SSブログ

「SOMEWHERE」 [映画(2011)]

日常(と言っても一般庶民とはかけ離れているんだけど)

淡々

起伏なし

そんな映画。

だけど不思議と退屈はしなかった。

主人公ジョニー(スティーヴン・ドーフ)は有名俳優でセレブな暮らしをしているため、自分とはあまりにもかけ離れているので、そんな生活ぶりに興味深くはあったが親近感はなく、ジョニーの心の内が垣間見えてもどこか醒めた目で観ていた。

まぁ、退屈しなかったのはソフィア・コッポラ監督の実力なんだろうけど、あまり印象に残らない作品だなぁ。

(短い感想だけど、これ以上のこともなく…)

somewhere.gif


nice!(13)  コメント(6)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

「ガリバー旅行記」 [映画(2011)]

「何となく知ってはいるけど、ちゃんと読んだことはない」ってカンジの古典文学『ガリバー旅行記』。これを今の時代にまともな映画化をしたところで観客を呼べるとは思えないけど、ディズニーあたりでアニメにしたら…。しかしこの『ガリバー旅行記』は実写。もちろん単に原作に忠実にはしておらず、現代風にアレンジしている。それよりも何と言ってもミソはジャック・ブラック主演ってところ。彼の個性が発揮されれば面白い作品になるのかも…?

ニューヨークの新聞社勤めのガリバー(ジャック・ブラック)は冴えない郵便配達係。何事にも消極的でチャンスを棒に振っている。そんな中、5年越しの片思いの相手、会社の同僚のダーシー(アマンダ・ピート)からバミューダトライアングルの旅行記を代わりに書いてほしいと依頼を受ける。独りバミューダトライアングルに船で向かったガリバーであったが、突然の台風に巻き込まれて難破。気がつくとそこは小人の国「リリパット王国」であった…ってなお話。

まぁ、予想通りなのだが、全面的にジャック・ブラックの個性に頼り切った作品になっていた。彼じゃなければ、どう考えても成立しない、大スターのアイドル映画と言っていい映画である。したがってストーリー的な面白さを期待するのではなく、風変わりな設定でのジャック・ブラックの「芸」を楽しむってスタンスがこの作品には相応しい。

しかし配給会社は題材が題材だけに子供客も多いと予想したのだろう。僕が観たのは3D日本語吹き替え版。字幕版の選択の余地なしって状況。仕方がないので吹き替えで観た訳だが、これでは彼の「ノリ」が失われてしまっていた。ジャック・ブラックのテンポに日本語を充てると違和感があって、かなりわざとらしく思えてしまうのには困った。まぁ、字幕で観たら傑作だったはず、とは思えないけどね…

ガリバー旅行記.gif


nice!(15)  コメント(4)  トラックバック(8) 
共通テーマ:映画

「ランナウェイズ」 [映画(2011)]

本物のranaways.gifこの映画のタイトルロールである女性パンクロックバンド『ランナウェイズ』を来日した1977年当時、リアルタイムでテレビで観ている。端正な顔立ちの美少女、ヴォーカルのシェリー・カーリーが下着姿で挑発的にシャウトする様はまさに堕天使のようで、年上外人好きだった思春期の僕は大いに魅かれるものがあった(実際はあまり歳の差はなかったのだが)。この頃、女性のロックシンガーはスージー・クワトロ(メンバーのジョーン・ジェットの憧れ)くらいしかおらず、メンバー全員が女性というのは特異で、過激なファッションというのも異色だった。なので後にマドンナが登場してもさほど驚かなかったものだ。このランナウェイズだが、記憶にあるのは下着姿のシェリー・カーリーだけ。メンバー内で彼女だけ突出した存在だったってことなのだろうけど、映画の中でもそれが解散の引き金になったように描かれている。

ランナウェイズ オリジナル・サウンドトラック物語はメンバーの中心人物であったシェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)とバンドのリーダーであったギターのジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)を中心に進行する。彼女らが寄せ集めでバンドを組むようになり、成功を収め日本に遠征して爆発的な人気を得たが、メンバーからシェリーが疎まれるようになり彼女が抜け、そして解散。そしてその後までをシェリー・カーリーが書いた自叙伝を基に、そしてジョーン・ジェットが製作に加わり映画化している。

僕はこの作品を観るまで、下着姿で歌うシェリー・カーリーが受けたので日本に上陸してきたのかと思っていたが、映画では日本に着いてからシェリーが下着で歌うことを閃いたようになっていた。これはちょっと意外であったが、そんな順序なんて大したことではない。とにかく何十年ぶりに聴いた『チェリー・ボム』が懐かしかった。

80年代になり、ひとりの女性ロックシンガーがブレイクし曲が全米1位となった。それがジョーン・ジェットなのだが、彼女が元ランナウェイズのメンバーだったことを知って驚いたものだった。ランナウェイズの時は全く印象になかったのだが、こんな受け狙いの一発屋のようなバンドの中に本格派のロック姉ちゃんがいたことが驚きだった。

ランナウェイズは閃光のごとく現れ、そしてあっという間に消えた(実際の活動期間はあっという間ではなかったが、日本での印象はそんなもん)。それからもう30年以上が経っているのだが、今でもその時の事を覚えているのだから凄い。いや、僕の記憶力じゃなくて、彼女たちのインパクトの強さが。やっぱエロかったからなんだろうなぁ…

ランナウェイズ.gif

(ど~でもいいこと)


nice!(16)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「冷たい熱帯魚」 [映画(2011)]

01金ヒ熊賞.gif園子温監督作品を全て観ている訳じゃないので断言できないのだが、何本か観た限りでは、この監督は自分以外の人間をあまり信用していないように思えてならない。作品で描かれる人間関係はとても希薄で結びつきも細くて脆い。それは肉親関係、恋人関係、友人関係の全てにおいて当てはまり、人と人との絆は無きに等しい。それでも前作の『ちゃんと伝える』では親子の絆を描かんとしたが、本当に描きたかったテーマとは思えず凡作に終わった。一転、今回の『冷たい熱帯魚』では本来の人間不信な姿勢が色濃く出て傑作、と言うか快作、いや怪作になっている。

冴えない熱帯魚店を営む社本(吹越満)。再婚した妻・妙子(神楽坂恵)と前妻との娘(梶原ひかり)の3人暮らしだが、家庭内はギクシャクしている。ある日、娘がスーパーで万引きし保護された。謝りに行った社本らに救いの手を差し伸べたのは大手熱帯魚チェーンの経営者・村田(でんでん)であった。村田は帰り道強引に社本らを自分の店へと招いた。そこには村田よりずっと若い妻・愛子(黒沢あすか)が出迎えた。村田は社本の娘に自分の店で働くよう提案し、娘も住み込みで働くことに合意した。後日、社本と妙子が村田の店に挨拶に行くと娘の生き生きと働く姿があった。村田は社本に仕事上のパートナーになることを提案。そして社本が帰る際、妙子に話があると呼びとめた。部屋に二人きりになった村田と妙子。今まで気さくで陽気な村田であったが、態度が一変し…というお話。

この後、村田のとんでもない犯罪行為に社本は巻き込まれ、どんどん深みにはまっていく展開となり、観ているこちらはとても

いや~な気持ち

にさせられるのだが、その一方で滑稽にも感じられるので、とっても

面白い

んである。この面白さはでんでんが演じる村田のキャラクターに負うところが大きい。調子のよい陽気な面と、残忍で他人を踏みつけにしても平気な非情な面。とにかくずる賢さに長けた二面性を持つ田舎のねちっこくて嫌らしいおっさん。そんなキャラクターにリアリティを感じさせたでんでんは見事だった。元はピンのコメディアンだった過去が村田という人物像にマッチしたのかもしれない。その妻役の黒沢あすかもしたたか過ぎる女を好演していた。

はっきり言って「エロ・グロ・ナンセンス」な要素満載なのだが、決して客寄せのための場当たり的なものではないので、作品としてしっかりしたものになっている。が、決して万人向けの映画ではないので、たまにしか映画を観ない人にはお薦めはしない。けど、マニアの域に片足突っ込んでるような方は楽しんで観られるような気が…するんだけどなぁ。

冷たい熱帯魚.gif


nice!(17)  コメント(10)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

「ツーリスト」 [映画(2011)]

3か月に1度くらいのペースで映画に行く同僚のN嬢が、今一番観たい作品がこの『ツーリスト』なんだとか。もっぱらレンタルDVD派のO君も同様のことを言ってたから、この作品はちょっと映画好きな人受けする作品ってことだろう。N嬢によると「ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーの組み合わせが面白そう」らしい。僕には何となくしっくりこない組み合わせに思えるんだけど…とか言いながらしっかり観賞。

国際手配犯の恋人ピアースをもつエリーズ(Aジョリー)は、警察から恋人と接触するだろうと常に見張られている。そんな中、恋人からの手紙が届き列車でヴェネチアへ向かう。手紙にあった通り、彼と似た体格の男をピアースと思わせるため車内でいっしょになったアメリカ人のフランク(Jデップ)に声を掛ける。フランクは誘われるがままエリーズのホテルに案内されたが、彼女が留守にした時、何者かに襲われる羽目に。彼女とピアースは警察とギャングに追われていたのだ。追い詰められたフランクであったが、間一髪でエリーズに救われたが…ってなお話。

風光明媚なヴェネチアの街を舞台にした大人のラブサスペンスってところで退屈することはないんだけど、あまり印象にも残らない作品。今ひとつワクワク・ドキドキ感が薄かったのは、アンジェリーナ・ジョリーが原因のように思える。僕にとって彼女は“超人的に強い女”のイメージが強いので「彼女といっしょなら何とかなるでしょ」と安心して観ていられる。したがってサスペンスのハラハラ・ドキドキな要素は皆無何である。一方のジョニー・デップもひ弱なキャラじゃないので、これまたこちらに心配させてくれないので困る。これが例えばジェシー・アイゼンバーグみたいに弱ッちそうなキャラだったら存在自体がハンデキャップになって、多少はサスペンス度が変わってくるように思えるのだが、この二人じゃ「何とかするだろ」と頼もしい限り過ぎた。

N嬢には申し訳ないけど、あまりうまくいったキャスティングじゃなかったんじゃないかな? それにお話としても今ひとつだった気もするし(って、そっちが肝心だろっ)。

ツーリスト.gif


nice!(17)  コメント(10)  トラックバック(3) 
共通テーマ:映画

「英国王のスピーチ」 [映画(2011)]

02銀ヒ熊賞.gifご存じの通り今年のアカデミー作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞を受賞した作品。こんな予備知識があると観客も構えてしまうしハードルも思いっきり上げて観てしまうもの。結論から言うと、この『英国王のスピーチ』はとても丁寧に創られた佳作である。しかし先入観があるので「でもアカデミー作品賞を受賞するほどのもの?」と余計なひと言を付け加えたくなってしまう。

イギリス王家の二男ジョージ6世(コリン・ファース)は幼い頃からどもりの言語障害を抱えていた。父である国王の代理でスピーチして大衆を前に大失態を演じ、それを機に医者にかかるが、症状は一向に改善されない。悩む夫を見かねた妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)はスピーチの専門家であるライオネル(ジェフリー・ラッシュ)に夫を連れていく。オーストラリア出身のライオネルは独自の治療法を施すが、ジョージ6世はこれに反発しその場を去ってしまう。しかし後になって改善の兆しが見えたことから、ライオネルを頼ることとなった。そんな中、父ジョージ5世が死去。兄のエドワード8世(ガイ・ピアース)が王に即位したものの、王家に相応しくない女性に熱を上げており…というお話。

これが実話なのだから面白い。いや当人はかなり悩んだろうけど、無責任に観ている分には面白かった。イギリス王家は色々とエピソードが豊富だなと感心する。その点、我が国の王家はどうにも面白くない。もっとも興味深い話がもみ消されている可能性も多々ありそうなのだが。

それにしても出演している役者がみんな良かった。アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースは言うまでもないが、彼を治療する役のジェフリー・ラッシュが見事だった。映画を説得力あるものに押し上げたのは彼の功績が大だと思う。ヘレナ・ボナム=カーターも久しぶりに演技派の本領発揮。そんな役者たちの演技をトム・フーパー監督が丁寧にまとめ上げた…と褒め続けている内にアカデミー作品賞を受賞するほどの作品に思えてきたぞ。まぁ、きちんとまとまり過ぎてるのが若干物足りなさに繋がってるんだけどね。

英国王のスピーチ.gif


nice!(17)  コメント(12)  トラックバック(15) 
共通テーマ:映画

「恋とニュースのつくり方」 [映画(2011)]

日テレのズームイン終わるんだってね。徳光さんの頃から何となく観続けてるけど、他に変えない理由は単に習慣になってるからだけ。〇〇コーナーだと〇時〇分頃って感覚的に分かるようになっている。終わっちゃうなら仕方ないけど、これからは他の番組に慣れればいいのだ。

そんな『ズームイン』や『めざまし』みたいな朝のテレビ番組を舞台にした映画が、この『恋とニュースのつくり方』。予告編でハリソン・フォードとダイアン・キートンのいがみ合いが可笑しそうだったので観ることにした。

ニュージャージーのローカルテレビ局で朝番組のプロデューサーとして働くベッキー(レイチェル・マクアダムス)。働きが認められて昇進かと思われたところ突然クビを言い渡される。他のテレビ局に再就職しようと動くが、なかなか働き口は見つからない。そんな中、ニューヨークにある大手ibsの朝番組『デイブレイク』のプロデューサーとして採用が決まった。しかしこの番組は低視聴率に喘ぎ続け打ち切り寸前。過去雇われたプロデューサーは次々クビになっている。それでも張り切るベッキーは長年のメインキャスターをクビにし、彼女の憧れでもある伝説の報道キャスター、マーク・ポメロイ(ハリソン・フォード)にキャスターを依頼する。実は彼は鳴り物入りでibsに呼ばれたものの、気難しい性格ゆえ干されていたのだ。周囲の反対をよそに口説くベッキー。渋々引き受けたマークであったが、長年この番組のメインを務めているコリーン(ダイアン・キートン)と早くも対立。こんな状況で番組を成立させ、視聴率アップができるのか…ってお話。

基本的にはコメディ。仕事超熱心なハリキリ姉ちゃんの奮戦記。予想通りハリソン・フォードとダイアン・キートンの大人げない意地の張り合いが面白かった。凝ったところのない安心して観られる娯楽に徹した作品となっているものの、タイトルの『恋と』の部分がどうにも盛り上がらず、物語を活性化する役割を果たしていないのが残念。恋物語に時間を割くとバランスが崩れると判断したのか、相手役のパトリック・ウィルソンに魅力が足らなかったのか分からないが、いっそのことテレビ番組の話だけにしてしまった方がより面白い作品になったようにも思う。個人的に久しぶりに観たダイアン・キートンがハジケていたのには嬉しかったのだが。

それにしても若い頃、ズームインのウィッキーさんは恐怖の存在だったな。中学生時分は学校が近所だったからウィッキーさんを観てから出かけられたけど、高校になると学校が遠くなってウィッキーさんの時間帯は通学途中。万が一捕まったらどうしようと恐れていたっけ。次第に気にならならなくなり存在を忘れかけた頃にはウィッキーさんも番組からいなくなっていた…

ウィッキーさん.gif


nice!(24)  コメント(10)  トラックバック(5) 
共通テーマ:映画

「ソーシャル・ネットワーク」 [映画(2011)]

いやぁ~、そんな時代なんだね

って映画。フェイスブックをネットで大成功させ巨額の富を手にしたマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)が、フェイスブックを立ち上げた前後が実話を基に描かれている。

昔だったら「頭は良いけど使えない奴」ってことになりそうな社交性・社会性に欠ける主人公だけど、今の時代はコンピュータがネットに繋がってさえいれば大成功することが可能ってことなんだろう。むしろ「使えない奴」って言ってた方が「使えない奴」になりかねないのが現代。まぁ、アナログな僕も後者の方だから「生きてる内は時代が進み過ぎませんように」と願うしかない。

冒頭、主人公がGF(ルーニー・マーラ)に振られ、ラストも彼女で落としたところから、デヴィッド・フィンチャー監督が何をしたかったのか、分かったような気がした。時代は20世紀から21世紀、メディアは新聞からインターネットに変えただけで、結局は「現代の『市民ケーン』(オーソン・ウェルズ監督)」を創りたかったんじゃなかろうか。薔薇の蕾はもっと直接的に女の子に置き換えただけ。主人公が「何を得て、何を失ったか」ってこと。そこから「人間の幸せとは何ぞや」と問いかけている。もっとも作品の重み深みは全然違うのだけど。

それにしてもマーク・ザッカーバーグって、一般常識に欠けるだけで決して悪い人間ではないんだけど、どうにもいけ好かないタイプだな。そりゃ、やっかみもかなり入ってるけどね。映画を観たら意地でもフェイスブックには加入したくなくなってしまった(痛くも痒くもないだろうけど…)。

ソーシャルネットワーク.gif


nice!(17)  コメント(4)  トラックバック(10) 
共通テーマ:映画

「ウッドストックがやってくる!」 [映画(2011)]

伝説的なウッドストックのコンサートが開催されたのが1969年。僕は生れてはいたけれど、まだ鼻たれ盛り。洋楽なんて聴いたこともなく、知ってる外国人はイーデス・ハンソン、E・H・エリック(実はハーフなのだが、ずっと外国人だと思ってた)とアベベくらいなものだった。僕が連日の光化学スモッグ注意報の中、東京の片隅で怪獣ごっこに明け暮れていた頃、アメリカでは約50万人のヒッピーを集め、ジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリクスが舞台に立った野外コンサートに熱狂していたのだ。

ニューヨーク州の片田舎ホワイトレイクで経営難のモーテルを営む両親を抱え、町の商工会の会長をしているエリオット(ディミトリ・マーティン)は、何とか町おこしをして経済的に活性化させられないかと悩んでいた。冴えた案が浮かばないところに飛び込んできたニュースは、ウォールキルで行われるはずだったウッドストックのコンサートが地元住民の反対にあって開催できなくなったというニュース。これをホワイトレイクに持ってこれないかと閃いたエリオットは事務局に連絡し、主催者のマイケル・ラング(ジョナサン・グロフ)を中心としたスタッフが視察にやってきた。広大な牧場を見た彼らは開催可能なことを確信。こうしてウッドストックはホワイトレイクで開かれることになった。スタッフたちがホワイトレイクで準備を始める中、ヒッピーたちもぞろぞろと町に集まり始めた。一方エリックは町の住民たちから白い目で見始められ、居心地が悪くなっていく。しかしウッドストックの勢いは止まらない。最初は5000人くらいと思われたイベントは軽く10万人を超えそうだということになり…というお話。

この時代の文化に興味があるので、面白く観られることができた。マリファナ、フリーセックスと出鱈目なようなヒッピーたちではあるが、背景に泥沼化したベトナム戦争が重くのしかかっており、世紀末的な退廃ぶりは戦争への反発、反動があってのこと。単なる流行やファッションでは片づけられない。

そんな様子を台湾出身のアン・リー監督は、封建的だったアメリカ国民の心の変化を人種やもろもろの差別問題を絡めて上手くまとめており好感を持った。惜しむらくは監督がその時代のアメリカを身を持って知らないため、私的な思い入れのようなものが映画から感じられなかったこと。もう少し「個人的なこだわり」があれば、映画は一段と面白くなったような気がした。それが残念。

それにしてもタイムマシンで「この時代」に行ってみたいな。ベトナム戦争はお断りだけど…

ウッドストックがやってくる.gif


nice!(21)  コメント(6)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

「エリックを探して」 [映画(2011)]

おそらくこの『エリックを探して』は往年(ってほど昔じゃないか…)の名サッカー選手エリック・カントナに対する思い入れ、いやそれ以前に知っているかどうかでこの作品に対する印象も大きく異なってくるような気がする。何せこのエリック氏本人が本人役で出演しており、彼なしでは成立しない内容になっているからである。

なんて書いた自分は…

知りませんでしたっ! (大きくする必要はない気がするけど…)

残念ながらサッカーに関してはあまり詳しくない。地元コンサドーレ札幌の試合を年に1、2回観戦はするけど、テレビで海外の試合を観たりしないので、知ってるのはこの作品に使われた昔の試合のVTRでチラッと登場したベッカムくらい。カントナに関してはチンプンカントナ(苦しい…)なんである。こうなると主人公のエリック・ビショップの微妙な思いの丈が分からない。例えばこれを日本に置き換えてみると、カズを選ぶかゴンを選ぶかでお話もさることながら主人公の性格まで変わってくると思えるからである。

仕事も私生活もダメダメなイギリス・マンチェスターの郵便配達員エリック・ビショップ(スティーヴ・エヴェッツ)。逃げた2番目の妻の連れ子ライアンとジェスは悪い連中と付き合っており、家の中は荒れ放題。そんな中、最初の妻リリーと実の娘を通じて30年ぶりに会うことに。しかしエリックはまだ美しいリリーの前に出る勇気がなく、会わずに引き返してしまったのだ。落ち込み自動車事故を起こしてしまったエリックであったが、職場の仲間と開いた自己啓発会を契機に、エリックが応援するマンチェスター・ユナイテッドの往年の名選手エリック・カントナが彼の前に現れるようになり、弱気なエリックにアドバイスを始めた…ってなお話。

まぁ、前にも書いた通りエリック・カントナについてはチンプンカントナ(二度書くなって)なもんで、細かなニュアンスは置いといても面白かった。名匠ケン・ローチ監督の粋な小話が楽しめる作品になっていた。名前のある監督の作品なので気張って観なければならないかと思ったけど、そんな敷居の高さはまったくなかった。

それにしてもエリック・カントナ、まだやれるんじゃね? ぜひコンサで復帰してJ2からJ1に引き上げてほしいもんである。その際は貧乏チームなので格安料金でお願いいたします。

エリックを探して.gif


nice!(25)  コメント(6)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。