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「スウィングガールズ」 [映画-DVD]

イヤイヤ、これは面白かったズ~

冒頭、野球部の試合の応援に行っている吹奏楽部に、後のスウィングガールズになるメンバーが弁当を届ける場面の躍動感溢れる映像、小気味良いカット割りは、これから始まる物語への期待感を持たせてくれ、矢口史靖監督の手腕は見事としか言いようがない。どこか撮り方や編集が岡本喜八的で、日本映画では珍しい軽快さが心地良い。役者も演出意図に応え、上野樹里を含む何人かを除いては下手くそながらも、漫画的な世界観を体現している。

届けた弁当が原因で、吹奏楽部は一人を除いて全員食中り。次の試合には弁当を届けた女の子たちが責任を取って、吹奏楽部で唯一難を逃れた一名を中心にジャズのビッグバンドを組むことになる。という設定も自然な流れで上手いな~と感心する。

上野樹里以下全員が山形の田舎の設定のためかなり訛っており、それも映画の軽快なテンポと相まって愉快なリズムを刻む。これを山形の人が観たら「こんなにズ~ズ~言わないズ~」とか指摘されるような気がするが、ヘンテコな(?)日本語が一種のファンタジー的な空間を生み出している。

で、物語は練習の成果を披露する野球の試合の前日に吹奏楽部が治って戻ってきてしまいオジャンに。しかしせっかく始めたジャズを諦めきれずに、自主的に練習を始め、その仲間たちも戻りバンドを再結成して、遂に県の音楽祭に出場することになったのだが…と進行していく。

今までずっと褒めちぎってきたが、実は後半はかなりご都合主義的になってしまうのが極めて残念に思う。主人公の上野樹里は最初からかなりおバカでちゃらんぽらんに描かれてはいるものの、いくらなんでもあんな大事なデモテープを出し忘れるなんてありうるのだろうか。はっきり言って、僕はこんな奴は

大嫌い

である。あんなに簡単に忘れられるものなのか。いったい今までジャズに懸けてきた気持ちというのはどれ程だったのであろうか。移動中の列車が雪で動かなくなるという設定も含め、無理矢理ハラハラさせて盛り上げようとする姿勢が嫌だ。せめて列車のエピソードだけでよかったのではないだろうか。少なくとも主人公があんな簡単にとんでもないミステークを犯して欲しくなかった。それまでのものが台無しになってしまっている。

しかし、やっと間に合った演奏会が素晴らしいので映画は持ち直す。やはり音楽はいい。役者が実際に演奏しているので、ドキュメンタリー的な良さもあって、本当にみんな良い表情をしている。最後が素晴らしいので途中のマイナスは結構カバーしてしまうのだが、それにしても勿体無かった。まぁ、ヒット作だから結構大勢に観られているとは思うし、何を今さら褒めたり怒ったりしてるんだと思われそうではあるのだが。

もし、未だ観てなかったら、観たほうがいいズ~


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「幸福のスイッチ」 [映画-DVD]

それは2004年の春のこと。『ジョゼと虎と魚たち』『チルソクの夏』の2本の映画を短いスパンで観た時、両方とも主役ではなかったが一人の女優に目が留まった。それが上野樹里。僕は当時友人達に、事ある毎に「上野樹里って新人女優はイイぞ。必ず有名になる!」と言いまくっていた。そしてその年の秋、彼女は『スウィングガールズ』に主演しブレイクし、その後は多くの主演作が創られ、さらに2006年にはテレビの『のだめカンタービレ』で映画ファンだけではなく、広く一般に知られるところとなった。

そんなことで僕は彼女の映画は結構観ている。最初の2作に加えて『亀は意外と速く泳ぐ』『サマータイムマシン・ブルース』『笑う大天使(ミカエル)』(→記事)『虹の女神 Rainbow Song』(→記事)の合計6本。

あれ? と思われた方もいるだろう。そう、肝心な(?)『スウィングガールズ』を観ていないのだ。こりゃ片手落ちでしょ、ということで、『スウィングガールズ』ともう一本未見だった主演作の『幸福のスイッチ』を観ることにした。

で、先ずは『幸福のスイッチ』から

東京のデザイン会社をケンカ同然で辞めた怜(上野)は、故郷の妹から姉が倒れたという手紙を受け取り帰郷する。しかし身重の姉(本上まなみ)は元気で、実際に入院していたのは怜が反発してきた父(沢田研二)であった。怜は家庭を顧みずに「お客第一」で電気屋を営む父に反発してきた。しかしその父が入院したことで店を手伝う羽目に。商品を売ることよりも売ってからを大切にしている父の許には修理の依頼が続々舞い込む。それを引き受けなければならない怜はどんどん不機嫌になっていき…という物語。

まぁ、何っつうか、昔のテレビのホームドラマみたいで、結構退屈してしまった。監督・脚本の安田真奈が目指すところは橋田須賀子なのだろうか。また、主演の上野樹里が殆ど不機嫌そうなので、こっちまでそれが伝染してくる。観ていてだんだんイライラがうつってきて「巨大化して暴れんかい!」(by『笑う大天使』)と叫びたくなった。ラストまで予定調和的で予想通りという感じ。で、最後に一言

ちょっと、こじんまりし過ぎじゃない?


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「エスパイ」(後編) [映画-DVD]

エスパイ東欧バルトニア国の内戦を調停するために国連から派遣された東欧紛争調停委員4人が、移動中の列車内で射殺される事件が勃発。これを超能力者の仕業と判断した国際超能力機構(通称エスパイ)日本支部のリーダー(加山雄三)は、調査のために田村(藤岡弘)とマリア(由美かおる)をイスタンブールに派遣する。犯人の手がかりを掴み、追い詰めていくが、逆にマリアが囚われの身となってしまう。マリアを助けに田村が向かった先はストリップ小屋。客席の椅子に座った田村は仕掛けてあった装置で手足が動けないようにされてしまう。そんな田村の前に現れた踊り子は催眠術をかけられた、下着一枚の露わな姿のマリアだった。

と、出だしのストーリーを書くと、何だか面白そうに思えてくるのだが、直ぐに犯人を追い詰めたり、どの外国人も日本語ペラペラだったり、囚われのマリアが気がつけば助け出されていたりと御都合主義のオンパレードが緊張感を奪う。この辺りの甘さが傑作と凡作の差なのかと思える。この後、日本で国際会議が開かれ、警備を任されたエスパイと、世界の紛争を大きくさせようとする敵の逆エスパイとの壮絶な戦いとなっていくのだが、御都合主義は最後まで続く。バルトニア国の首相を乗せた飛行機が落ちそうになれば、急に田村が名パイロット振りを披露したり、警備は穴だらけで簡単に敵に攻撃されたり…兎に角サスペンス場面を自ら緊張感を奪っているような印象を受ける。しかも超能力者の物語なので、ただでさえ何でもあり感が漂う。

そんなこんなあった末に、いよいよ敵の逆エスパイのボス・ウルロフ(若山富三郎)との対決がクライマックス! が…

盛り上がらない…

ま、これで盛り上がったら逆に凄い事なのかもしれなかったが、予想通り…。いったい33年間も観たかった『エスパイ』って…。

いや、否定的なことばかりではない。全体的にはこんな調子だから、尚更思えたのだが、

由美かおる、エライ!

マリアが囚われの身となって、催眠術で淫靡な女となり、ストリップ小屋で踊る場面は、日本映画史上に残る(?)官能的なシーンになっている。もちろんそれは由美かおるの功績で、彼女の恍惚とした表情、身のこなしをスローモーションで撮った場面は素晴らしい。もしも当時劇場で観ていたならば、小学生の僕は鼻血が止まらなかったのではなかろうか。では、もう一度、

由美かおる、エロイ!

(後は殆ど見所なし)

 


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「エスパイ」(前編) [映画-DVD]

エスパイ以前から観たいと思ってたのに、ずっとその機会が得られなかった映画…。『エスパイ』はそんな中の一本だった。

この作品、封切りは山口百恵の初主演映画『伊豆の踊子』との2本立てで、世間的な注目度は兎も角、僕は断然『エスパイ』の方が観たかった。しかし、当時小学生だった身としては、この作品は「子供にはまだ早い」という映画に思われた。なぜなら、

由美かおるが出てるから

である。当時の彼女は出ればヌードが期待されるタレントで、実際にこの映画でもその期待に応えている。当然その頃の母親達からは白い目で見られるような立場であり、僕が「『エスパイ』観たい」などと言ったならば、「由美かおるなんか出てる映画はダメ」と言われたことだろう。子供達のヒーロー、主演の仮面ライダー=藤岡弘も軽く吹っ飛ぶ影響力である。しかも併映の『伊豆の踊子』も山口百恵が全裸で三浦友和に手を振るシーン(と言っても手前の木か何かで隠れてはいるのだが)ばかりが話題になっており、こちらを観たいと言ってもいい顔されなかったであろう。

そんな事で、初公開時に観そびれて以来、後に名画座でも殆ど上映される事が無く、33年間気になっていたのに観られなかったのである。そして最近、量販店のDVD売り場でこの作品を発見し、迷わず購入したのであった。

家に帰り、パッケージをよく見てみると、監督が福田純であることに気がつき、急に不安になった。重鎮・本多猪四郎監督が築いた東宝特撮映画の伝統を、ゴジラシリーズをバトンタッチされた途端にB級映画に貶めた張本人である。それと以前僕の周りにいたSF映画ファンの口から『エスパイ』は話題すら出たことが無い事を思い出し、観る前からイヤ~な予感がしたのであった。

(つづく)

 実は色をつけていけばいくほど本人から遠ざかっていくという呪われた似顔絵なので、こんな不完全なままでの公開と相成りました。


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「故郷」 [映画-DVD]

故郷今から10年以上前、深夜枠のテレビで観て退屈したものの、後々まで何か引っ掛かるものがあり、機会があったらもう一度観直してみようと思っていた映画が何本かある。山田洋次監督の『故郷』もそんな中の一本。

テレビで最初に観た時は、本来のシネマスコープサイズは当然モニターの枠に合わせたスタンダードサイズ。頻繁に入るCMと、時間合わせのためにカットされただろうシーン…。これで映画の良し悪しを言われてしまったら作り手はたまらないだろう。

劇場のスクリーンで観られることが映画にとっては一番良い条件ではあろうが、そんな機会は滅多にないので、今回はDVDでの鑑賞となった。シネスコサイズでノーカット。やっと本来のこの作品を観ることができた。

ストーリーは極めてシンプル。広島県呉市沖にある瀬戸内海に浮かぶ倉橋島で、小さな木造船で切り出された石を運ぶ仕事をして生活している夫婦(井川比佐志と倍償千恵子)が、大型船や陸上輸送の台頭という時代の波に押され、老朽化した船の修理代もままならず、ついに今の仕事を諦めて尾道の造船所に勤めることを決意する。そして最後の航海を終え、美しい故郷の島を後にするまでを殆どロケーションのドキュメンタリータッチで描いている。

やはり、テレビで観た時とは印象が大きく異なった。前に観た時には汚いと思った映像も実に美しかった。シネスコサイズで計算した構図を約半分のサイズに切られてしまっていたのだから、そりゃあ酷いものになってしまうのは当然の事である。驚いたのは昭和47年当時の風景を切り取ったショットがとても多かったこと。まるで主人公が故郷を失うのとリンクするかのように、失われていくだろう日本の原風景を映画に残すんだ、という作り手の気持ちが伝わってくるほどに魅力的なカットが多い。そして、映画が作られた当時は対照的に描かれたのであろう、ゴミゴミとした埃っぽい街の風景さえも、今となっては懐かしく哀愁を帯びている。

大感動する映画ではないが、心にじわりとくる作品。山田洋次監督の作品群の中では地味な一本ではあるが、紛れも無い傑作。

やっぱり映画はちゃんと観ないとね!


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「花のお江戸の無責任」 [映画-DVD]

花のお江戸の無責任去る3月27日に亡くなった植木等さんの映画が観たくなって、何か未だ観てないものは…とDVDを量販店で探していたら見つけたのがこの『花のお江戸の無責任』。監督は何と(?)山本嘉次郎。東宝娯楽作品の大御所であるが、黒澤明の師匠としての方が有名な監督である。こりゃ異色作だと興味を持ち即決して購入した。

とにかく元気な植木等氏が観たかった。バイタリティの塊のような印象が強かったので、イメージ通りの植木さんであってほしかった。晩年はちょっと静かな雰囲気で、それを淋しく思っていたので、この映画では炸裂していてほしかった。

しかし、監督が変わり、とてもがっちりとした安心して観られる娯楽作品になった分、植木氏の異常なまでのハイテンションは観られない。普通に楽しめる映画ではあるが、キャラクターを活かしきっているとは言い切れないのが痛し痒し。逆に言えば、この頃の植木等さんでも普通の映画の主役が務まったということが分る作品になっている。

ストーリーは、父の敵を探して江戸にやって来た助六(植木)が、道中知り合った権八(谷敬)とともに侠客の幡随院(ハナ肇)に拾われ、吉原を舞台に大暴れしながら敵討ちをするというお話。当然(?)助六は吉原の遊女(団令子ら)にモテまくる。その辺は植木氏主演映画のお約束を守っている。監督はこの手のライトコメディはお手のものであり、安定感がある演出ぶり。その分破綻寸前の凄みはない。そこまで要求するのは酷であろうか。

クレイジー映画の中では、あまり語られることの少ない映画ではあるが、これぞ東宝娯楽作品といった趣のある一本になっている。

何はともあれ、植木等さんが亡くなって淋しい。合掌。

↑ 実は以前の記事『日本一の色男』の時につけたイラストの使い回しです。よろしかったらそちらの記事もご覧ください。 


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「エニイ・ギブン・サンデー」 [映画-DVD]

NFLもプレイオフが佳境に入り、アメフト好きな僕としては試合が行われる週末は落ち着かない状況。それも応援しているインディアナポリス・コルツが勝ち進んでいるからだ。10年前は弱小チームであったが、ドラフト1位で入団したクォーター・バックのペイトン・マニングが正QBになってからは、毎年プレイオフを狙えるチームに躍進した。しかし、その度に敗退し、未だスーパーボウルに出場出来ずにいる。今年もシーズン終盤、コルツは急に失速。何とかプレイオフには出られたが、正直言って厳しいのかと覚悟していた。しかし、初戦のチーフスに続いて弱いと思われていた守備陣の頑張りでレイブンズにも勝ち、あともう1試合勝てば、いよいよ念願のスーパーボウル出場である。これが冷静でいられようか。

エニイ・ギブン・サンデー スペシャル・コレクターズ・エディションそんな気持ちの中、アメフトの映画が観たくなって選んだのがこれ。試合の様子はリアルで迫力満点。それ以上に面白いのはロッカールームなどの舞台裏の様子。ハーフタイムの休憩などはまるで野戦病院のようである。

話の軸は「世代交代」である。超ベテランで時代遅れと思われているコーチ(アル・パチーノ)、若手(ジェイミー・フォックス)に正QBの座を追われたベテランQB(デニス・クエイド)、父からチームを受け継いだ若いオーナー(キャメロン・ディアス)、若い医師(マシュー・モディーン)に不正を暴かれてチームを追われた医師(ジェームズ・ウッズ)。その新旧の対立がある時代の終焉を告げている。追われる立場の人間も皆フットボールが好きで(あるいは生活のため)辞めたくはないのだが、キャリアに幕が下りる事を察知している。その哀愁。

このような出来事は毎年どこのチームにも起こっていることで、NFLに限らずMLBやNBAでも同じことだろう。いや、スポーツに限らずどんな世界でも世代交代は避けられない。若く才能豊かだが思い上がりも甚だしいQBやオーナー、ベテラン故過去の慣習に縛られて落ち目のコーチと医師。明らかに体力が落ちている正QBとLBなどの人間模様が交差する。

それにしても監督のオリバー・ストーンはNFLが余程好きなんだろうなと感じさせてくれる。試合のシーン、舞台裏とも文句なしに迫力満点で面白い。やはり映画の素材に対する愛が無ければ作品は良くならない。そんなことも感じさせてくれる作品である。


余談なのだが、ロッカールームのシーンで選手が素っ裸でうろうろしていた時、性器がバッチリ映っていて驚いたのだが、いつから日本でもここまで出していいことになったのだろうか。知らなかった僕が遅れてるのかな?


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「野良猫ロック セックス・ハンター」 [映画-DVD]

野良猫ロック・セックス・ハンター一般的にはシリーズ最高傑作と呼ばれている3作目、また前2作とは全く別の話。

マコ(梶芽衣子)は立川を根城にする女不良グループのリーダー。バロン(藤竜也)が率いる男の不良グループ・イーグルスとは付かず離れずの微妙な関係にあり、マリファナパーティーなどに興じる毎日である。バロンは近くの米軍キャンプの兵隊に、目の前で姉を犯されて以来、外国人を憎んでいる。立川の街に混血が目立ち始め、イーグルスは混血狩りを始めるようになる。そんな中、マコはふらりと現れた混血の数馬(安岡力也)と仲良くなる。数馬は生き別れになった妹を探しに来たのだった。バロンたちの混血狩りは日に日に激しさを増し、ついに数馬もターゲットになってしまう。数馬に好意を寄せ始めていたマコは…。という話。

結論から言うと、3作目も面白かった。でも前2作とは雰囲気も随分変わっていた。梶芽衣子は黒いハットに黒いベストとパンタロン。手にはステッキを持っており、後年の『さそり』っぽくなっており、存在感が強烈になった。その分浮世離れした感じになり、前作のアメリカン・ニューシネマなテイストから一気にB級映画っぽくなった。脚本も大和屋竺(と藤井鷹史)になり、少し社会派な感じもあるが、殺伐とした内容になった。好みの問題もあるが、ニューシネマな前作の方が好きだったかな。

残念なのは、シリーズで唯一この映画だけ范文雀が出ていないこと。まぁ、その分、梶芽衣子にスポットが当たり、魅力爆発な作品になっているので痛し痒しかな。梶ファンには垂涎の一本。きっとタランティーノも好きなんだろうな。


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「野良猫ロック ワイルドジャンボ」 [映画-DVD]

野良猫ロック・ワイルド・ジャンボ前作がとても面白かったので、シリーズ第2弾のDVDも慌てて購入し早速観た。驚いたことにシリーズと言っても全く前作との関連は無く別の話であった。監督も藤田敏八に変わっている。共通するのは梶芽衣子、范文雀、藤竜也、和田アキ子が続いて出てるくらいなもので、しかも和田アキ子にいたっては前作の出演シーンの使いまわしとかなりいい加減である。

でも、でも…またまたすんごく面白かった!

以前『帰らざる日々』の記事で藤田敏八監督作品は、それ以外はピンとこなかったという内容のことを書いたが、その時点ではこの作品は観ていなかった。

すんませんでしたっ! お見それしましたっ!

と、まずは謝っておきたい。とは言っても故人だからどうしようもないのだが。因みに前作の監督は長谷部安春。監督が変わると映画のタッチも変わり、アクション映画色が薄まり青春映画っぽい感じになった。藤田監督は翌年『八月の濡れた砂』を撮る事になるのだが、この作品の雰囲気を引き継いでいる(尤もあちらはあまり好きではないが)。

端的に言ってしまうとこの映画は『俺たちに明日はない』+『冒険者たち』みたいな感じ。ちょっとこれじゃ良過ぎるかもしれないので、ロジゃー・コーマンの作品とかピーター・フォンダの主演した一連の作品みたいなイメージ。刹那的な若者達(ペリカンクラブ)に新興宗教団体・正教学会幹部の愛人(范文雀)が学会のお布施を運ぶ輸送車を襲い、現金を強奪する計画を持ちかける。その計画に乗ったペリカンクラブの面々は海で面白おかしく準備を始める。綿密な計画は上手くいくかと思われたが…。と、こんなストーリー。それにしても前作が右翼団体で今回が新興宗教(それもあそこの事だよなと思わせる名前)が相手。ヤバ。

梶芽衣子は前作の不良グループのリーダー役から一転、ペリカンクラブの一員でマスコット的なポジション。明るく開放的な役柄は珍しいが、水着のサービスシーン(?)もあったりして別な一面が垣間見えるのがいい。范文雀はミステリアスな役柄で、こちらも雰囲気がピッタリで魅力的。前回は敵役だった藤竜也はメンバーの一員で、リーダー格には地井武男。若手売出し中だった夏夕介。そしてもう一人は前田霜一郎。この役者、後年、ロッキード事件の渦中にあった児玉誉士夫邸にセスナで特攻死した張本人と知りビックリ。

それにしてもサブタイトルの『ワイルドジャンボ』って何の事だったの?


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「女番長 野良猫ロック」 [映画-DVD]

寝正月の間、こんなのも観ました。


 

女番長・野良猫ロックこの映画のタイトルだけは聞いたことがあったが、どんな映画かは全く知らず、パッケージを見て面白そうなので購入した。一部のマニアからは熱狂的な支持を得ている『野良猫ロック』シリーズの第一作である。

舞台は未だ高層ビルが建つ前の新宿で、西口には広大な空き地がある。今から考えると信じられない光景である。そんな新宿西口に颯爽とバイクで現れる主人公のアコ(和田アキ子…まんまなネーミング)。新宿では2つのスケ番グループが対立しており、一方のグループのバックには暴走族(当時はカミナリ族?)がついており、さらにその後ろには右翼団体・青勇会がついている。圧倒的に不利な状況のグループのリーダー・メイ(梶芽衣子…こちらもまんまですなぁ)に追い討ちをかけるように恋人の道夫は青勇会に入るべく、友人でハーフのボクサー・ケリーに八百長を持ちかける。彼の試合で青勇会は対戦相手に多額の金を賭けて大儲けしようというのだ。上手くいくかと思われた計画であったが、ケリーが勝ってしまい、青勇会は道夫をリンチに。そこに助けに入ったメイと仲間に加わったアコ。その時、青勇会の幹部に怪我を負わせてしまい、彼女らは追われることなり…。

いやぁ、面白かったよ、この映画! 西部劇+時代劇+任侠物の要素を入れているので、ストーリーはしっかりしてる。それに土曜日の午後から月曜日の朝までという限定された時間の中で、殆どロケーション撮影だから時代のリアリティを感じられる。おまけにバイクとカミナリ族のリーダー(藤竜也)の西口地下商店街でのカーチェイスがあったりと臨場感抜群である。

それにしても梶芽衣子がいいんだな。彼女を初めて知ったのは『寺内貫太郎一家』の足の不自由な長女役。彼女が働く小料理屋のシーンになると必ず『昭和枯れすすき』が流れ(常連客に藤竜也!)暗いイメージが植えつけられ、その上彼女が歌った『怨み節』なんて曲もあって、とにかく梶芽衣子は「暗い人」な印象しかなかったけど、この映画の彼女は明るくはないけど溌剌としていてイイ。あと同じ不良グループに所属している范文雀! 小さい頃『サインはV』は彼女目当てに観てた記憶がある。他に井上陽水と改名する前のアンドレ・カンドレの姿も見られて、チョ~お買い得!! タイトルだけ見てキワモノだと思わないでね。


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