや新聞等でで知ったとしたら、「金に目が眩んだロクデナシ兄弟」と腹立たしく思うことだろう。しかし、これは映画で彼らの側から描かれているため、「何とか無事に逃れてくれないものか」と思ってしまうのだから不思議である。と同時に自分の倫理観なんていい加減なものだと実感させられてしまった。

兄イアン(ユアン・マクレガー)と弟テリー(コリン・ファレル)は金もないのに格安で売りに出されていたクルーザーを共同購入することを決めた。テリーがドッグレースで大穴を当てたため、ローンの返済もなんとかなっている。そんな中、イアンは若い美人女優アンジェラ(ヘイリー・アトウェル)と出会い、恋に落ちる。テリーの修理工場に出されていたスポーツカーを借りて金持ちの振りをしてアンジェラに近寄るテリー。そんな中、賭け事で失敗したテリーが多額の借金を抱えてしまう。困ったところに起業家で成功を収めている叔父がアメリカから帰ってきた。叔父に泣きつくイアンとテリー。叔父は快諾するも、交換条件として自分の身を脅かす男を殺してほしいと兄弟に依頼してきた…というお話。

愚かな兄弟の愚かな行為の物語なのだが、丹念に描かれているため彼らに加担して観てしまう。後半、イアンとテリーが対照的になっていくため、落ち込んでいくテリーに対して

イラッ

としてしまうこちらも立派な犯罪者気分。ウディ・アレンの淡々とした静かなタッチで今ひとつ印象としては地味なのだが、最後まで観客を引っ張る力はさすがである。

それにしても2007年度作品が、次の作品である『それでも恋するバルセロナ』より遅れて、今年になってようやく公開されたのも分かる気がする。どうにも掴みどころの難しい作品であり、売りを探すのが難しかったことが配給会社を躊躇わせたのであろう。そういえば『インテリア』や『セプテンバー』のような超地味な作品もあったっけ、と記憶から消え去りそうな作品を思い出した。こんな地味な作品もウディ・アレンのひとつの路線である。元々ヨーロッパ映画好きな彼としては観客に媚びない作品を撮りたいと思っているのかもしれないが、やっぱりひねくれたコメディが観たいというのがファンとしての本音である。

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「サバイバル・オブ・ザ・デッド」 [映画(2010)]

いよいよゾンビの季節がやってまいりました。ゾンビの皆さんは元気に死んでますか!?(←くだらん)

さて、この『サバイバル・オブ・ザ・デッド』は“ゾンビ映画の巨匠”ジョージ・A・ロメロ監督最新のゾンビ映画。ゾンビに拘りぬく姿勢は妖怪を描き続ける水木しげる先生と相通じるところがあるだろう。

ゾンビは蘇った死体である。彼らは人肉を求め人間を襲う。感情はなく、人肉への欲望のみで行動している。この基本設定は変わらないので、後は舞台設定であったり、襲われる側の立場が変化するだけである。そんな中で、前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』は今までとは違った撮影方法にチャレンジするのと同時に襲われる側の人間ドラマを重視する、作家としての変化が垣間見えたのだが、今回はどのような展開があったのか…

物語は既にゾンビがはびこっている世界という設定。ロメロ監督にしてみればゾンビは蘇って当たり前で、そんな説明的なシーンは不要ってことなのだろうか。舞台設定としては主人公たちが逃げ込む場所として小さな離れ小島が用意されている。この島では2つの家系しかなく、いがみ合い敵対関係になっている。話はゾンビの扱いをめぐって対立する2つの家系の争いを通じて人間の業や愚かさを描いた人間ドラマが核になっている。したがって…

ほとんど怖くない

作品になってしまったことは、「ギャー」と劇場で叫びたいくらいのつもりで観に行ったこちらからすれば肩すかし。しかも長年ゾンビを描いてきたロメロ監督とすれば、ゾンビに愛着が沸いてきたのか、ゾンビが丸くなってきたようにも思え、それも怖くなくなってきた要因の一つだと思われる。

そんな意味では「ゾンビ映画を観てみたいけど、怖いのは苦手」って人には丁度良い塩梅になっている作品かもしれない。

もっとも、そんな人はほとんどいない気もするけど…

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「マイ・ブラザー」 [映画(2010)]

サム(トビー・マグワイア)は美人の妻グレース(ナタリー・ポートマン)と2人の娘に恵まれ幸せにくらしていた。父(サム・シェパード)とそりが合わずグレてしまった弟トミー(ジェイク・ギレンホール)とも仲は良かった。しかし、罪を犯して服役中だったトミーが出所するのと入れ替わるように、米軍兵士のサムは戦地であるアフガニスタンへと旅立った。数日後グレースの元にサムが戦死した知らせが届いた。誰からも愛されたサムを失い、周囲の人間は悲しみに暮れる。お互いの喪失感を埋めるように、今まで疎遠だったトミーとグレースの距離が縮まっていく。一方、戦死したと思われているサムはアフガニスタン軍の捕虜として過酷な状況にいた…というお話。

帰還兵が日常生活に馴染めなくなる話は今までも幾つかあったと思う。最近では『ハートロッカー』も主人公が戦争こそ日常で平和な生活が非日常となってしまい、結局自分の居場所である戦場へと戻っていく話だった。ただ、そのギャップはこの『マイ・ブラザー』の方が深刻で、心の傷はより深い。別人のようになってしまったサムに第二の喪失感を味わっている周りの人間がどう対処していくかが核になっており、ジム・シェリダン監督の押えた演出や主要キャストの好演もあり、味わい深い作品であった。

しかし、『ハート・ロッカー』を観た時にも思ったのだが、どうも中東の人の扱いに引っかかるものが残ってしまう。冷酷・残忍な現地人に手を焼くアメリカ兵士という構図が、アメリカ側に都合良く描かれているように思えて仕方がない。これだけ酷い人々に描けばアメリカ軍の行為も正当化されてこよう。これがどうにも釈然とせず、素直に感動できなかった。争い事は両方の立場が分からないと真実は見えてこない。どんなに正しく思えても一方からだけでは事実が歪んでくる。そんな意味ではクリント・イーストウッドの戦争映画2部作(『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』)は正しい方法論であったと改めて思えた。

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「アウトレイジ」 [映画(2010)]

北野武監督久しぶりのバイオレンス映画『アウトレイジ』を観た。暴力に次ぐ暴力、小指飛びまくり。映画のキャッチコピー通り、登場人物は全員悪人な暴力団の抗争劇。

今までも暴力映画を撮ってきた北野監督であるが、『アウトレイジ』は過去の作品よりも殺伐とした非情な世界観になっている。それは登場人物の家族や血縁関係といった甘さを一切排除し、情の入り込む余地を無くしたからだと思える。傍にいるのはせいぜい愛人で、それも深い愛情で結ばれているようには思えない。情が無くなって残ったのは人間の金と権力に対する欲望のみ。暴力団組織のトップ(北村総一朗)から末端のチンピラまでが、そのふたつを巡って裏切り裏切られしながら蠢く物語である。

そんなピラミッド型の権力構造を観ていると、暴力という分かりやすい方法がなければ会社社会も同じように思えてくる。特に組織のナンバー2役の三浦友和や末端組織の組長役の北野武に中間管理職であったり子会社の社長的な悲哀が重なってくるのが面白い。

それにしても北野武監督作品が魅力的に映るのは、やっぱり映像のセンス。「何を見せて何を見せないか」「どのように見せるか」に映像作家のセンスが問われるところ。そしてそのタイミングや間の取り方に、これだけ暴力的なのに品が感じられ、プログラムピクチャーのB級作品とは一線を画している。

今回出演者した役者の殆どが北野映画初出演だったらしい。國村隼なんてとっくに出ているような気がしていたのだが意外にも初めて。椎名桔平は切れ味鋭く、石橋蓮司の哀れな感じが可笑しい。大よそヤのつく人のイメージじゃない三浦友和、加瀬亮、そしてマル暴刑事の小日向文世はこの世界に不適切に見えるのだが、そんな3人が最後に〇〇〇〇のが皮肉っぽく、北野監督の意図するところだろう。

この映画は(も?)北野監督のセンスを楽しむ作品。その意味では満足いく出来なのだが、基本的にヤのつく人の映画って好きじゃないんだよなぁ…。(最後に書くなって)

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「タイタンの戦い」 [映画(2010)]

またまたこの『タイタンの戦い』(監督:ルイ・ルテリエ)も3Dで観賞。『アリス・イン・ワンダーランド』の記事で、3Dを軽く批判しておきながら、舌の根も乾かぬ内に例のメガネをかけてしまったのである。

この『タイタンの戦い』はギリシャ神話の映画化。地上で力をつけた人間が、創り主である神を軽んじるようになったため、怒った神が人間への攻撃を始める。神々の王であるゼウス(リーアム・ニーソン)が人間に生ませた子・ペルセウス(サム・ワーシントン)は人間側につき、生贄になる運命の王女アンドロメダ(アレクサ・ダヴァロス)を救うべく立ちあがる…ってな話。

今さらギリシャ神話を映画にしようだなんて発想は、監督などの作家側ではなく、プロデューサーがまず3Dありきで考えた企画って気がする。もちろんハリウッド製なら当たり前の話だが、内容に関してはあまり重要視していない作品のように思われた。ギリシャ神話に詳しくないこちらとしても、この作品を観て、

神々がやけに人間臭くって面白かった

と、小学生並みの感想しか残らない。後はCGによる3D映像に迫力があった、という程度のもの。まぁ、それはそれで創り手の意図通りなのかもしれないが…。

実はこの後に『告白』や『ヒーローショー』を観てしまったので、もう『タイタンの戦い』はどうでもいい作品に思えてしまい、記事を書く気が吹っ飛んでしまった。やっぱり映画を観たらすぐ記事を書かないとダメなんだよね。(←できっこないくせに、こんなことを書いてしまう俺…)

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